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起業で失敗する確率は9割?5年後の生存率と失敗しないポイント

不安な人

起業して新たに事業を始めようと考え、情報収集をしていると「起業は失敗する確率が9割」という情報を目にすることがあるでしょう。ですが、起業して成功することは決して不可能ではありません。

成功率を上げるためには、失敗事例から学び、失敗しないためのポイントを把握することが大切です。

そこで今回は国の発行する資料をもとに起業の生存率がどれくらいなのかを紹介し、起業の方法や失敗する起業家の共通点、起業で失敗しないためのポイントについて解説していきましょう。

会社設立

起業が失敗する確率はどれくらい?

まずは、「9割が失敗する」といわれる起業失敗の確率について、中小企業庁の「中小企業白書」をもとにご紹介していきましょう。

起業について知るなら「中小企業白書」を参考に

「中小企業白書」は、中小企業庁が発行している中小企業に焦点を当てた経済・産業政策の提言と実態分析をまとめた報告書です。中小企業の課題や展望、支援策に関する包括的な情報を提供し、経済環境や法制度の変化に対する中小企業の適応策も示しています。

白書は毎年刊行され、年ごとに様々なテーマの調査が行われており、市場の概要や起業に役立つ情報、優良企業の事例紹介や提言が含まれています。

2017年の「中小企業白書」では起業に関する調査が行われており、今回はこのデータを元に起業が失敗する確率をご紹介していきましょう。

参考:中小企業庁「2017年版中小企業白書」

中小企業白書

起業が失敗する確率は創業後5年で18.3%

日本において起業が失敗する確率は開業から5年が経過した時点で18.3%です。つまり、5社に1社は起業から5年以内に廃業していることになります。巷で「9割が起業に失敗する」といわれますが、実際には失敗する確率は2割程度といえるでしょう。

この数値が高いか低いかを国際的に比較すると、英国とフランスでは開業後5年でそれぞれ57.7%と55.5%の企業が廃業しているのに対し、半分以下の低い確率であることが分かります。

日本の開業率・廃業率は2001年から2015年までの期間で、ともに5%前後、4%前後と低い水準で推移している一方で、英国やフランスは共に開業率が13%前後であり、日本と比べて2倍近く高くなっています

日本は世界的に見ても起業が失敗する確率が低い国ですが、国際的に見て起業する人が少なく、そもそも起業しようと考える人が少ない一方、失敗する確率を低くするために準備を整えて起業する人の割合が多いともいえます。

調査

現代は起業する選択肢が増えている

起業といえば自らビジネスを立ち上げるのが一般的でしたが、近年は様々な方法でビジネスを立ち上げることが可能になりました。その方法をご紹介していきましょう。

フランチャイズでビジネスを始める

フランチャイズモデルは、企業が自社のビジネスモデルやサービスを他の事業者に提供するビジネスモデルです。フランチャイズ展開をしている企業はブランドやノウハウを共有し、起業家は確立されたビジネスモデルの元で事業を展開します。

フランチャイズでビジネスを始めると、起業家は創業時に必要なビジネスモデル、商品やサービスの構築、運営に必要なノウハウの提供を受けるため失敗の確率を低くできます。

また、起業後も継続的にフランチャイズ本部からのサポートやトレーニングが受けられ、経験不足の起業家でも成功の可能性が高まります。これにより、独立起業に比べて成功への道が開け、多くの人が安定感のあるフランチャイズモデルを選ぶようになっています。

現在では、多くの業種でフランチャイズモデルがありますので選択肢の1つに検討しても良いでしょう。

フランチャイズ

事業承継やM&Aでビジネスを始める

近年、後継者の確保ができないなどの理由で企業売却を行うケースが増えています。これに伴い、新たに起業する場合に事業承継やM&Aによってビジネスを始める人も増えるようになりました。

事業承継による起業は、既に確立されたビジネスモデルや経営ノウハウ、技術や顧客といったビジネスに必要なリソースを迅速に確保できるため、一から起業するよりも市場参入が迅速になり、競争優位性が得られます。また、買収先のブランドや資産を利用することで、事業の拡大や差別化が可能です。この方法は新規事業を立ち上げるよりもリスクが低く、成熟度の高い市場に参入できるという利点があります。

事業承継による起業もフランチャイズモデルと同じく自らがオーナーや経営者になりますが、売り手起業の社長を一定期間、会長や顧問として雇用して事業の引き継ぎを進め、サポートを受けながら事業経営を始めることができるため、一人で起業するよりも失敗する確率を低くすることが可能です。

承継

失敗する起業家の共通点

起業で失敗する確率は2割程度と低い水準ですが、全員が必ずしも起業に成功するわけではありません。そこで、起業に失敗する起業家にどんな共通点があるかをご紹介していきます。

①営業力不足

起業の際、それまでの顧客が起業後も引き続き契約してくれる場合を除き、基本的には顧客をゼロから開拓しなければなりません。従って、起業家や創業メンバーの営業力が会社の存続を左右します。

営業経験が豊富で、実績がなくても顧客に営業できる力量があれば問題ありません。ですが営業経験が無い場合は、まず営業力を高める努力をしなければなりません。

営業は決して楽ではないことから営業活動を疎かにしたり、創業メンバーなど他人任せにする起業家も存在します。

トップがこのような姿勢では売上をあげることはできず、いつまでも業績は向上しません。そして最終的には企業経営に必要な資金がショートして廃業に追い込まれてしまいます。

