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賃貸契約で法人登記はできるのか?無断で法人登記をするリスク

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近年、個人事業主やフリーランスで事業を行う人が増加していますが、法人としてさらに事業展開を考えている方も少なくありません。法人として会社を設立するには、さまざまな手続きが必要になります。法人登記も手続きの1つです。

法人登記を行う際に、事務所の場所として自宅にする方が多いかと思われます。しかし、賃貸契約をしているマンションを事務所として登記を行うとトラブルに発展してしまうこともあるため、注意が必要です。

この記事では、事務所の場所を自宅にするのか、外部にするのかといった起業時の事務所の設置場所や法人登記を行う際のリスク、法人登記を行う際に適したオフィスの形態などについて解説していきます。

これから法人登記を行う方や法人化を検討している方は参考にしてください。

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法人登記とは

法人登記とは、法人(株式会社、一般社団法人、一般財団法人、NPO法人、社会福祉法人など)の概要(社名、所在地、代表者名、事業の目的)などの情報を法務局へ登録を行い、一般に開示できるようになることです。

法人登記を行うと、正式に登録を行った証拠として「登記事項証明書」が発行されます。

法人格を得ることで、対外的な信用力の向上や資金調達方法の選択肢の増加、節税効果が期待できるといったメリットがあります。

法人登記を行うことのメリットやデメリットについてはこちらに記載しているので是非参考にしてください。

賃貸でも法人登記は可能なのか?

法人登記を行う際に、本店所在地を発起人等で決める必要があります。個人で会社を設立しようと考えている方やこれから会社を創業しようと考えている方は、自宅を本店所在地として登録しようと検討しているでしょう。

人によっては、持ち家ではなく賃貸契約をしているアパートやマンションを自宅としている方も多くいらっしゃるため、賃貸でも登記ができるのかという点はチェックしましょう。

結論として、賃貸でも登記を行うことは可能です。

賃貸物件を本店所在地として登記を行うことは、法律上で制限されていないため、登記自体を行うことはできます。しかし、物件の条件や契約内容によっては出来ない場合もあるので、どの様な場合に登記ができるのか確認しましょう。

規約を確認する

マンションなどの賃貸契約を行うときに管理規約を確認しましょう。

アパートやマンションなどの管理規約では、居住用の部屋を事務所やオフィスとして使用することは禁止されている場合が多いです。そのため、法人登記を行うことができません。

賃貸物件を法人の事務所などの事業用として貸出を行う場合は、大家の家賃収入に消費税がかかるため、賃貸契約物件は「住居契約」「店舗契約」「事務所契約」の3種類に分けられています。契約上の制限を設けることで、賃借人が予想外の方法で賃貸物件を利用することを防ぐ意図があります。

「住居契約」の場合は、法人登記を行うことができないため、自宅を事務所として登録しようと考えている方は、契約内容が「店舗契約」や「事務所契約」などになっているか確認をしましょう。

管理者から許可をもらう

賃貸物件でも、物件を所有しているオーナーまたは管理会社などから許可をもらうことができれば、法人登記を行うことができます。

賃貸契約書に「住居契約」や「居住以外の利用禁止」などの記載がある場合でも、許可を得られる可能性があります。

しかし、許可を得られたとしても、その分家賃が高くなったり、条件付きでの賃貸契約になる場合もあるので、必ず法人登記を行えるというわけではないので、注意が必要です。

無断で法人登記を行うリスク

法人登記を行う際は、住所やオーナーに許可をとっているのかなどを確認することなく、管轄の法務局に届出を出せば手続きが完了となります。

そのため、住居契約の賃貸物件の場合でも、必要書類をそろえて提出すれば法人登記を行うことはできます。無断で法人登記を行う人が多い理由としては、管轄の法務局へ登記を行う際に、オーナーや管理会社が登記を許可したという証拠となる契約書面などの提出が必要になるためです。その手間などを少しでも省くために無許可で法人登記を行う人がいるという現実があります。

しかし、実際に会社を経営するとなると、関係者の出入りであったり、顧客や取引先とのトラブルが起きる場合があるため、賃貸人に無断で法人登記を行うとさまざまなリスクを伴います。

