税務調査は全国で毎年20万件ほど実施されている調査で、法人だけでなく個人事業主や個人も対象となっています。税務調査はいつ行われるか分からないので、日頃からの備えが必要です。
そこで今回は税務調査の概要や対応の方法、税理士に依頼するメリット・デメリットや費用相場について解説していきます。
Contents
税務調査の内容と調査の流れ
税務調査の内容について
税務調査とは、税務署が納税者の行った申告内容が適正かどうかを確認するための調査です。税務調査では納税者の申告書や会計帳簿、領収書、契約書などの書類が審査され、申告漏れがないか、また経費の内容は適正かなどをチェックされます。
調査の対象は法人や個人事業主だけでなく、個人に及ぶ場合もあります。
納税者は調査に協力し、必要な情報を提供する法的責任があります。税務署の職員には「質問検査権」があり、正当な理由なく調査や資料の提出を拒否することはできません。また調査の結果、過少申告や申告漏れが発見された場合、不足分の税金と罰則金を支払うことが求められるなどの重大な問題に繋がるため、日頃からの正確な会計処理が必要です。
税務調査の事前準備
税務調査が行われる場合、必ず事前に税務調査の日時が通知されます。通知から調査実施まではおおよそ10日ほどになるので、調査実施までに必要な資料を用意しなければなりません。税務調査では最低でも過去5年分の申告内容を確認されるので、まずは過去5年間の資料を準備しましょう。
必要な資料としては確定申告で提出した書類に加えて領収書や請求書、契約書、総勘定元帳など顧客とのビジネスで使用する書類だけでなく、稟議書や賃金台帳、年末調整書類や勤怠管理表など、社内資料も求められます。
税務調査の流れ
税務調査は税務署の職員が会社や店舗を訪問して行われ、おおよそ2日に分けて実施されます。税務署の職員は書類を確認しながら様々な質問を行い、回答に矛盾がないかを確認していきます。この調査を売上、仕入れ、給与、経費といった部門ごとに分けて実施していきます。
調査では様々な書類の提出を求められるため、スムーズにやり取りできるように事前の準備をしっかりしておきましょう。
税務調査後の修正申告とその影響
税務調査で指摘事項があった場合、修正申告を行うように指導されます。修正申告書を作成して税務署に再提出して追徴課税や加算税などを納付すれば修正申告は完了しますが、指摘事項に不服がある場合には修正申告を拒否することも可能です。
ただし、その場合には更正処分を受けることになり、更に納得がいかない場合には異議申し立てや国税不服審判所への審査請求を行うことになります。こうなると煩雑な手続きや書類作成に追われることになり、事業に影響を及ぼすリスクがあります。
関連記事:税務調査後の修正申告の流れとは?修正が必要になる場合やペナルティについて
税理士に任せるメリット・デメリットと費用
税理士は税に関する様々な法律に精通している税金のプロです。ここでは税務調査を税理士に任せるメリットやデメリットについて紹介していきましょう。
メリット①事前準備のサポート
通常の場合、税務調査の通知が届いてから10日程度で税務調査が実施されます。税理士に依頼すると必要な書類を提示してもらい、書類が揃っているかを確認してもらえます。必要な書類が揃っていれば税務調査がスムーズに進むため、安心して税務調査に臨めます。
メリット②税務調査への立会い
税理士は税務調査に立会うことが可能です。これは税理士には「税務代理行為」という権利が与えられているからです。これにより税理士は税務調査に立会い、税務署職員からの質問にも本人の代わりに回答できるのです。
税務調査の指摘事項は、納税者と税務署でそれぞれ言い分があるケースがありますが、税務調査に慣れていないと指摘されるがままに修正申告を行い、税理士が立ち会っていれば支払う必要がなかった追徴課税を払う可能性があります。
ですが、税理士に任せていれば納税者側の言い分を法的な観点から説明してくれるので修正申告のリスクを軽減することが可能です。
メリット③修正申告への対応
税理士は税務調査の結果、指摘事項があった場合にその指摘が適正なのか、どのように修正すべきかをアドバイスしてくれます。また修正申告が発生した場合にも税理士に対応を任せることで適正に対応できるので安心です。
メリット④書面添付制度が利用できる
税理士に依頼する最も大きなメリットが「書面添付制度」です。書面添付制度とは、 税理士法第33条の2第1項で税理士に認められている権利で、「意見聴取制度」といいます。
書面添付制度を利用すると税務署は税務調査に入る前に、まずは顧問税理士に添付書面に記載されている内容について確認します。その結果、申告された内容に問題がないことがわかれば、そもそも税務調査を行うことなく調査を終結させることができます。
可能な限り税務調査を避けたいのであれば、顧問税理士を立てて書面添付制度を活用するのが最も適切な対応といえるでしょう。
デメリット
税務調査を税理士に任せるデメリットは報酬が発生することだけといえます。
税務調査は税法に則って実施されますが、税理士は税法のプロですので、申告修正や追徴課税が発生した場合の時間的な労力や金銭支出と比較すると、報酬を支払うだけの価値があります。
税務調査にを税理士に任せる場合の費用相場
税務調査を税理士に任せる場合、どれくらいの費用が発生するのでしょうか。最後に費用相場について解説していきましょう。
事前準備は1日3万円〜6万円程度
事前準備を税理士に任せる場合の費用相場は1日あたり3万円〜6万円程度です。事前準備では、税理士が税務調査に必要な資料が揃っているかを予めチェックし、問題なく税務調査に臨めるようにサポートしてくれます。また、どんな質問や指摘事項があるかをアドバイスしてくれるため、不安なく税務調査を迎えることが可能です。
税務調査の立ち会いは1日3万円〜6万円程度
事前準備を税理士に任せる場合の費用相場は1日あたり3万円〜6万円です。税務調査は2日にわたって行われるケースが一般的ですので、2日間で6万円〜12万円程度になるでしょう。
税務調査の立ち会いでは税務署職員からの質問への回答や、指摘事項があった場合の法的な解釈を説明するなど、自分の代わりに税務調査に対応してくれます。
修正申告は1日5万円〜20万円程度
修正申告が発生した場合の費用相場は1日あたり5万円〜20万円程度です。少ない修正であれば費用は少額で済みますが、複数の決算期にわたり修正申告が必要になると費用が高くなっていきます。
税務調査を税理士に任せる場合の費用相場は売上高にもよって変動します。これは売上が多い方が資料が多く、その分調査にかかる労力が大きくなるからです。売上が1億円を超えるような場合には、今回ご紹介した金額以上の費用が発生する可能性があることもあります。
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