会社設立の際、「資本金」をどのように確保するか?
現在であれば、正直、資本金1円でも会社設立は可能です。
しかし、この資本金は会社を設立したあと、事業が軌道に乗るまでの運転資金となります。そのため、ある程度利益がない状態でも経営がスムーズに回るくらいの額は担保しておきたいものです。
ただ、資本金を多めに準備したいけれど、実際準備できる金額は少ない、そういった方々も多いのではないでしょうか。そんな時の一つの方法として「現物出資」というものがあります。
今回は、現物出資について詳しく解説するとともに、現物出資で株式をもった場合のメリットやデメリットなども併せてご紹介していきたいと思います。是非、最後までご覧くださいね!
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Contents
現物出資について理解しよう!
早速ですが、現物出資について説明していきます。
現物出資とは、会社を設立する際に、現金ではなく不動産や車、あるいは有価証券などの現金以外の資産で出資することをいいます。
会社設立の際の資本金では、万が一現金がなくとも、この現物出資だけを資本金としての会社設立は可能となるのです。
会社を今のタイミングで設立したい、且つ、資本金もある程度必要といった場合はこの現物出資という方法で資本金にするという方法も頭に入れておくと良いですね!
現物出資を行う3つのメリット
続いては、現物出資を行う際のメリットについてです。自分の場合で考えた時にメリットが大きい場合は検討してみても良いでしょう。
①資本金を増やすことが可能となる
冒頭でもお伝えしたように、資本金の額を多くしたい場合、金銭と合わせて出資することで資本金の増額が可能となります。
資本金があることで、会社設立後の事業が円滑に進む場合も大いにあります。資本金の額が多いことで会社の社会的信頼度も高まるでしょう。
もし、ある程度の資本金を用意したくても、金銭のみでは足りないと言った場合にも検討して良いでしょう。
②現金がなくても発起人として会社設立することができる
例え資金が無くとも設立が可能となります。ある程度まとまった資金を準備できるまで待たずとも、現物出資をすることで資本金を作ることができます。現金がなくとも、現物出資をして発起人になれるという点は大きなメリットと言えます。
③節税をすることができる
現物出資として申請した資産は、固定資産として1つにつき10万円以上のものについては、減価償却資産として扱われることになります。減価償却資産はその資産ごとに決められた年数で減価償却します。これにより、減価償却費として経費にすることができ、結果として節税に繋がります。
パソコンやOA機器などは会社を運営していく上でも必要になってくるものです。会社を設立する際に現物出資し、そのまま使用することで調達するコストも削減できます。
現物出資を行う2つのデメリット
続いて現物出資をする際のデメリットもお伝えしていきます。メリットと併せて理解しておきましょう。
①会社設立に必要な手続きが増える
現物出資を行うことで、会社設立の際に作成すべき書類が増えます。通常、現物出資をしない金銭出資の場合と比較すると、定款への記載事項も同じく増加します。
また、検査役の調査も入るとなると、その分の時間と費用がかかってきます。その旨を念頭に置いて、早めに計画を立てて、書類作成などの手続きを進めていくようにすることが重要です。万が一、会社設立を急ぐ場合には、顧問弁護士の証明を受ける、現物出資を有価証券や金銭債権にするなどといった対応を検討しましょう!
②正確な資金繰りの計画が必須
現物出資したからと言って、手元に現金が増えるわけではありません。資本金の額が多ければその分使える現金を持っているような感覚に陥る場合がありますが、決してそうではないことを頭に入れておきましょう。
会社を設立してすぐは初期費用がある程度まとまってかかる場合が多くあります。何にいくら必要になるかをしっかりと把握して資金調達や事業計画を早めに立てることが大切です。
正確な資金繰りの計画が必須であるということは、何も現物出資をしたからという訳ではありません。会社を設立して間もないうちに、いかに先々の見通しを立てて計画に沿って行動できるかが今後の会社経営に大きな影響を及ぼすということは言うまでもありません。
現物出資の流れ|4STEP
最後に、現物出資を行う流れを解説していきます。頭に入れておくだけでも、いざ動く段階になった時にイメージもつきやすいかと思います。
1,資産の時価調査を行う
まず初めに現物出資する資産の時価を調査します。
資産の時価が500万円を超える場合は、裁判所から選任された検査役による調査が実施されます。
2,定款に必要な項目を記載
次に定款に現物出資に関して必要となる項目の内容を記載していきます。
記載が必要となる項目としては、現物出資する人の名前と住所、資産の名称などの詳細な情報、資産の価格、出資者に割り当てる株式の数などです。
3,各種書類を作成する
現物出資によって会社を設立する場合には、資産の価格が適正である旨がまとめられた「調査報告書」、資産の引き継ぎを示す「財産引継書」、資本金が適切に計算されているかを証明する「本金の額の計上に関する証明書」を作成しなければなりません。
作成した書類は、管轄の法務局に提出します。
4,名義変更の手続きを行う
パソコン、タブレット、OA機器などは会社に現物を渡した段階で出資が完了したとみなされますが、自動車や不動産、有価証券などは名義変更の手続きが必要になります。
基本的に、この名義変更の手続きは会社設立の登記前に行われますが、全ての発起人の同意がある場合や会社の登記事項証明書が必要な場合などは、会社設立後に手続きを行うことになります。
正しく理解し、うまく活用しよう
今回は、現物出資について解説し、メリットやデメリット、流れをご紹介しました。
本記事でも述べてきたように、会社設立の際、手元に資金がなくとも資本金を増やすことのできる現物出資については覚えておくと良いでしょう。ただ、場合によっては現物出資の資産としては認められなかったり、所得税や消費税の課税の対象となる場合があったりするので注意が必要です。もし、現物出資をして会社を設立したい場合には専門家に一度相談をしてみてください。
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