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決算申告の期限は?必要書類や手続きの流れ

決算申告

法人は個人事業主と違って、支払うべき税金が多く、税金に関して行わなければいけない手続きがあります。決算申告もその一つです。聞く機会がない言葉ですが、これから起業を検討している方や初めて決算申告を行う方は覚えておきましょう。

これから決算申告を行う方の中にも、

「決算申告はいつまでにやらなきゃいけないの?」

「どんな手続きが必要なのかわからない…」

「書類にミスや漏れがないか不安」

と、このような疑問や悩みを抱えている方が多いでしょう。決算申告の期限や手続きの流れ、必要書類などについて詳しく解説していきます。

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決算申告と確定申告の違いとは?

確定申告は、個人事業主や副業を行っている会社員などの1年間の所得に対する納税額を計算し、申告と納税を行う一連の手続きを指します。また、「確定申告」という言葉は法人税法や所得税法等で使用されています。確定申告について気になる方は、以下のURLから確認してください。

関連記事:【横浜市で確定申告に強い税理士】確定申告が必要な方や流れについて解説

一方で、決算申告とは企業や個人事業主が会計期間後に行う一定の手続きを指します。具体的には、会計期間中の財務状況をまとめて、決算書を作成し、決算書に基づいて税金を計算して申告を行うことなどが挙げられます。

「決算申告」は法律上に存在していない言葉であり、一般的には「決算に基づいた確定申告」を指す言葉として使われています。例えば、会社員で公的年金や医療費控除を適用したい場合は、確定申告が必要となりますが、確定申告の中に決算等は含まれていません。企業や個人事業主の場合は、事業の損益状態を確認し、財務状況を確定させるために「決算に基づいた確定申告」、いわゆる「決算申告」が必要となります。

まとめると「決算申告」は一般的に広い意味で使用されており、法人や個人事業主などが1年間の事業運営についてとりまとめ、所得などを計算する過程を含む「決算に基づいた確定申告」を指しますが、「確定申告」は所得を計算して申告書を提出することを指しているといえます。

関連記事:【横浜市で確定申告に強い税理士】確定申告が必要な方や流れについて解説

決算申告の期限|決算日から2ヶ月以内

法人税・法人事業税・消費税の決算申告期限は、原則決算日から2ヶ月以内と定められています。ただし、決算申告期限の日が土曜日・日曜日・祝日などにあたる場合は、休み明けの平日が期限となります。

例えば、3月31日が決算日の場合は、5月31日が決算申告期限となります。もし5月31日が土曜日だったとしたら、休み明けの月曜日である6月2日が申告期限となるため、期限の日にちには注意が必要です。

所得税の申告期限と混同しないように注意

法人税等と異なり、所得税の申告と納税期限は一律と定められています。所得税は、翌年の2月16日から3月15日の間に確定申告手続きを行い、納税しなければなりません。

法人税・法人事業税・消費税などは、決算日(事業年度終了日)から2か月以内と定められており、会社によって申告期限が異なります。会社の事業年度の開始日と終了日は、会社の定款によって定めた日付になっているため、その年度に合わせて都合よく変更を行うことはできません。

そのため、所得税の申告期限と混同してしまうと申告漏れが発生してしまいます。申告漏れや慌てて処理をしたことによってミスが増えてしまうとペナルティが課せられる可能性があるため、法人税などの申告期限は定款で定めた期日に則って、申告・納税を行いましょう。

【一覧】決算申告に必要な書類

ここで決算申告に必要な書類を確認していきましょう。申告・納税を行うにあたって、様々な書類が必要になるため、事前の準備や書類の整理を行い、適切な申告が行えるようにします。

