
昨今、様々な働き方が選択できるようになっており、起業をしようとする人たちも増えています。当事務所は横浜市にありますが、年々、会社設立や創業融資のご相談も増えてきたように思います。
このように起業や独立を考えるときに、大きなハードルとなるのが創業資金の調達ではないでしょうか。起業をする人が経営自体初めての場合が多く、起業をするにあたって会社設立登記の手続きだけでなく、民間の金融機関から融資を受ける手続きを行うことは簡単にできることではありません。
そこで、このコラムでは、横浜市で起業する際の創業融資についてどのような制度があるのか、そして融資を受ける際の注意点をご紹介していきます。

関連記事:『起業したい!』創業融資は自己資金なしでも受けられる?
Contents
創業融資について理解しよう!
創業融資とは起業や独立など新しくビジネスを始める事業者に必要な資金を調達する制度のことです。
開業直後は、会社設立登記の手続きや本店所在地にする物件契約の初期費用、設備投資など各種手続きを行う必要があります。そのため、ある程度のまとまった資金が必要になり、それを全て自己資金でまかなうのはなかなか難しい場合が多いです。そんな時、金融機関などから資金を調達して準備するのが一般的です。
冒頭でもお伝えしたように経営未経験者が民間の金融機関で融資を受けることは難しいです。民間の金融機関は、会社の財務状況や今までの返済状況、信用情報などの内容から融資の審査を行うため、過去の実績や会社として信用情報がないと審査を通過することができないことが多いです。また、審査を通過したとしても、融資金額が希望額より大幅に減額される可能性もあります。そのため、国や地方公共団体が必要な資金を借りやすく準備している制度である創業融資を利用するのがおすすめです。創業融資には日本政策金融公庫の「創業融資」があります。
関連記事:日本政策金融公庫の創業融資とは?利用時の必要書類を紹介
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創業融資とは?
政府系の金融機関である日本政策金融公庫の「創業融資」は、起業や開業を検討している事業者を後押しするために無担保・無保証で利用できる創業融資です。以前は「新創業融資制度」として適用されていましたが、2024年3月末に取り扱いが終了となり、「新創業融資制度」の適用なく無担保・無保証でさまざまな融資制度を利用することができます。「創業融資」とは、新たに事業を始める人、または事業開始後の税務申告を2期終えていない人を対象としていて、最大7,200万円(うち運転資金4,800万円)まで借り入れが可能です。
また、「現在勤めている会社と同じ業種の事業を始める人」、「身につけた技術やノウハウに新規性が見られる人」など事業の特性によって利用するにあたっての条件が定めされていますので、事前に確認しておきましょう。
新規開業資金で受けられる優遇
起業・開業を検討している方が利用できる創業制度に、新規開業資金という支援があり、開業時の負担を軽減することが可能です。新規開業資金とは、日本政策金融公庫が運営しており、「新規開業資金(女性、若者/シニア起業家支援関連)」「新規開業資金(再挑戦支援関連)」「新規開業資金(中小企業経営力強化関連)」の3種類があります。
新規開業資金は、返済期間が長期で設定されているため、「早く返さなきゃいけない…」という気持ちの負担を軽減することができます。3種類それぞれの対象者や返済期間、ほかの制度と併用できるのかといった点について一覧で解説するので、参考にしてください。
①新規開業資金(女性、若者/シニア起業家支援関連)
利用できる方 | 新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方のうち、女性または35歳未満か55歳以上の方 |
資金の使い道 | 新たに事業を始めるため、または事業開始後に必要とする設備資金および運転資金 |
融資限度額 | 7,200万円(うち運転資金4,800万円) |
返済期間 | 設備資金:20年以内(うち据置期間5年以内) |
運転資金:10年以内(うち据置期間5年以内) | |
利率 |
