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【最新版】給与計算は税理士と社労士どちらを選択する?相場と選択基準!

選択

給与計算は複雑で専門知識も必要となり、法令の遵守が求められる業務です。また、フレックスタイム制度などの働き方の多様化によって、更に業務が複雑化し、従業員への負担が大きくなっていくことが予測されます。

「作業を軽減して、通常業務を効率よく運営したい」と考えている方は多いでしょう。同時に、「給与計算は税理士と社労士どちらに依頼すればいいかわからない」という方もいるでしょう。

こちらの記事では、給与計算は税理士と社労士どちらを選択すればよいかを相場やメリット、探す際のポイントをお伝えしながら解説していくので、自社の運営状況や依頼したい業務内容に照らし合わせながら、参考にしてください。

関連記事:給与計算は誰に依頼すべき?税理士・社労士に依頼する違いを解説

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税理士に依頼する場合の相場

給与計算の費用は、「月額基本料金+単価×従業員数」で算出されるのが一般的です。基本料金は約10,000円程度となっており、単価は1人当たり500円~1,000円程度になります。こちらの費用は、顧問税理士として支払っている費用とは別になるので注意が必要です。

また、給与計算だけではなく、賞与計算も依頼したい場合は、税理士事務所によって、給与計算と賞与計算がセットになって請け負っている事務所もあれば、賞与計算はオプションとして別途費用が発生する事務所もあるので、契約する際に確認してみてください。

従業員数

費用相場(月額) 費用相場(年額)

10人以下

10,000円~20,000円 120,000円~200,000円

11人~30人

20,000円~35,000円 200,000円~500,000円

31人~50人

35,000円~55,000円 500,000円~750,000円

50人以上

55,000円~ 750,000円~
税理士

社労士に依頼する場合の相場

社労士も税理士同様、給与計算の費用は「月額基本料金+単価×従業員数」で算出されます。基本料金は10,000円~20,000円となり、単価は1人当たり500円~1,500円となっています。税理士と比較すると少しだけ費用が高くなっているのかが表からわかります。

また、賞与計算に関しては税理士と同じように給与計算とセットで請け負っているのか、オプションで別途費用が発生するのか確認が必要です。

また、一般的には、賞与計算は1人当たり800円~1,200円の金額が相場とされているので併せて確認してみましょう。

従業員数

費用相場(月額) 費用相場(年額)

10人以下

10,000円~25,000円 120,000円~250,000円

11人~30人

25,000円~35,000円 250,000円~550,000円

30人~50人

35,000円~50,000円 550,000円~800,000円

50人以上

50,000円以上 800,000円~
社労士

税理士に給与計算を依頼するメリット

税理士と社労士の費用の相場を紹介しましたが、給与計算を税理士にアウトソーシングするメリットを紹介していきます。税理士にしか行えない業務などもあり、自社の状況によって、依頼する選択肢が絞られてくるかと思うので、どのメリットが大きいか比較してみてください。

給与計算から年末調整まで一括化

年末調整に関しては、税理士の独占業務にあたるため、社労士では担うことができない業務内容です。月々の給与計算を行っていれば、年末調整に必要な給与額などを新たにデータとして確認する必要がないのがメリットです。さらに、従業員によって控除の申請は異なるため、書類のチェックや税務署への代行業務など手間のかかる年末調整を行うことができます。

また、従業員の居住している自治体への支払総括表や、支払報告書の電子申請も可能です。

役員報酬の決定について相談できる

役員報酬は従業員の給与とは異なり、あらかじめ金額が定められており、年度の途中で変更することが難しいため、知識がないまま決定してしまうと税制上のルールを破ってしまい、信用を無くす危険性があります。

その危険を事前に防ぐために、専門的な知識を要する税理士に相談することが重要です。役員報酬の決定によって法人税や所得税、社会保険料など節税のメリットもあるため、バランスを考えながら、会社に合せて金額の設定に関するアドバイスをしてもらうことが可能です。