どんな書類が必要かわからない方は、以下の表を参考にしてみてください。

決算報告書 ・貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書、株主資本等変動計算書などがあります。
・法人税申告書に添付する書類にもなります。
法人事業概況説明書 ・法人の事業内容や業種、従業員数、取引状況等を記載する書類で、具体的な事業の規模や企業の業態・経営状況などを確認するための書類です。
・申告書と合わせて税務署への提出が義務付けられています。
勘定科目明細書 ・主要な勘定科目ごとに収支の明細を記載した書類です。
・日常的に記載することで、適正な税務処理が行われていることの裏付けとして提出するものです。
総勘定元帳 ・すべての取引に関する収支や経理処理が科目ごとに記録されている元帳です。
・この書類を確認することで企業の経営状態を把握することが可能です。
領収書綴り ・経費の領収書をつづったものです。
・企業の節税対策にも関わる重要なものなので、領収書を忘れずに綴って管理します。
法人税申告書 ・法人税を申告するために必要な書類です。
・この書類は、国税庁のサイトから取得することができます。
参照:国税庁「法人税及び地方法人税の申告(法人税申告書別表等)」
消費税申告書 ・消費税および地方消費税を申告する際に使用します。
地方税申告書 ・法人住民税および法人事業税の申告書です。
・税務署ではなく、所在地である各都道府県への提出が必要です。
(事務所や店舗が複数ある場合は、分割申告が必要となります。)
税務代理権限証書 ・税務に関する申告書の提出や税務調査の立会い、問い合わせ等の対応を税理士が行う旨を記載した書類です。
・税理士にしか作成できない書類です。

決算申告の流れ

決算申告の流れや準備することは、法人税・法人事業税・消費税によって異なるため、ひとつずつ解説していきます。書類の違いやどのような手順で準備が必要なのかしっかりと確認しておきましょう。

法人税の手続き

法人税の「決算に基づいた確定申告」の手続きの流れは、以下の通りです。

①決算の準備

納税額を確定するには、適切な決算処理が必要不可欠です。そのため、日々行われている

仕訳を正確に行うことを意識しましょう。

確定申告の必要書類である決算書は、総勘定元帳や仕訳帳などの帳簿を基に作成されるため、日々の取引内容や収支について漏れがないように記載しなければなりません。日常的な業務である記帳をおろそかにしてしまうと、納税額が正確な金額より増えてしまう可能性があり、会社の負担も大きくなってしまいます。日常業務が負担と感じる場合は、計算ソフトを利用して作成したり、当事務所へ依頼することで業務の負担を軽減・計算や記帳ミスの発生を防ぐことができます。

「人が少ないから、税務に関してはできる限り外部へ委託したい」

「日常的に記帳をすることが大変」

「ミスをしないようにと考えすぎて疲れ果ててしまう」

上記のような悩みを抱えている場合は、当事務所へご相談ください!

②決算書を作成する

決算書の作成準備が整い、事業年度が終了したらできるだけ早めに決算書の作成に取り掛かりましょう。決算書の作成を行う際に重要になるのは、貸借対照表・損益計算書・キャッシュフロー計算書の3つの書類です。

この書類は、会社の財務状況や経営状態などを把握するために必要な書類となっており、確定申告だけでなく、経営者が財務状況を確認して経営改善を行うときや銀行などに融資を依頼する場面でも必要な書類です。

③法人税申告書の作成

決算書の作成が完了したら、期限に余裕をもって法人税申告書を作成しましょう。法人税申告書には1~20までの別表があり、企業や決算の内容によって記載すべき欄が異なるため、当事務所の税理士と確認しながら作成を行います。

④申告書を提出し、適宜書類を保存する

決算書と申告書の作成が完了したら、定款で定めた決算日から2か月以内に提出して申告を行いましょう。

また、決算書などの書類は申告手続き完了後に7~10年間の保存が法律によって義務付けられています。状況などに応じて保存年数が最低7年・最高10年と変化しますが、基本的には10年間保管していれば安心です。

⑤法人税を納付する

申告書を提出し、納税額が確定したら法人税を納付します。納付期限は申告期限と同様、事業年度終了日の翌日から2か月以内となっているため、納付が遅れないように日付には注意しましょう。