賃貸人に無断で法人登記を行う場合のリスクは以下の通りです。

賃貸借契約を解除される

賃貸契約が住居契約になる物件を事務所として利用している場合は、賃貸借契約違反または管理規約違反に該当する可能性があり、賃貸借契約を解除される恐れがあります。

自宅兼事務所として利用している場合は、事務所だけでなく、自宅も失ってしまう可能性があり、生活と事業のどちらにも支障が出てしまうリスクがあります。

賃貸借契約を解除される正当な事由として、「家賃の滞納」や「賃貸人と賃借人の信頼関係が破綻している」などが挙げられます。無断で法人登記を行った場合は、「賃貸人と賃借人の信頼関係が破綻している」といった点で賃借契約を解除することが可能になります。

無断で自宅の住所を法人登記に使用する場合は、自宅を失うリスクもあるため、バレないからといって無断で手続きを行わない方が賢明です。

損害賠償を請求される場合がある

住居用の賃貸物件を事務所として利用した際に、賃貸人や近隣住民等が実際に損害を被った場合は、損害賠償請求される可能性があります。

現状は事務所利用の証拠や痕跡が表に出ていない場合でも、今後の関係者や取引先とトラブルが起きてしまったり、物件への出入りが多く、近隣住民の迷惑になってしまう可能性があり、登記されている物件の周辺で何かしらのいざこざが発生することも考えられます。

発生しないと言い切れるわけではないため、潜在的なリスクを考えると無断で法人登記を行うことは決して得策とは言えません。

賃貸物件で法人登記を行うデメリットng

賃貸契約や管理規約について問題なく、賃貸物件で法人登記の許可をもらって手続きを行った場合に考えられるデメリットが複数あります。

賃貸物件で法人登記を行う場合のデメリットを理解したうえで、検討しましょう。

住所が公開される

自宅を事務所として利用しており、自宅の住所を法人登記すると住所が公になるため、プライバシーの保護が困難になる可能性があります。

法人登記を行うと法務局で管理されますが、ネット上で法人番号検索を行うと登録情報が簡単に見ることができるため、第三者に自宅の住所が知られてしまうという危険性があります。また、登記事項証明書を法務局へ請求することで情報を取得することができ、一定の手続きを行えば誰でも法人登記の情報が入手できます。

登記されている情報には、代表者名なども記載されているため、法人登記の情報を入手することで、住所と併せて個人の特定を行うことができ、プライバシーを保護することが難しくなります。

住所などが公開されるという点を理解して、公開されることで起こり得る出来事を防げるかどうか、対策などを検討したうえで登記を行う必要があります。

住所変更を行う際に費用が発生する

法人登記を検討している方の中には、「とりあえず自宅を事務所として登録して、あとで登録住所を変更しよう」と考えている方もいるかもしれません。その方法でももちろん問題はありませんが、住所変更には余計な費用が発生してしまうため、あまりおすすめはできません。

法人登記を行った際の本店所在地から住所変更を行う場合は、登録免許税が必要です。

法務局の管轄内外のどちらに住所変更をするのかによって、金額が異なります。管轄内での移転は30,000円、管轄外への移転は60,000円です。

金額の大小を問わず、余計な支出を避けるためには、賃貸物件での法人登記は避けた方がよいでしょう。

許認可申請が通るか

事業を行うにあたって、行政の許認可が必要になる業種があり、自宅を登記することで影響を及ぼす場合があるため、注意が必要です。

業種の一部では、「事務所の面積が一定以上必要」など定められていることがあり、自宅を事務所にすることで条件を満たすことができない可能性があります。

また、業種によって許認可を得る先が異なり、国や都道府県、管轄の警察署などがあり、そこでもさまざまな条件があります。

例えば、宅建建物取引業を行う場合は、国土交通大臣または都道府県知事から許認可を得る必要があります。さらに事務所を設置することが条件となり、「専用の出入り口がある」「事務所としての形態が整っている」「居住と事務所の区分けが行われている」といった要件があります。

業種によって、自宅を事務所として登記することができない場合や条件に合わない可能性があるため、自身の行う事業の許認可の要否や条件などについて事前に調べておきましょう。

もし、「調べてもよくわからない…」となってしまう場合は、税理士などの専門家に相談してみるとアドバイスをもらえることがあるため、検討してください。

法人登記に適したオフィスの形態とは?