関連記事:役員報酬、いくらがお得?徹底解説‼︎

節税に関して相談できる

税理士の独占業務の1つが、税務に関する相談ができることです。会社にとって利益をできる限り残すことはとても重要です。利益を残すために、法人税や消費税などの税に関して節税対策を行うことが企業として成長するためにも必要になります。

税金は法令によって厳正に定められているため、1つでもミスをしてしまうと会社の信用問題にも関わってくるため、専門的な知識を要する税理士への相談が適切であるといえます。

関連記事:法人の利益が出過ぎた際の節税対策は?注意点について解説

経営のアドバイスをもらえる

売上や税金などの数字に関するコンサルティングに強い税理士もいるため、経営について迷った際にアドバイスをもらうことが可能です。

業務上、金融機関などとやり取りをするため、パイプなどもあり、事業計画書や融資に関する申請書の作成や審査が通りやすくなるための対策なども知ることができます。

社労士に給与計算を依頼するメリット

社労士に給与計算を依頼するメリットについて紹介していきます。社労士は、正式に言うと「社会保険労務士」です。表記の通り、社会保険に関する専門的な知識を要する資格のため、法令に関しても正しく厳正な対応ができるので、給与計算だけでなく、自社の求めている業務を行うことができるのかを確認してみてください。

労務に関する手続きを行うことができる

社会保険や労働保険、健康保険などの労務関係の手続きを行うことができます。入社や退社、労災時、産休育休などさまざまなタイミングで手続きが必要となりますが、社労士は保険関係の手続きを行うことができるため、社内の負担が軽減され、通常業務に尽力することが可能となります。

また、給与額に関する「算定基礎届出」や「月額変更届」の作成や提出、労働保険に関する「年度更新」についてもまとめて依頼することができます。

「算定基礎届」の作成と提出や、労働保険の「年度更新」は毎年行わなければいけない手続きになり、とても手間のかかる業務になります。その手間がかかる業務を社労士に依頼することで、業務負担が軽減されます。

費用に関しては給与計算とは別途で発生する場合もありますが、事務所によっては給与計算とセットで請け負っている場合もあるので、確認してみてください。

法改正に迅速な対応ができる

給与計算には労働基準法や雇用保険法、厚生年金保険法、健康保険法、所得税法などのさまざまな法律に基づいた重要な業務です。さらに、給与や賞与から控除する税金や社会保険料に関しては頻繁に改定が行われるため、通常業務を行いながら、その都度法改正情報をチェックして、多方面に確認しながらの対応は困難です。

社労士に依頼をすることで、最新の法改正に迅速に対応することができ、従業員の負担を軽減することができます。

また、給与計算だけでなく、労務管理に関する業務を代行することができるため、従業員の身の回りの保険に関する一貫したサポートが期待できます。

助成金の申請や就業規則の見直しができる

助成金の申請は、申請資格の有無や申請できる業種が指定されているため、自社で調べて申請を行うまでとても手間がかかる業務です。助成金に関しては、社労士に相談することで自社が求めている助成金があるのか、申請資格はあるのかという確認作業の手間が省けるので、効率的に申請を行うことができます。

また、就業規則の見直しに際して変更を行う場合は、勝手に変更することができず、所轄の労働基準監督署に「就業規則変更届」と、労働組合または労働者の過半数を代表する意見書、変更後の就業規則の3つを提出する必要があります。

