資本金の払い込みは、会社設立の手順で欠かすことのできない手続きのひとつです。
必要な手続きだと理解していても、具体的な手順や方法までは分からないという方も多いのではないでしょうか。
そこで、本記事では手続きの中の一つである「資本金払込」についての方法及び注意点をわかりやすくまとめてみました。ぜひ参考にされてみてください。
Contents
手順について理解しよう!
まず、資本金の払込を行う順番ですが、下記の通り「株式」や「合同」など会社形態によって多少異なります。
株式会社:定款を作成して、公証役場にて定款認証してもらった日以降に行います。
合同会社:定款の認証は必要ありませんので、定款作成後に払込を行います。
資本金は、会社設立後の運転資金となります。適当な金額を定めるのではなくて、もし、設立直後に利益があまり出なかったとしても大丈夫な金額を想定して決めるようにしましょう。自分で決めるのが不安だと思う場合には専門家に相談ください。会社規模や業種によっての参考金額を教えてもらえるかもしれません。
①発起人個人の銀行口座を用意
まず、始めに用意するのは「発起人個人の銀行口座」です。当然、払込を行う時点ではまだ会社は設立できていないので、会社の銀行口座というモノは存在しません。そこで発起人の個人の銀行口座が必要になってくるのです。発起人が複数いる場合には、代表の発起人を決めて、その人名義の口座を用意してください。(この場合の代表者は設立後に代表取締役となる人を選ぶのが一般的です)
銀行口座の種別は普通預金口座で構いません。通帳がある銀行口座の場合には、通帳のコピーを、ネットバンクの場合には該当の取引が分かる明細をプリントアウトすることになります。
新しく銀行口座を開設する必要はありません。
②資本金の払込
口座の用意ができたら、「資本金の振込」を行います。ここで間違えてはいけないのが「資本金をその口座に預け入れる」のではなく「振込」を行うという点です。理由としては、だれが、いくら支払ったのが明確に証明するためです。振り込むことで資本金を支払った発起人の名前と金額が表示され、確実に払込の証明ができるのです。
もし、発起人が複数人いる場合には、それぞれで代表の口座に振り込みを行います。振り込みが完了したら、代表者は間違いなく振り込まれているか確認を行ってください。どこからいくら振り込まれているか正確に把握しましょう。
③明細をコピー
通帳がある場合には、通帳のコピーを作成します。この時、「表紙」、「表紙裏」、「振り込み内容が記載されているページ」の3カ所をコピーするようにしてください。
コピーのサイズ自体に決まりはありませんが、A4サイズで行うのが一般的です。該当の振り込み内容記載箇所にはマーカーなどで印をつけておけば、わかりやすいのでおすすめです。
一方、通帳がない場合には、基本情報が確認できる部分をプリントアウトします。一般的には「銀行名、支店名、預金種別、口座番号」「口座名義人の氏名」「振り込み内容が記載されている箇所」の3箇所です。
④払込証明書を作成
通帳のコピーが出来たら、次に払込証明書を作成します。これは、発起人が資本金を支払った事実を代表取締役が証明する書類となります。手書きとパソコンのどちらで作成しても構いません。後々の会社設立の登記の際に必要となります。
払込証明書に記載する項目は下記です。
・払込された金額の総額
・払込があった株数
・1株の払込金額
・日付
・本店所在地
・会社名
・代表取締役氏名
「払込があった金額の総額」と「払込があった株数」は定款で記載した通りの数字を記載します。「1株の払込金額」は払込があった金額を払込のあった株数で割った数字を記載してください。
日付に記載するのは、払込がいくつかに分けて行われている場合には、最も遅い日以降を記載します。
これらに加えて、会社代表印を払込証明書の左上と代表取締役氏名の右側にそれぞれ押印してください。
⑤証明書と通帳コピーをひとつにする
払込証明書の作成まで完了したら、通帳のコピーと合わせてホチキスで留めて一つの資料としてまとめましょう。綴じる順番は払込証明書を一番上にして以下の順番で綴じるようにしてください。
・払込証明書
・通帳の表紙
・氏名や口座番号、銀行印が押印されているページ
・取引内容が記載された箇所のコピー
この順番に上から重ねたら、左端2カ所をホチキスで留めます。冊子を開いて各ページの中央に代表社印で割り印を行って完了となります。
注意すべきこと3選!
ここで、資本金の払込を行う際の注意すべきことについてもご紹介します。
・資本金額が口座に入っていても使えない
例えば、あらかじめ資本金額が口座内に入っている場合もあるでしょう。それを資本金として使えばいいと考える人もいるかもしれませんが、そうはいきません。払込む時期が重要です。
会社設立において「資本金としてお金を用意した」という事実を明確にする必要があります。そのためにすでに口座内にお金が入っていたとしても、それは払い込んだという証明にはなりませんので、一度その額を引き下ろしてから、振り込み口座に入金して振り込みを行うという作業が必要になります。
・資本金払込は定款認証日(合同会社の場合には作成日)以降にする
冒頭、払込のタイミングのところでもお伝えしましたが、定款の認証を行った日以降に払込を行うようにしてください。もし、早めに終わらせたいからと言って定款認証日より前に払込を行った場合は、登記書類を法務局で受理してもらえない可能性もあります。
・印鑑は代表社印で登録する
払込証明書の作成の際には印鑑を押す必要がありますが、その際に必要なのは代表社印となります。間違って代表取締役個人の実印を押さないように注意しましょう。
代表社印とは法人登記の際に登録する法人用の印鑑となります。会社の実印とも呼べます。これらの場面だけでなく、今後の業務に関する契約書などでも用いられる重要なものになりますので早めに作成しておくようにしましょう。
以上が注意すべきポイントです。
会社設立後の資本金について
資本金の払込を行ったら、実際にどのタイミングでどのようなことに使って良いのでしょうか。
まず、資本金は会社設立が完了したら、すぐに使うことが可能です。そのため、設立後すぐの運転資金として活用できます。
次にどのようなことに使用できるのかですが、これは会社によって様々です。一般的には、備品の購入や運転資金として活用される場合が多いでしょう。会社を設立してからすぐに利益が大きく出るというのは考えにくいです。そのため、毎月かかってくるオフィスの賃料や設備費用など必要経費3ヶ月分ほどは資本金でまかなうと想定して金額を設定しておくと良いですね。
毎月3社限定|手数料0円で会社設立
今回は、会社設立の手続きの中のひとつである、資本金の払込についての手順や注意点をご紹介しました。
間違った方法や、証明書などに不備や問題がある場合には、登記がスムーズに行うことができなくなります。
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