納付方法は、キャッシュレスで行える5通りの方法とそのほか2通りの方法があります。自分にあった納付方法を探してみてください。

<キャッシュレス>

ⅰダイレクト納付(e‐Taxによる口座振替)

ⅱインターネットバイキング等

ⅲ振替納税

ⅳクレジットカード納付

ⅴスマホアプリ納付

<キャッシュレス以外の方法>

ⅰコンビニ納付

ⅱ窓口納付

消費税の手続き

法人は消費税についても申告を行わなければなりません。シンプルな考え方として、会社が商品やサービスなどを提供して得た売り上げから、仕入れの時にかかった消費税を差し引いた金額が消費税となります。消費税の申告手続きについて流れを確認しましょう。

①消費税・地方消費税を計算する

事業年度における消費税額・地方消費税額を計算しましょう。計算方法は以下の3通りです。

・一般課税(原則課税)方式

 すべての取引の売り上げと仕入れにかかる消費税を集計して計算する方法

・簡易課税方式

 すべての取引の売り上げにかかる消費税額にみなし仕入率を乗じて計算することで仕入れにかかる消費税を算出し、売り上げにかかる消費税額から控除する計算方法

・2割特例

 免税業者からインボイス発行事業者となった事業者を対象にして、納付税額を売り上げにかかる消費税額の2割にすることができる方法

簡易課税方式で使われる仕入率は業界によって異なり、40~90%と幅が広く設けられています。自分の会社や事業内容にあった仕入率で計算を行いましょう。

また、2割特例は課税転換した事業者と、課税売上高が1,000万円以下の事業者が対象となり、対象期間が令和5年10月1日から令和8年9月30日までに属する各課税期間となっています。事前の申し込みなどは不要なので、対象となる事業者は活用したほうが節税対策になります。

②消費税申告書の作成

正確な税額が確定したら申告書の作成を行います。消費税申告書は、一般課税(原則課税)方式と簡易課税方式によって書式が異なるため、どちらで計算を行ったのか確認して、適切な書類で手続きを行いましょう。

2割特例の場合は、消費税の申告書第一表に「税額控除に係る経過措置の適用(2割特例)」欄が追加されているため、その欄に「〇」をつけて提出しましょう。

③消費税申告書を提出する

作成が完了したら、申告書のほかに添付する書類の準備を行い、税務署へ提出しましょう。申告書を含めた提出書類を以下の表にまとめたので、確認しましょう。

一般課税(原則課税)方式

・消費税及び地方消費税の確定申告書(一般用)
・付表1-3 税率別消費税額計算表兼地方消費税の課税標準となる消費税額計算表

・付表2-3 課税売上割合・控除対象仕入税額等の計算表
・消費税の還付申告に関する明細書(還付の場合)
・付表6 税率別消費税額計算表(2割特例の場合)

簡易課税方式 ・消費税及び地方消費税の確定申告書(簡易用)
・付表4-3 税率別消費税額計算表兼地方消費税の課税標準となる消費税額計算表
・付表5-3 控除対象仕入税額等の計算表
・付表6 税率別消費税額計算表(2割特例の場合)

④消費税・地方消費税を納付する

納付方法は、法人税と同様で以下の通りです。

<キャッシュレス>

ⅰダイレクト納付(e‐Taxによる口座振替)

ⅱインターネットバイキング等

ⅲ振替納税

ⅳクレジットカード納付

ⅴスマホアプリ納付

<キャッシュレス以外の方法>

ⅰコンビニ納付

ⅱ窓口納付

法人事業税・法人住民税の手続きの流れ

法人事業税は都道府県に、法人住民税は都道府県・市町村それぞれに納めるべき税金です。都道府県や市町村によって多少異なる点はありますが、手続きの流れは以下の通りです。