就業規則の作成は社労士の独占業務になるため、他の資格を持たない方が作成してしまうと、法令に違反することになるので注意が必要です。

関連記事:就業規則を作成する費用はいくら?相場や作成時の注意点を解説

迷った際の選ぶ基準について

税理士と社労士の相場とメリットを紹介しましたが、判断に迷う方は選択する基準をお伝えするので、是非参考にしてください。

税理士に給与計算を依頼した方がいい場合

税理士に給与計算を依頼した方がいい場合を3つ紹介します。

a-①従業員数が少ない場合

数人規模の会社の場合は、社会保険や雇用保険など保険に関する手続きの量が少ないため、社内で処理することが可能です。また、会社の成長に必要な節税対策を相談することができるので、数人規模の会社の場合は、税理士に依頼することがおすすめです。

a-②税理士と顧問契約をしている場合

規模の小さい企業は顧問契約をしていることが多く、自社の状態や事情を知っているため、業務にスムーズに取り掛かることができます。給与計算を依頼することでどのくらいの費用が発生するのか確認が必要です。

a-③社労士に依頼するべき業務が少ない場合

社労士に依頼できる労務に関する手続きや書面の作成が社内で問題なく行うことができるようであれば、税理士に依頼した方がよいでしょう。

前述したように、数人規模の会社であれば、保険に関する手続きや産休育休などの手続きもあまり多くないため、社労士に依頼する必要がなく、税理士に依頼することで費用も抑えることができます。

関連記事:税理士の独占業務とは?何を依頼できるのか解説!

社労士に給与計算を依頼した方がいい場合

社労士に給与計算を依頼した方がいい場合は2つあります。

b-①従業員数が多い場合

従業員数が数十人から数百人の規模になる場合は、社労士に依頼をした方が適切です。従業員が多い会社になると、給与計算の件数も多くなり、給与計算を誤った場合の手間がとても面倒になります。

給与計算のミスが生じた際に、従業員への給与が不足していた場合は、故意でないと主張をしても、労働基準法違反になり、労働基準監督署からの是正勧告や罰則を受ける可能性があります。

従業員の生活に不安を与えてしまい、労働基準監督署からの是正勧告があったという事実から、社会的信用を下げないためにも、給与計算のミスを防ぐために社労士に依頼したほうがいいでしょう。

b-②社労士へ依頼する業務が多い場合

従業員数が数十人以上の会社になると入退社の手続きをはじめ、社会保険や雇用保険、健康保険などの手続きが増えてきます。

このような労務に関する手続きは、税理士ではなく人事労務の専門家である社労士に依頼しましょう。

別途費用が発生する可能性がありますが、膨大な量の給与計算と併せて、各種手続きをまとめて依頼することができることができます。

関連記事:社労士の独占業務とは?どんな時に依頼するのか詳しく解説‼︎

給与計算を依頼する際に必要な情報や資料

給与計算を依頼するにあたって、間違いのない業務を行ってもらうためには、準備するべき情報や資料が必要です。準備ができていないと、給与計算のミスを誘発してしまう可能性があるので、過不足ないように準備を行いましょう。

・タイムカードや出勤簿

従業員の労働時間を把握するために必要な資料です。会社によっては、パソコンなどでデータ化して管理しているため、データの共有が必要になります。出勤・退勤時間や時間外労働、休日出勤などのデータをもとに給与額の計算を行うため、インセンティブなどの変動する手当てがある従業員に関しては人事や業績のデータの提出も必要です。

・固定手当控除情報

給与の額面といわれる総支給額から手取り額を算出するには、従業員1人ひとりの手当て額と控除額の情報が必要です。この情報が適切に共有されていないと、正確な給与計算ができないため、自社で徹底的な管理を行う必要があります。

固定手当は勤務時間によって変動せず、条件関係なく支給される手当のことです。代表的なものには、「住宅手当」「通勤手当」「職務手当」などが挙げられます。

固定控除は、毎月の給与から一定額差し引かれる金額を指します。「社宅の賃貸料」「社員旅行の積立」「財形貯蓄」があります。

・変動手当控除情報

変動手当は、先述した固定手当と反対に毎月の勤務状況や業務の成果によって変動する給与のことです。「時間外勤務手当」「インセンティブ」などが挙げられます。

変動控除は、毎月の総支給額などによって変動する差引額のことを指します。「所得税」「住民税」などの税金のほか、「健康保険料」「年金」などの社会保険料、遅刻や欠勤による「不就労時間分」の計算も変動控除にあたります。

