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会社設立時の持ち株比率と権利について解説

創業メンバー

会社設立時、または設立後の様々な疑問点をご紹介していきたいと思います。

今回の記事は「持ち株比率」についてです。

持ち株比率とは、会社の発行済みの株式の総数に対して、特定の株主が保有する株式数の割合のことです。

自分で株式会社を立ち上げた際に、創業メンバーの中で株式を持ち合うことは一般的に行われています。一言で株式を持ち合うといってもどれくらいの割合が適切なのでしょうか

「持ち株についてあまり考えなかったせいで、創業メンバーと揉めてしまい後悔している。。」という声も少なくありません。

そこで、持ち株比率ごとの保有できる権利や株式を分散させるメリットやデメリット、そして注意点を説明していきます!

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持ち株比率について

はじめに、そもそもなぜ持ち株の比率を重視しなければならないかですが、株式会社においては会社の意思決定は株主総会で行います。そこでの議決権は保有している持ち株比率によって与えられるのです。つまり、持ち株比率によって会社経営にどのくらい関与できるかが決まってくるため、特に初めの創業メンバー間で決める際にはしっかりと検討していくことが重要です。さらに、持ち株比率は、議決の他、配当にも影響してきます。

重要

保有できる権利について

まず、株の割合ごとにどのような権利があるのかをご紹介します。多ければその分できる範囲も広がりそうなざっくりとしたイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。

しっかりと理解を深めていきましょう。

1株以上を保有

議事録の閲覧や株主代表訴訟を起こす権利があります。

1%以上を保有

株主総会での議案を提出できる権利があります。また、総会の検査薬を選任する請求を出す権利も生じます。
3%以上を保有

株主総会の招集や、会社の帳簿などの経営資料を閲覧する権利、役員を解任させる請求ができる権利があります。

10%以上を保有

訴えにより、会社の解散を裁判所に対して請求できる権利があります。

1/4以上を保有

重要事項の特別決議を単独で阻止できる権利が発生します。具体的には、定款変更、監査役解任、自己株式の取得、募集株式の募集事項の決定、事業譲渡、合併・会社分割など組織再編などを阻止することができます。

1/3以上を保有

定款の変更や監査役の解任など重要事項の特別決議を単独で否決できる権利があります。

1/2以上を保有

株主総会の普通決議を単独で可決する権利があります。取締役の選任や解任をはじめとして、会社の意思決定のほとんどを自ら行うことができます。

2/3以上を保有

自己株式の取得に関する事項の決定、募集株式の募集事項の決定、事業譲渡、合併や会社分割といった組織変更の決定など株主総会の特別決議を単独で可決する権利があります。つまり会社経営における重要事項のほとんどを単独で可決することが出来るということになります。

100%保有

すべての事柄において、自分の意思で決定することが可能です。

上記をみてみると、持ち株の割合によって持つことのできる権利が細かく分かれていることが分かりますね!このように、株式比率に応じた権利が会社法によって定められています。まずは、これを踏まえて創業メンバー間の持ち株の割合を検討しましょう。

検討

株式を分散させるメリット

次に、創業メンバー間で株式を分散させて持つことのメリットをご紹介していきます。

それは、「メンバー間で会社を運営していくにあたっての線引きがはっきりしている」ということでしょう。持ち株比率によってメンバーごとにどれだけの権利を保有しているのか周知することができるので、何か方向性などを決定する際にもスムーズにいきやすいというメリットはあるでしょう。もし全員が平等に同じ持ち株保有率であるならばなおさら、当然のことながら保有できる権利も同じとなり、メンバー全員が同じ方向を向いて仕事がしやすくなるのではないでしょうか。

しかし、メンバー全員が常に同じ考えという事はありません。最終的な意思決定は代表者であるべきです。この後にも記載しますが、誰か1人の代表者が過半数の株式を持つと良いでしょう。

グッド

持ち株を均一にするは避ける

先程メンバー間で持ち株比率を均一にした場合のメリットをご紹介しましたが、ひとつ注意しておくべきことは権利が平等だからという理由だけで持ち株を均一にシェアすることは避けておくべきです。持ち株比率を均一にするということはメンバー間で同等の権利を行使できるという面もありますが、と同時に意思決定の軸となる人物をはっきり決めないまま事業が開始されるということでもあります。実際の経営権は誰が持つのかはハッキリ決めておく必要はあるでしょう!

禁止

創業の段階ですべきこと

・会社の代表者を1人に絞って明確に決めておこう

持ち株比率について検討する際に、明確に決めておくべき事柄として「代表者が誰なのか」ということです。創業メンバーが複数いる場合でも代表となる人物は一人に絞ることを強くおススメします。その場合、その人物の持ち株比率は他のメンバーより多くしてください。

・代表者の持ち株比率は最低でも1/2以上

代表者が決まったら、どのくらいの持ち株比率を保有するかということになりますが、ずばり、最低でも1/2以上、2/3以上が理想的な割合と言えるでしょう。

上記で紹介した行使できる権利上では1/2以上の持ち株比率があれば、取締役などを解任させる権利も持てるので一定の経営権は確保することができます

逆にそれ以下であれば他の人の意思で代表を解任されてしまう可能性もありますので注意が必要です。

そしてさらに安心して会社経営を行い、代表者の不利益にならないようにするには会社に関するほとんどの事柄を自ら決定することのできる2/3以上の持ち株比率が理想的です。

持ち株比率に関しての注意点

・出資を受ける際は持ち株比率も見直そう

事業を始める、または拡大していこうと考える際に出資を受けて資金調達をすることもあるでしょう。その際は現状の持ち株比率も見直すことをおススメします。なぜならば、出資をうけることによって伴う新株発行により、発行済みの株式の数が増加して、1株あたりの価値が低下してしまう可能性があるからです。

ここで忘れてはいけないのが「経営に対して行使できる権利は、あくまでも全体の株式総数に対する持ち株の比率によって決まる」ということです。資金調達をうければ、その投資家へ新しい株を発行しなければなりません。そうなると、もともと創業時のメンバーが持っている株の数は変わらないので全体に対する比率が変わり、それにより行使できる権利内容も異なってくるという訳なのです。気が付くと代表者が保有する持ち株比率の割合が2/3を切っていたという事態が発生しかねません。そうしたリスクを避けるためにも、資金調達の際には特に慎重に検討していきましょう。

・資金調達には「借入」がおススメ!

資金が不足する場合、株式保有の観点からみると上記で説明した通り「出資」では保有株式の割合が変わってくるため、出資という形で資金調達するのではなく融資などで借入ができないか検討してみることをおススメします。借入であれば持ち株比率も変わらないのでその点では安心です。一つの選択肢として頭に入れておきましょう。

不安な方はご相談ください

今回は会社設立時の持ち株比率についてご紹介しました。

創業メンバー間で持ち株比率をどうするかによって会社の方向性が大きく変わってくるといっても過言ではありません。最近では友人関係で起業するというようなケースも増えてきています。安易に半分ずつ保有して、後から会社の方向性についてスムーズに決定できないといったことにならないためにもしっかりと持ち株の割合における保有できる権利について理解して、事前にきちんと検討、決定しておきましょう。

とはいえ、なかなか自分たちではどう決めていいか分からない、不安という方もいらっしゃると思います。

当事務所では、会社設立時における持ち株についてのご相談もお受けしてます(^^)/

会社設立を検討している方、また、より詳しく知りたい、相談したいという方はまずはお気軽にご相談ください。

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投稿日: 2022年11月14日   8:44 am

更新日: 2024年11月11日   10:51 am

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