女性の方、35歳未満または55歳以上の方は特別利率A ※利率はそのほか要件によって変動するため、当事務所へご相談ください。利率一覧表 |
担保・保証人 | 要相談 |
併用できる制度 |
経営者保証免除特例制度 創業支援貸付利率特例制度 設備資金貸付利率特例制度 賃上げ貸付利率特例制度 |
②新規開業資金(再挑戦支援関連)
利用できる方 | 新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方のうち、以下のすべてに該当する方 1.廃業歴等を有する個人または廃業歴等を有する経営者が営む法人であること 2.廃業時の負債が新たな事業に影響を与えない程度に整備される見込み等であること 3.廃業の理由・事情がやむを得ないもの等であること |
資金の使い道 | 新たに事業を始めるため、または事業開始後に必要とする設備資金および運転資金 |
融資限度額 | 7,200万円(うち運転資金4,800万円) |
返済期間 | 設備資金:20年以内(うち据置期間5年以内) |
運転資金:15年以内(うち据置期間5年以内) | |
利率 | 基準利率。ただしある要件に該当する方は特別利率が適用される。 |
担保・保証人 | 要相談 |
併用できる制度 |
経営者保証免除特例制度 創業支援貸付利率特例制度 設備資金貸付利率特例制度 賃上げ貸付利率特例制度 |
③新規開業資金(中小企業経営力強化関連)
利用できる方 | 新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方のうち、女性または35歳未満か55歳以上の方 |
資金の使い道 | 新たに事業を始めるため、または事業開始後に必要とする設備資金および運転資金 |
融資限度額 | 7,200万円(うち運転資金4,800万円) |
返済期間 | 設備資金:20年以内(うち据置期間5年以内) |
運転資金:10年以内(うち据置期間5年以内) | |
利率 | 特別利率A |
担保・保証人 | 要相談 |
併用できる制度 |
経営者保証免除特例制度 創業支援貸付利率特例制度 設備資金貸付利率特例制度 賃上げ貸付利率特例制度 |
起業や開業を検討している方にとって自己資金のみで会社設立を行うのは、とても難しく挫折してしまう可能性があります。しかし、融資支援制度を活用することによって、資金面での負担を軽減することができるので、積極的に活用していきましょう。
また、新規開業資金3種類と併用できる「経営者保証免除特例制度」や「創業支援貸付利率特例制度」、「設備資金貸付利率特例制度」、「賃上げ貸付利率特例制度」があるため、併せて利用できるのかも確認しておきましょう。
横浜市の融資支援制度について
各都道府県および市区町村の融資は、各地方自治体が、それぞれの信用保証協会と金融機関と連携して運営を行い、起業する方への融資支援をしています。日本政策金融公庫よりも金利が比較的低く、地方公共団体からの様々なサポートを受けることが可能なのが特徴です。ただ、自治体・保証協会・金融機関の3者が融資に関係することになるために手続きが複雑でもあります。
横浜市では、「横浜市中小企業融資」「創業おうえん資金」「スタートアップおうえん資金」といった融資支援制度を行っており、個人事業主や法人などが利用することができます。
日本政策金融公庫の融資制度より利率が低く、併用ができる融資支援制度も多いため、経営に関する制度なども活用することが可能です。ただし、制度によって条件の項目が多数設定されており、利用対象が限られる制度もあるので、相談しながらどの制度が利用できるのか確認しましょう。
融資実行までの流れ
融資の申し込みから入金までの流れは、大まかに以下の通りです。
①融資相談
必要書類など各支店の融資相談係に直接または電話で相談する方法のほか、日本政策金融公庫が開設している「事業資金相談ダイヤル」や電話相談することも可能です。
横浜市では、
日本政策金融公庫 横浜支店と日本政策金融公庫 横浜西口支店があります。
②申し込み(必要書類の準備)
実際に支店に行って申し込むか、郵送も可能です。
③面談
面談では自分の創業計画をしっかり理解しているか、また意気込みなどを問われます。
