自分で事業をやる上で、必ず知っておくべきことの一つに「経費」が挙げられます。
自分でビジネスをやっていくなら、しっかり税金対策も行っていきたいところ。
経費って具体的にどんなものが含まれるのか?
今回は、こんな疑問を持つ方へ向けて、経費の内容について詳しく解説していきます。現在、事業をやっていてよく分からないという方も、これから事業を始めようと考えている方も是非参考にしてくださいね!
Contents
経費について正しく理解しよう!
まず、経費についてしっかりと理解をしておきましょう。
経費とは、個人事業主や会社が事業を行っていく上で必要となる支出のことです。簡単にいうと事業をやっていく上で支払った費用ということになります。
ここで、なぜ経費として計上できるものが多ければ良いのかという疑問が生まれるかと思いますが、答えは「節税につながる」からです。
個人で事業を行っていく上で支払わなければならない所得税ですが、(1年間の総収入-経費)で決まってきます。つまり、経費の額が多ければ多いほど、事業の所得の額は低くなり、それに比例して支払うべき所得税も下がるというわけなのです。
ただ、やみくもに経費を計上しすぎると収入よりも支出が多くなってしまいます。そうなると赤字になってしまうので、その点は注意するようにしましょう。
経費と認められるための考え方
前項で経費として多く計上できるとその分節税効果が高まるとお伝えしました。
ここで経費とみなす際の考え方をご紹介します。
基本的な考え方を知っておくだけで、迷った際に役に立つはずです。
事業に必要なもの
こちらは大前提として、経費として認められるためにはその支出が事業で必要なものであることが重要です。
そのため、プライベートな支出はもちろんですが経費としては認められません。
具体的な事柄については後ほどご紹介します。
支払いが確定している
経費として見なされるためには、その年の12月31日までに支払いが確定していることが条件として挙げられます。
・債務(支払うべき義務)が確定している
・支払いをするべき元となるものの購入やサービスが提供されている
・金額が合理的に算定できる
上記の3つの条件を全て満たしていることが重要です。
証明できるものがあること
経費として認められるには、支出を証明できる領収書などの資料が必要となります。
もし、領収書がもらえない交通費や領収書を紛失してしまった場合などもきちんと記録を残して、経費の支出を行ったことを証明できれば経費として計上することが可能です。
記録する際は、日付、金額、支出の相手、目的などを明らかにしておくことがポイントです。
家事支出との区分が明確である
自分や家族の生活費などの支出である家事費はもちろんですが、必要経費としては認められません。
一方で家事と事業の両方に関連している支出である家事関連費については事業に必要な部分のみが経費として認められることになります。
例をあげると、事業とプライベートどちらにも利用する車のガソリン代などです。この場合大切なのは、しっかりと家事と事業の区分をはっきりと決めておくことです。
可能であれば、家事と事業の口座や現金などは分けて管理をしておくほうが望ましいでしょう。
経費にできる具体例15選!!
では早速、経費としてできる項目について具体例を上げてみます。
・出張費 |
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・研修費 |
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・旅費交通費 |
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・家賃 |
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・人件費 |
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・消耗品費 |
文房具代、消耗工具代など |
・減価償却費 |
2年以上の期間使用できる建物や機械などは一度に経費にするのではなく、使用可能な全期間の必要経費として配分していくことになります |
・水道光熱費 |
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・交際費 |
支出の相手を明確にして、それが事業上の関係先であることを証明する必要があります |
・宣伝広告費 |
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・福利厚生費 |
従業員を雇用している場合に限り経費にすることができます |
・通信費 |
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・修繕費 |
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・外注費 |
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・租税公課 |
印紙代、固定資産税、不動産取得税 |
・損害保険料 |
事業に使用する資産にかけている火災保険や自賠責保険料などは経費とすることが可能です |
この他にも、青色申告者の場合には、同一生計の配偶者などの親族に給与を支払った場合は経費としてみなすこともできます。青色申告をする場合には事前に専用の届出書を税務署に提出することが必要です。
これらの例に挙げたものの中でも金額によっては、経費としてではなく資産にあげることになる場合もありますので、迷った場合には専門家に相談するようにしましょう。
経費にできない具体例4選!
次に経費とみなすことのできないものも具体的にご紹介します。
・法人税や住民税、所得税 |
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・プライベートな生活費、交際費、住宅費 |
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・罰金 |
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・同一生計の家族に支払う費用 |
ただし、青色事業専従者給与の場合を除きます |
ご覧いただいてもわかる通り、基本的には事業と関係のない、プライベートな支出に関してはもちろんですが経費としてみなすことはできません。
経費を計上する際の注意点!
では、経費として計上をする際に注意すべき点についてまとめていきます。
税務署の調査
経費の額が前年と比較して異常に増えているような場合には、不正な取引があったのではないかと疑いをもたれてしまう可能性があります。
日頃から経費の額については注意をしておくようにしましょう。もし、大きな差が出てしまう場合にはその理由を明確にしておくことが必要です。
固定資産税
固定資産税は、基本的には経費にすることができますが、自宅と同じ建物で事業を行っている場合には、事業で使用している部分のみが経費ということになります。住居用の部分まで経費として計上することはできませんので注意しましょう。
10万円以上の固定資産
10万円以上の固定資産については、一度に経費計上することはできず、減価償却する必要があります。ただし、青色申告には特例があり、30万円未満の固定資産は一度に経費とすることができます。
年末の多額の支出
年末に通常と異なる多額の支出があった場合にも利益操作の疑いをもたれる可能性があるので正当な理由なく、経費をもっと増やしたいからといって支出を増やそうとすることは避けるようにしましょう。特に年末は注意が必要と言われています。日頃から経費の額は頭に入れておくと良いですね。
3か月間のお試し顧問契約!
今回は、「経費」について詳しく解説してまいりました。
経費のことを理解しておくことによって、日ごろの業務でも「これは経費になる」「これなならない」などの判断もつきやすくなるかと思います。
ただ、注意していただきたいことは、経費になるからといって必要でもないものをどんどん購入していったら、当たり前ですが無駄な支出が増えて本末転倒です。
支出は必要最小限に抑えながらも、最大限、経費として計上し、上手に節税対策を行っていくのが賢い方法ですね。
今回、経費についての具体例も挙げながらご紹介しましたが、今後、事業をやっていく中で「これはどうなのだろう」と頭を抱える場面があるかと思います。
不安な方や、スムーズに会計業務を行いたいといった方は専門家に相談してください。プロとして最適なアドバイスをしてもらえるはずです。
当事務所でも、経費についてなどはもちろん、会計業務、経理業務のサポートも幅広く行っています。初めての方もまずはお気軽にご相談ください。お待ちしております。
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