営業マン

②資金不足や過大な初期投資をして起業する

起業にあたって十分な資金が用意できない場合、急な支出や予期せぬトラブルに対処することが難しくなります。起業するタイミングでは多額の初期投資が必要となるため、準備段階ではその資金調達ばかりが気になってしまいがちです。しかし、会社というのは営業するだけでもそれなりの金額の運転資金が必要になります。

事業が軌道に乗るまでの間は入ってくる資金も限られているため、当面の運転資金を確保できるような資金計画を立てることが重要です。

また、過大な初期投資も失敗のリスクを高めます。起業時に過大な設備投資や、事業規模に比べて大きすぎる事務所を借りるなどの初期投資をすると月々のランニングコストが増加し、すぐに運転資金がショートしてしまいます。

事業が好調でも運転資金に余裕がないと支払いと入金のタイミングがずれて不渡りを出し、黒字倒産の可能性もあるため収入と支出のバランスを保って経営する必要があります。

特に、近年は原材料費の高騰や円安による調達価格の増加など経済情勢の変化によって当初の事業計画以上に費用がかかるなど経営リスクが増大していますので、資金調達は慎重かつ計画的に行わなければなりません。

このように、十分な資金を用意していない場合や起業後の資金計画を立てていない場合は起業に失敗する可能性が高くなります。

関連記事:なぜ黒字倒産はおきるのか?実際の事例・原因と対策を解説

資金

③リーダーシップ不足と人間関係の崩壊

複数のメンバーで起業する場合、経営者に強力なリーダーシップがないと組織を効果的に運営し成長させることが難しくなります。

起業直後は経営が安定しないため、特に業績不振の時期は起業家だけでなく創業メンバーもストレスを抱えやすくなっています。このような状況で適切な決断ができない場合やリーダーシップが不安定な場合、経営方針をめぐるトラブルなどに発展し、創業メンバーの人間関係の悪化によって事業がストップする可能性があります。

また創業メンバーと共に事業を進めている場合、誰か一人が抜けただけで事業が行き詰まってしまうケースも多く、人間関係の崩壊が起業の失敗に直結するという例は珍しくありません。

関連記事:トラブルに注意!共同経営のメリットとデメリットについて解説

リーダー

失敗する確率を下げるためのポイント

起業して失敗しないようにするためには、どのようなポイントを抑えておく必要があるでしょうか。ここでは、起業で失敗しないためのポイントを紹介していきます。

ポイント1:事業計画書を作成する

事業計画書の作成は起業成功の必須条件といえるでしょう。事業計画書は起業後の行動や目標を明確にし、スムーズに経営をスタートさせる指標となります。

また、事業計画書は起業時の資金調達において必ず求められますので、優れた事業計画書を作成するほど資金調達の成功確率が高まります。

事業計画書では予想されるリスクや脅威への対処も記載する必要がありますが、起業前に起こりうるリスクを事前に把握することで、問題に直面しても臆することなく経営することが可能です。

このように事業計画書は、変化の激しいビジネス環境での成功に向けての確かな指標となりますので、起業を成功させるためにしっかりと作成しましょう。

関連記事:融資を成功させる事業計画書の書き方や考え方!

事業計画書

ポイント2:適切な資金計画と資金調達

起業に成功するために欠かせない要素として、適切な資金計画と資金調達が挙げられます。資金は会社の血液とも呼ばれますが、資金がなければ会社は存続できません。起業後に必要な資金がどれくらいなのか、またその資金はどうやって調達するのかを見積もり、起業後は適切に管理することで、予測できないトラブルに備えることが可能です。

また、資金調達は起業における最初のハードルといえるでしょう。十分な自己資金を元手に起業する場合は別ですが、銀行からの借入やベンチャーキャピタルなど投資家からの資金調達はメリットも大きい一方で、借入金の返済や投資家による経営介入の可能性など経営の自由度を下げる可能性もあります。

資金計画は創業から3〜5年目までを目処に作成し、どれだけの金額が必要かを把握。また必要な資金を「誰から」「いくら調達するのか」を慎重に検討していきましょう。

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ポイント3:市場調査と競合の分析

市場調査とニーズの理解は、起業の成功に不可欠です。起業する場合、自分ができることや得意なことをビジネスにするケースが多いですが、この場合でもまず市場規模や将来性を検討する必要があります。

また、既に同じビジネスを展開している競合他社の有無や競合他社と差別化するための情報を収集し、自社の強みを見つけます。

市場調査と競合分析によって製品やサービスを市場に適切に提供でき、競争優位性を築くことが可能です。これにより市場の変化や新たな機会に対応することができ、営業戦略の修正や新商品の導入など、迅速な対応が可能となります。

3社限定|会社設立を0円サポート!

どのような形で起業する場合でも、相談できる相手がいる方が心強いのは言うまでもありません。起業に関する相談をする場合、家族や友人など身近な人に相談することも必要ですが、企業経営の専門家に相談をして、適切なアドバイスを受けることも重要です。

松原税理士事務所ではこれから起業を考えている方をサポートしており、毎月3社限定で会社設立を0円でサポートしております。豊富な知識と支援の経験から、失敗しない起業のアドバイスやサポートを提供できますので、起業にあたっての悩み事などもお気軽にご相談ください。

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投稿日: 2023年12月25日   10:33 am

更新日: 2024年6月24日   9:19 pm

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