銀行や公庫の融資で必ず求められる事業計画書。
融資を受けづらい企業の場合でも、事業計画書の内容に説得力があれば、金融機関での融資審査で有利になることも多々あります。まさに、審査に通るかどうかはこの事業計画書にかかっていると言っても過言ではないのです。
本記事では、銀行から融資を引き出す事業計画書の書き方や考え方について説明します。
Contents
事業計画書について理解しよう!
事業計画書とは、これから数年、どう経営し、何で利益をあげていくのかという計画を伝えるための書類です。事業立ち上げ時で資金調達する際に必要となります。
この事業計画書は、会社を設立するために必須のものというわけではありませんが、
作成することでビジネスプランもより明確になるはずです。
融資の有無にかかわらず作成してみることをおすすめします。
銀行は事業計画書の何を見ているのか?
まず、全体を通して意識すべき点をお伝えします。
精度の高さ
前提として、事業計画書は曖昧な表現では説得力に欠けてしまいます。正確な数値や目標、融資希望金額の根拠や使う目的、具体的な戦略を記載しましょう。運転資金が必要なのか設備投資に必要なのかなど資金使途も記載する必要があります。数字の整合性が取れていなかったり、内容に矛盾がないかも合わせて確認することが重要です。
実現可能性
いくらアピールしてもあまりに現実とかけ離れていたり、実現が困難な場合も逆効果となってしまいます。そのためにも具体的数値に基づく返済計画を記載することが大切になってきます。
わかりやすさ
第三者から見て理解しやすい内容であるかも意識すべき項目であると言えるでしょう。
業界特有の専門用語ばかりで羅列されていて内容が分かりにくくなっていては本末転倒です。誰から見ても十分に理解のできる表現を意識しましょう。
事業計画書に記載すべきポイント
「計画書」なので今後の計画のみ記入すれば良いと考える方もいますが、融資担当者に理解してもらえるように企業の定性情報などを記載することも有効です。
以下、銀行融資を受ける際の事業計画書に記載すべきポイントについてまとめます。
経営理念・ビジョン
理念は、その会社の事業における軸であり、いわば憲法のようなものです。
全ての事業内容はこの経営理念に沿って行われていくはずです。抽象的なイメージもあることから融資審査には関係がないと考える人もいるかもしれませんが、そんなことはありません。
なぜこの事業を行うのか、未来の理想、方向性などしっかりと経営理念について検討して、明確に記載しましょう。
会社概要と事業目的
会社の基本的な情報です。具体的には会社名、所在地、代表取締役氏名、資本金、設立年、株主構成、主な事業内容、従業員数などです。
事業目的については、曖昧な書き方をしてしまうと、融資の担当者から、何をする会社なのだろうという疑問を持たれてしまいます。どの市場・ターゲットに対して、どんな商品やサービスを提供するのか、そしてこれにはどんな魅力や特徴があるのかなど可能な限り明確かつ完結に記載しましょう。
第三者からみても「何をする会社なんだ」ということが一言で分かるよう記載してください。
経営者の経歴
創業者の経歴(学歴や職歴)や資格を記載します。創業間もない中小企業では、代表者の経験や能力、人柄が業績に直結することが多いため、事業目的にふさわしい経歴を強調して記載すると良いでしょう。
ここでの内容で「貸したお金をしっかり返す人」という印象を伝えられると効果的です。ただアピールしたいからと言って事業内容に全く関係のない内容を記載してしまうと逆効果の場合もありますので注意してください。
自社のサービスや商品の強み・特徴
事業を継続、成功させるには、会社のサービスや商品に対して顧客のニーズがあり、さらに価値を感じてもらわなければなりません。そのため、自社のサービスや商品価値だけでなく競合他社と比較したときの強みや特徴を記載することが大切です。
市場環境・競合
前の項目に通ずる部分となりますが、市場のニーズや他社の存在など、自分の事業の周辺の環境を簡潔に記載します。他社と比べてどう差別化していくのか、経営戦略をしっかりアピールします。
もし統計データがある場合には表やグラフを用いて記載してください。
取引先と取引条件
販売先、仕入れ先、外注先などのいわば「取引先」とその取引先との取引条件も明確に記載します。開業前の段階で仕入れ先、取引先を確保している場合にはそれだけビジネスへの本気度をアピールすることができます。
従業員などの社内体制
どのくらいの人員を抱えているのか。それぞれの役割も決めている場合には、それだけ本気で人員確保に取り組んだと判断できます。記載することで雇用の創出という社会的要請に応えることを示せてプラスになるでしょう。
売上に関する計画
どのように売上をつくるのか、また原価はいくらなのかという数値計画です。計画を立てる際には、各商品やサービスごとに分けて記載しましょう。予測を立てる際も曖昧なものではなくて、見込み客や公の経営指標などを参考にし、根拠のある実現可能な計画を示しましょう。
原価を考える際も同様です。利益を出すためには原価をどれだけ抑えられるかが重要になってきますので、しっかり検討しましょう。
利益に関する計画
この利益計画は特に重要視される項目です。
年単位、月単位で考えていくことが多いです。単に予測するのではなく、明確な数値として示し、達成するための具体的な施策を考え、実現のための戦略がその指標にどう影響を与えるかについて反映させる必要があります。
考えるときはまず1日ごと、1ヶ月ごとの数字を積み上げていき、年間の予想を立てていきます。
返済計画
融資の担当者は、貸したお金がどのように使われて確実に返済されるかどうかを重視します。そのため、返済計画は当然のことながら必ず聞かれます。利益の計画に基づき、返済のための資金をどのように用意して、月々いくら返済していくかを明確に記載してください。
第三者の意見を聞いてみよう
今回は、事業計画書の書き方と考え方について簡単にまとめてみました。
融資を実行できるかどうかはこの事業計画書に大きく左右されます。また、事業計画書をしっかり作成することで、融資を受けることが可能となるだけでなく、経営者にとっても今後のビジネスを成功させる上で大いに役立つはずです。
お分かりいただいている通り、パッと作成できるものではありません。また、「自分ではわかりやすい事業計画書だと思っていてもその業界のことを知らない第三者からすると理解できない。。」ということは多々あります。
・客観的に見てわかりやすいか。
・融資側の視点で見たときの印象は良いか。
という視点を持つことが大切です。
当事務所では、融資を成功させる事業計画書作成の代行もサポートしております。まずはお気軽にご相談ください(^^)/
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