会社設立をすると避けては通れないのが税金です。
節税対策についての知識を増やすことは今後の事業存続や規模拡大に置いても非常に重要となってきます。
会社設立をすることによる節税のメリットはいくつか挙げることができますが、その中の一つとして「役員報酬にすることができる」ということを耳にした人も多いのではないでしょうか。
特に起業したばかりの時は、役員報酬をいくらに設定するのが一番お得なのか、よく分からないという方も少なくはないはずです。
そこで今回は、具体的にいくらに設定すべきなのか節税の観点から注意点も含めて解説していきます。
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Contents
(一覧)役員報酬が節税になる理由
まずは役員報酬について正しい理解をしておくことが重要です。
役員報酬を設定すると節税効果が高まると述べてきましたが、実はやみくもに高く設定しすぎても決して節税に繋がるとは言えません。しっかりと役員報酬について理解を深めておきましょう。
まず基本的なことですが、課税額は、利益から必要経費を差し引いた額に対して税率がかかってきます。
そのため節税するためには
①利益自体を減らす
②利益にかかる税率を下げる
③経費の金額(控除額)を増やす
という3つの方法があります。
これらを念頭に置いた上で説明していきます。
今回の役員報酬とは、会社の重要なポジションを任されている人(取締役・執行役・会計参与・監査役など)に支払う報酬のことをいいます。
この役員報酬は給与所得と同じ扱いになるために、役員個人としては金額に応じて所得税や住民税、社会保険料などを納付する必要があります。
一方で会社としては法人税を納めなければいけませんが、役員に支払った役員報酬は経費として計上することができます。その観点からいうと節税となります。
ただ、会社としての節税になるからといってやみくもに役員報酬を大きくしてしまっては、その分個人の所得が増えることになり、それに伴って所得税や住民税の負担が大きくなります。
そのため、役員報酬を適切にシュミレーションして設定することがとても重要になってくるのです。
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利益800万円超えで税率が変わる
役員報酬と法人税の関係性が分かったところで、続いて役員報酬の考え方をお伝えします。
ここで重要なポイントとなるのが、会社が支払うべき法人税は800万円を境にして税率が異なるという点です。
具体的にいうと利益が800万円以下の場合は15%の税率、利益が800万円を超えた場合には23.2%となります。
役員個人にかかる税金は、この800万円以下の法人税率15%を超える場合が多いです。そのため、まだ利益が少ない場合には、役員報酬は少なめに設定して会社に利益を残すようにした方が節税効果は高くなるでしょう。
ただ、もし利益が800万円を超えると法人税率も23.2%に上がってしまうので、ここまでくると役員報酬の金額も引き上げた方が、全体として節税効果が高くなります。
【平成31年以降の普通法人の法人税率】
いくらに設定すべきなのか?
それでは役員報酬は一体いくらに設定した方が、一番節税効果を見込めるのでしょうか。
重要になってくるのは、役員が社会保険に加入しているかどうかということです。
先程も述べたように、役員個人としては所得税や住民税のほかに社会保険料を支払わなければなりません。
ここでいう役員の社会保険とは健康保険・厚生年金保険のことを指します。基本的にはこの2つは加入しなければなりませんが、特定の条件に当てはまる場合には加入していない場合もあります。その場合には国民健康保険・国民年金に加入することになります。
社会保険料と国民健康保険料・国民年金保険料では、そもそもの算出方法自体が異なってくるために、節税効果が見込める役員報酬の金額も変わってくるのです。
社会保険に加入しているパターン
役員が社会保険に加入している場合には、会社利益が800万円を超えるまでなるべく役員報酬を少なくすることで、より高い節税効果に繋げることができます。
極端な話をすれば役員報酬をゼロにすると良いのですが、そうすると社会保険の加入自体が危ぶまれてしまう恐れがあるため現実的とは言えません。
少なくとも月5万円以上は確保しておくべきでしょう。
一方で会社利益が800万円を超えた場合には、役員報酬もある程度金額を上げた方が効果的です。
社会保険に加入していないパターン
続いて役員が社会保険に加入していない場合には、会社利益が500万円未満の場合には、役員報酬の金額を会社利益の金額と同等の金額に設定すると最も節税効果は高くなります。
つまり会社利益が400万円の場合には役員報酬額も400万円とするのです。
なぜかというと、先程の社会保険料は金額に応じて高くなっていきますが、社会保険に加入していない国民年金の場合、月額は固定の16,000円となるからです。これにより個人にかかる税率自体も下がるので会社より役員に利益を分配すべきというわけなのです。
反対に利益が500万円を超えた場合には利益に応じて設定する必要があります。
ここで大切になってくるのは、自分の会社の場合においてはどうかをしっかり確認することです。細かな確認が必要となり、なかなか自分だけでは判断が難しい場合も多いかと思いますので、是非専門家に一度相談をしてみることをおすすめします。
金額決定の流れを理解しよう
役員報酬は、役員は自由にいつでも金額を決定することはできません。定款または株主総会にて決定されます。定款が定められていないケースもあり、株主総会で決議されるケースが多いです。流れとしては株主総会で役員報酬の総額を決定し、その後、取締役会で役員それぞれの内訳を決めるといった流れになります。
ここで個人の役員報酬にかかってくる税金自体を節税するための方法として一般的なのが配偶者を役員に就任する方法です。こうすることで所得を家族内で分配することができます。所得税は累進課税で所得が高くなればなるほど税率も上がってしまいます。そのため一人に高い役員報酬を支払うよりも、配偶者と所得を分配した方が結果として適用される税率は下がり、節税になるというわけです。また配偶者だけでなく親族も役員に就任させることもできます。子どもや兄弟、親戚も該当するので分配する母数が多ければ節税にも繋がりますね。
【平成27年以降分の所得税速算表】
今後、会社を設立をする場合には、検討されてみてください。
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今回は役員報酬について解説してまいりました。
会社の利益がいくらなのか、また役員の社会保険の加入の有無がポイントになってきますね。しっかりと把握した上でバランスをみながら慎重に設定する必要があります。
しかし、個々の会社ごとに様々なパターンがあり、ご自身のケースによってどの額に設定すべきなのかについては一概には言えないのが正直なところです。自分だけで報酬額を設定すると、後で損をしたということにもなりかねません。自分にとってのベストを見つけるためにも専門家に一度相談してみて下さい。
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