賃貸物件での法人登記があまり現実的ではないことが理解できましたが、どこの住所を利用して法人登記を行えばいいか疑問に思う方が多いでしょう。

自宅が賃貸物件で法人登記を行えない場合、法人登記に適したオフィス形態について紹介していきます。

チェックアイコン賃貸事務所

一般的なのは、「賃貸事務所」を借りる方法です。

賃貸事務所とは、最初から会社の事務所として使用することを目的として貸し出されているオフィス物件のことを指します。事務所用の物件にあたるため、自宅を登記した場合のリスクがなくなり、問題なく法人登記を行うことができるため、安心して手続きを行うことができます。

賃貸事務所を借りることで、会社として体裁を整えることができ、信用を得ることができます。会社の事務所があると、ロゴなどを設置できるだけでなく、取引先や関係者などを事務所に招くことができるので、スムーズに取引を行うことが可能です。

一方で、自宅とは別に事務所を借りることになるため、賃料や光熱費、初期費用などの支出が多くなってしまうのがデメリットです。

確実に会社の利益が見込めるということであれば問題ないかと思いますが、独立や起業をしたばかりで資金繰りが厳しい時期や利益が出るかどうか不透明な時期に、賃料や光熱費など多額の支出はリスクが高いと考えられます。

チェックアイコンレンタルオフィスやシェアオフィス

レンタルオフィスは、部屋ごとに区切られた空間に事務所を構えることです。また、シェアオフィスは大きな空間を複数の企業で区切って、それぞれの事務所を構える形態です。

どちらの形態も賃貸契約ではなく、月々のサービス利用料を支払って利用する方法です。

賃貸事務所とは異なり、机や椅子、コピー機などの設備や備品がすでに準備されている環境のため、初期費用などを抑えることができます。

また、このようなオフィス形態の場合は、一等地で登記ができる可能性があるため、会社の信用力が高まるメリットがあります。

しかし、物件によっては法人登記を行うことができないことがあるため、場所だけでなく条件について事前に確認を行うようにしましょう。

チェックアイコンバーチャルオフィス

バーチャルオフィスとは、実際に物件やスペースを借りて事務所を設置するのではなく、住所や電話番号を貸し出すサービスのことを指します。

シェアオフィスやレンタルオフィスなどとは異なり、実際に作業スペースを借りずに住所を貸し出すだけのサービスとなるため、多くのバーチャルオフィスでは会社宛の郵便物の郵便物の預かりや転送サービスなどを提供しています。

バーチャルオフィスの住所は法人登記を行うことができるため、自宅で業務を行いながらも、貸し出ししてもらった住所で登記することが可能です。

実際に物件やスペースを借りるわけではないため、賃料や光熱費、初期費用などがかからずに支出の負担軽減も期待できます。

法人登記の相談は当事務所へ

賃貸物件で法人登記を行うことができるのか、無断で登記を行うリスクなどについて解説しました。

「バレなければ大丈夫」と思っていても、利用状況や出入りする関係者などによって、無断で登記したことがバレてしまうリスクがあり、強制退去や損害賠償に繋がってしまうため、事前に確認や相談をしましょう。

また、法人登記を行うときにどのような手続きをすればいいのか、この物件は法人登記をして問題ないかなど、独立や起業したばかりの方は不安に思う方が多くいらっしゃるかと思います。

判断に迷った場合は、税理士などの専門家にお気軽にご相談ください。

賃貸契約を確認して、どのようにして法人登記を行うか相談しながら手続きを進めることができるため、安心して手続きを行うことができます。

当事務所では、横浜市・川崎市を中心に税務や融資、法人登記などに関する手続きのサポートを行っております。今なら、毎月3社限定で会社設立代行を0円でサポートしています!

少しでも会社設立をお考えの方はお気軽にご相談ください。お待ちしています。

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投稿日: 2024年9月23日   1:53 pm

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