起業直後の会計業務。
経費計上の勘定科目やいつ計上するのかよく分からない..。と漠然としている方も多いでしょう。よく「経費を落とす」といった言い方で使われたりもしますが、正しく理解できていますか?
私のお客様でもよく分からないまま会計業務を進めてしまい決算間近で慌てて相談に来られる方もいらっしゃいました。
本記事ではそんな方のために、経費を費用計上するタイミングや考え方、やり方を解説していきます。
ぜひ、この機会に経費についての考え方を理解してください。
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Contents
経費を計上するとはどういうこと?
「経費を計上する」という言葉をよく耳にしますが、どのようなことなのでしょうか?
まず、経費とは、事業で使用したお金のことで、収益を得ることを目的として使用した費用のことを指します。
つまり「経費を計上する」とは、事業のために使用したお金を経費として換算する(帳簿などに記録する)ことをいいます。よく「経費で落とす」といった言葉も同じ意味として用いられています。
間違っても事業に関係ない支出を経費計上しないようにしてください。経費になるのかどうか判断が分からない方は必ず顧問税理士に確認しましょう。
ズバリ!経費を計上するタイミングは?
早速本題となりますが、ズバリ、経費を計上するタイミングは「取引が発生した時点」です。つまり、売上や支出が確定した段階で帳簿をつけるということになります。
ここでポイントとなるのが、金銭の出入りは関係なく、売上や支出が確定した段階で帳簿をつけるという点です。
具体的に以下でチェックしていきましょう。
商品を購入したとき
一番イメージしやすいケースが、何かの商品を購入したときです。この場合、代金の支払いが済んでいるかどうかではなく、注文した商品が正しく納品されている時点で経費として計上します。費用を支払ったタイミングは関係なく、商品を受け取ったかどうかがポイントとなります。
サービスを受けたとき
形がないサービスを購入した時も考え方は同じです。何かものを購入した時と同様に、サービスの提供が完了した段階で経費として計上します。仮に外注費の場合には、その業務が完了したという報告を受けた段階で経費の計上を行います。
クレジットカードでの決済の場合
クレジットカードで決済した場合には、カードの利用日(決済した日)に経費を計上します。例えば、業務で使用するものをクレジットカードで購入した場合、料金の引き落としは翌月だったとしても経費として計上するのは今月ということになります。
上記でご紹介した商品やサービスを購入した場合でもクレジットカード決済の場合には少し計上するタイミングが異なりますので注意してくださいね。
経費計上の際の考え方を理解しよう
経費を計上するタイミングについてご紹介しましたが、上のように何か取引が発生した段階で経費として計上するという考え方を「発生主義」といいます。
一方でその他の考え方として「現金主義」というものもあります。それぞれの違いや特徴についてご紹介していきます。
発生主義
先程もお伝えしましたが、発生主義とは金銭の出入りに関係なく、取引や経済的価値が発生するタイミングで経費として計上することです。
一般的に企業における経費計上の原則はこの発生主義が用いられています。
現金主義
一方で、実際に金銭の動きがあった時点(支払いが発生したタイミング)で経費として計上することを現金主義といいます。
クレジットカード決済に置いても決済された時点で経費として計上する発生主義とは異なり、引き落とされた時点で計上することになります。
この考え方は金銭の動きに軸を置いているため、前払いや後払いといったタイムラグに注意が必要となります。現金主義は資産や負債の規模が小さく、取引の全てを現金で行う規模の事業者で適用されることが多いです。
またこれらの考え方の他に会計における考え方としてもうひとつ「実現主義」というものもあります。これは、損益が実現した時点で計上するという方法です。実現した収益だけを計上するので確実性が高い会計を行えるとも言えます。
多くは、費用は発生主義、収益は実現主義で認識するように原則として定められています。
発生主義を行うメリット
ここで発生主義のメリットをご紹介します。改めてメリットを知識として知っておくことは大切になってくるので頭に入れておきましょう。
正確な財務状況の把握が可能となる
発生主義は、すでに説明したように物事が発生(購入したタイミング)での計上となります。仮に、仕入れと売上における現金の発生月が異なる場合で考えてみましょう。
支払いに基づいて計上する「現金主義」の場合、売上と費用は別々に計上することになり、正確な月の利益を計算することができません。一方で発生主義の場合には月の売上と費用を対比させて計上するため正確性が高くなると言えるでしょう。
税金対策がしやすい
税金の計算は、原則、発生主義で行います。そうすることで月単位の損益を正しく計上できるので納税金額の予測もしやすく、節税対策のための資金繰りや事業計画を立てるといったことも可能となるでしょう。
これらのメリットは、ビジネスをする上でとても重要となってきます。
発生主義での経費計上を行って、的確な財務状況の把握をしておくようにしましょう!
メリットがある分、会計処理自体は、金銭のやりとりがなくとも、経費や利益が発生したタイミングで計上することになるので、少し難しいと感じる方もいらっしゃるかもしれません。
経営者は財務状況を把握すべき
今回は、経費を計上するタイミングについて、考え方もふまえ、ご紹介いたしました。
現在、企業の多くは、発生主義の考え方を元に経費の計上が行われています。慣れないうちは発生主義での会計処理は確かに難しいと感じることも多いでしょう。ただ、一度覚えてしまえば財務状況を正確に把握することができるようになります。
慣れないことだからと言って会計業務を雑に行うと、後々、時間的にも費用的にも大きな損失となります。
どうしても本業優先で動いてしまいがちですが、安定的な経営を行う上では日々の会計業務も同じくらい重要です。
当事務所では、税務のプロとして事業者様の経理業務をサポートしております。ビジネスを始めようをされている方、自分でやろうとしたがよく分からないといった方でもまずはお気軽にご相談ください。
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