面談時間は約1時間程度、担当者を面接ブースで行います。最低限のビジネスマナーに沿った服装を心がけましょう。
④実地確認
審査担当者が店舗や事業予定地や自宅などを訪問します。
⑤審査結果の通知
面談や実地確認から遅くとも1週間程度で審査の結果が通知されるのが一般的です。
⑥融資実行決定後の手続き
借用証書や預金口座利用届など融資実行に関する書類が届き次第、手続きを進めます。
申し込みや面談時に必要な書類もそれぞれ多数あるため、事前にしっかりと確認し、漏れのないように準備を進めていきましょう。
創業融資を受ける前に確認
では、いざ創業融資を受ける場合はどのような注意点があるのでしょうか。融資の相談から着金まで1か月から1か月半程度時間を要するため、計画的に手続きを行う必要があります。手続きの際に問題や確認が必要になると事業開始の時期も当初の予定とは異なってきてしまうのでできる限り1回目で融資審査に通るのが望ましいといえます。しっかりと注意点を把握しておきましょう。
自己資金の用意
創業融資を受けるにあたってはある程度の自己資金が必要だとお伝えしてきましたが、融資の審査を受ける際もどのくらい自己資金を用意できているかは、自分が起業にむけてどのくらい計画性をもって準備をしてきたかの判断材料になるため、重要になります。目安として必要資金の2割は用意したいですね。
また、証拠として長期的に資金を貯めてきたとわかる履歴を提示できるようにすると良いです。もし提出できない場合は、金融機関からの信用力が低くなる可能性があるので注意しましょう。
カード払いやローン返済の滞納履歴がないか確認
過去にクレジットカードやローンの支払いを遅延または滞納をしていないか確認しておきましょう。もし、支払いの遅延や滞納の履歴がある場合は、これも金融機関からの信用力が低くなりかねません。
ただし、クレジットカードなどの滞納の履歴はずっと残っているわけではなく、5年経てばクリアとなる場合がほとんどです。自分の履歴について今一度確認しましょう。
返済能力を証明できる根拠を検討
返済能力とは借りたお金をしっかりと返すことのできる力のことです。融資はあくまで借入金で返済義務があるため、返済ができなかった場合は訴訟や差し押さえなどに発展することもあり得ます。そのため、定期的に収入を得ていることが分かる具体的な資料を提出することが大切です。
いくら熱意だけ伝えても第三者が客観的に見て納得のできる根拠を提示しましょう。
具体的には例として、年間の収益をまとめた資料などが挙げられます。
前もってしっかりとどんな資料を提出するのか検討して、準備しておきましょう。
事業状況に合わせた融資希望額の設定
融資希望額は事業者によって様々ですが、業界や事業の状況に合わせた金額を検討することが大切です。前述した通り、日本政策金融公庫の新創業融資制度の借入限度額は最大7,200万円(うち運転資金4,800万円)までとなります。返済義務が発生するため、自己資金でまかなえない部分を補填するという認識で融資金額を設定しましょう。
注意したいのは自己資金を用意しているからといって満額の融資を受けられるとは限りません。融資額を頭から念頭におくのではなく、いずれ利益が継続的に出るまでの期間しっかりと事業が続けられる程度の自己資金は用意しておくことをおススメします!
創業融資はお任せください
今回は創業融資について、そして融資を受ける際の注意点をいくつか紹介いたしました。
今一度融資条件などについて確認し、実際に融資を受ける際は自己資金の用意、クレジットカードやローンの滞納履歴がないことが大切です。自分自身の状況に見合う融資希望額を提示できるようにしておきましょう。
起業し、事業を継続的に行っていくためにはある程度の資金調達はなくてはならないもの。最初の段階でつまずくことのないようにしっかりと前もって確認し、準備や対応を行っていくことが重要です。 当事務所は、横浜市を拠点に創業融資に関するご支援を積極的に行っております。融資を受けようと考えていて、どのようにすればよいか分からない方、創業支援の実績等も多数ございますので是非お気軽にご相談ください。

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