・採用・退職情報

月末月初に入社や退職をする人が多いため、月ごとに採用・退職人数の最新情報確認が必要になります。

給与が未払いの人や、支払う必要のない人に振込をしていたなどの間違いが起きないように常に最新の情報確認が必須です。

給与計算に最適な専門家を選ぶポイント

事務所によって、どのような業務に関して長けているのかを判断するのは至難の業です。給与計算を税理士や社労士に依頼する際に抑えておきたいポイントを紹介します。

過去の実績を確認する

税理士や社労士もそれぞれ得意分野があります。必ず給与計算の知識や経験が豊富というわけではないので、正式な依頼をする前にホームページなどで過去の実績を確認してみるとよいでしょう。

今までにどのような業務を手掛けてきて、実績を残しているのかを確認すると、依頼する人の得意分野が分かります。

また、事務所の規模によって請け負うことができる業務も異なるので、依頼したい業務内容や期間、費用などについてはホームページで確認するか、相談する段階で問合わせましょう。

担当者の人柄やコミュニケーション力

給与計算依頼する場合は、毎月のやり取りが必要になるため、人柄やコミュニケーション力なども気になる要素のひとつです。長期にわたる付き合いになるため、契約を結ぶ前に対面で顔を合わせながら、会話を重ねてストレスなく付き合っていけるかを確かめる必要があります。

会計ソフトに詳しい

近年では、給与計算専用のソフトを導入する企業が増えてきました。また、税理士や社労士と業務の連携を行えるソフトも増加しており、連携可能なソフトを使用すると給与計算を依頼する事務所への情報提供がスムーズになります。

最新のソフトに関して詳しい人であれば、業務形態や会社の規模に合わせたソフトの選び方を教えてくれるのか、また、ソフトを導入することで費用の削減が可能かなどを事前に聞いてみるとよいでしょう。

価格だけで決めない

費用は、どの業務を、どこまでの範囲で行うかという業務範囲が定められたうえで、金額が設定されています。価格だけを見て契約してしまうと、依頼したかった業務が入っていなかった、必要ない業務を依頼していたといった相違が発生してしまいます。

また、価格が安いと「対応が雑だった」「レスポンスが遅く、信用ができない」などのトラブルに発展する可能性があるため、報酬だけではなく、求めているサービスを提供してくれるのかどうかで選びましょう。

担当者が資格を保有していることを確認する

近年では、国税庁などのホームページに「にせ税理士・社労士に注意」といった注意喚起がたびたび掲載されています。税理士や社労士資格を持たない人による税理士業務や社労士業務の代行が増えているようです。

資格を持たない方に依頼した給与計算などの書類は、すべて無効になってしまい、業務が滞り、会社の業績にも響いてしまう可能性があります。

契約をする前に担当者の方に資格を保有しているか確認を行いましょう。税理士は、日本税理士連合会が発行しており、顔写真と登録番号が記載されています。

社労士は全国社会保険労務士連合会が発行しており、税理士同様、顔写真と登録番号が記載されています。

それぞれ連合会のホームページでも、登録されているか検索ができるため、安心して契約ができるように資格保有者であることを確認しましょう。

税理士・社労士の両資格保有でお得!

今回は給与計算を依頼する際の相場や税理士と社労士に依頼するメリットを解説しました。保有している資格によって独占業務が異なるため、会社によってメリットが大きいのはどちらになるのかを確認したうえで判断してください。

松原税理士・社会保険労務士事務所は税理士と社労士の両方の資格を保有していますので、税理士に依頼したい場合にも社労士に依頼したい場合でも対応可能です。給与計算を専門家に依頼しようか迷っている方は、是非お気軽にご相談ください。知識が豊富なプロフェッショナルが、あなたや会社の悩みを解決いたします。

会計関連

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投稿日: 2024年5月13日   10:10 am

更新日: 2024年6月24日   9:52 pm

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