①必要書類の準備

まずは申告に必要な書類を準備しましょう。法人事業税と法人住民税は、各都道府県や市町村に納めるため、本店所在地がある地域のホームページで必要書類を確認しましょう。

神奈川県の法人事業税についてはコチラ

横浜市の法人住民税はコチラ

②法人事業税・法人住民税の申告書を作成

先述したように、申告書も地域によって書類の仕様が異なるため、事前に書き方やポイントなどを確認をしてスムーズに作成できるようにしましょう。

③作成した申告書類を提出

申告書の作成が終わったら、添付すべき書類とともに申告期限に遅れないように提出しましょう。

④確定した税額を納付する

申告書を提出した後はできるだけ早めに納付を行いましょう。納付方法はさまざまありますが、都道府県等によって異なるので、どのような方法があるのか余裕をもって確認しておきましょう。

神奈川県の法人事業税・法人住民税の納付方法は以下の通りです。

・金融機関窓口

・eLTAX(クレジットカードやインターネットバンキング等)

・県税事務所窓口

・現金書留

法人税や消費税と違い、納付方法が限られてくるため、納付できる場所や方法については期日ギリギリではなく、前もって確認して納付しましょう。

期限を経過するとペナルティが課せられる

申告期限を忘れてしまったり、手続きが間に合わなかった場合は、できるだけ早く申告・納付を行いましょう。

申告期限や納付期限を過ぎてしまうと、納付すべき税額に15~20%の加算税が課せられますが、税務署から指摘を受ける前に期限後申告を行うと加算税率を抑えることができます。

決算申告期限にかかる加算税は以下のようなものがあります。

チェックアイコン無申告加算税

申告期限を過ぎてしまうと無申告加算税が課せられます。加算税率は金額によって異なり、実際の計算式は以下の通りです。

ポイント
納めるべき税額のうち、50万円以下の部分に対する無申告加算税
無申告加算税=納めるべき税額×15%

納めるべき税額のうち、50万円を超える部分に対する無申告加算税
無申告加算税=納めるべき税額×20%

税務署からの指摘や調査を受ける前に自主的に期限後申告を行った場合は、「無申告加算税=納めるべき税額×5%」となり、負担が軽減されます。人によっては、どうしても申告期限を過ぎてしまうときやうっかり忘れてしまう場合があり、期限後申告になってしまうケースもあるでしょう。

そのような場合は、以下の条件を満たすことができれば期限後申告であっても無申告加算税を免除することができます。

ポイント
・申告期限から1か月以内に自主的に申告をしている
・納付すべき税金の全額を納付期限までに納付している
・期限後申告書を提出した日から起算して5年前までの間に無申告加算税や重加算税を課された事実がなく、期限内申告をする意思があったと認められた場合

期限を延長するためには?

法人税や地方法人税はある条件を満たせば、申告期限を延長することができます。延長することの条件は以下の通りです。

チェックアイコン国税庁が申告が困難と判断した地域や対象者に該当する場合

災害などの予測ができない事由により、申告期限に応じて申告を行うことが不可能と国税庁が判断した場合は、申請を行わなくても申告期限と納付期限が自動的に延長することが定められています。

チェックアイコン個別のやむを得ない事情がある場合

申告期限をうっかり忘れている場合などを除き、個別のやむを得ない事情がある場合は申告期限の延長が認められています。

やむを得ない事情というのは、「避けられない事由により会社が機能していない」「担当部署が機能せず、業務体制が整っていない」といったものです。

神奈川県の企業様|期日が迫っていても当事務所へお任せください!

今回は、決算申告の期限や手続きの流れ、ペナルティについて解説しました。事業年度が終了するタイミングでから手続きを行う必要があるため、会社内が多忙なタイミングで手続きをしなければならず、なかなか進まないことが多いでしょう。期日が迫ってくると慌てて手続きをしようと焦ってしまう方もいるかもしれませんが、その場合は当事務所へご相談ください。

当事務所では最短10日間で対応可能のため、「時間がない…!」「決算申告を行える人がいない」といった場合でも迅速に対応することができます。決算申告だけでなく、税務について困っている方がいれば、お気軽にご相談ください。

会計関連

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投稿日: 2024年12月23日   12:30 pm

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