昨今、多種多様な働き方に加えて、会社に勤めるサラリーマン(会社員)が副業として本業とは別のビジネスを行っているケースも増えています。
副業が軌道に乗ってくると、「そのビジネスをもっと拡大したい」「起業したい」と考えるのは珍しくありません。ただ、完全な未経験からいきなり会社設立しようと考えると途端にハードルが高いと感じる人も多いのではないでしょうか。未経験から起業するにあたって正しい知識を身につけ行動すると人生の選択肢ももっと増やすことができますよね!
今回は、サラリーマンが副業のための会社を設立するポイントとして具体的な方法やメリット、最適なタイミングなどをご紹介していきます。
副業サラリーマンが起業をするタイミング
【平成27年以降分の所得税速算表】
【平成31年以降の普通法人の法人税率】
♦所得330万円以上になったとき
まず一般的に副業をしているサラリーマンがどのようなタイミングで起業して会社設立をしているのでしょうか。起業する理由で一番多いのが、税負担の軽減です。個人事業主と法人では負担する税額が変わるため、ある程度の収益がでると会社設立を検討するのが一般的です。
個人事業主と法人では税金の種類が異なってきます。個人事業主では所得税、法人の場合には法人税が課せられます。一つのタイミングとして所得税の税率が法人税の税率を上回った時(おおよそ所得330万円)が考えられます。330万円がラインと考えられるのは所得ごとにかかる税金を考えて個人と法人それぞれで確定した場合の税負担が330万円以上になると個人の方が高くなるためです。
♦課税売上高が1,000万円以上になったとき
売上が年間1,000万円を超えると、消費税の納税義務が生じます。
課税売上高とは消費税の課税対象となる売上高のことで、土地の売却収入などを除くほとんどの売上高が課税売上高となります。
しかし、課税売上高が1,000万円を超えて2年間は消費税の納税が免除されることになっています。このため、課税売上高が1,000万円を超えるタイミングで会社設立をすれば節税対策になります。
♦その他のタイミング
税金面以外に考えられるタイミングとしては、社会保険の加入や会社運営に必要な費用を考えたときに個人で事業を行った場合と比べてどちらが良いか検討した時などです。
法人になると個人よりも経費の範囲は広くなりますが、その分事務負担や手続きなどは増え専門家と顧問契約をむすんだりと必要な費用自体は増えることもあります。税金だけではなく、その他の費用なども考慮した結果、所得が900万円前後で法人化を考えるべき場合もあります。
個人の事業によっても様々ですので、もし会社設立を考える場合には税理士などプロに一度相談してみることをおすすめします!
サラリーマンが起業をする流れ
続いて、検討した結果、会社を設立しようとなった時の具体的な流れについてご紹介していきます!
会社設立に必要な一般的な流れは以下の通りです。
- 定款を作成する
- 公証役場で定款の認証を受ける
- 会社設立登記申請書などの準備をする
- 法務局で登記申請を行う
- 登記完了後、登記事項証明書を取得する
- 法人の印鑑証明書を取得する
- 法人設立届出書など税務署関連の手続きを行う
- 社会保険関連の手続きを行う
サラリーマンが副業のための会社を設立する際も、一般的な会社設立を同じ手続きが必要になります。上記でも記載のある定款や登記申請書、印鑑証明書など様々な書類が必要になりますので漏れのないように事前にしっかりと準備をしておくことが大切です。
会社設立の流れについては、こちらの記事でもまとめてますのでご確認ください。
副業で会社を設立するメリット・デメリット
副業サラリーマンが会社設立を行うことによるメリットとデメリットをご紹介していきます。どちらも知った上で違いを比較して会社設立を検討していきましょう。
♦会社を設立するメリット
法人化することによりメリットは以下の通りです。
・節税効果を得やすい
前述している通り、個人が会社設立する理由の多くを占めているのが節税です。個人事業の場合の所得税は累進課税のため、所得が増えるとその分税率も上がります。一方で法人の場合の法人税は最大でも23%です(個人の場合は900万円を超えると33%、最高税率は45%)。年間の所得がある一定額継続してある場合は法人化を検討して良いでしょう。
・社会的信用を得やすい
一般的に個人よりも法人の方か社会的な信用は得やすいと考えられます。今後事業の拡大を視野に入れていたり、人材を雇用したいと考えていたりする場合は法人の方が新規取引先確保や優秀な人材確保に有利に働くかもしれません。
・資金調達をしやすい
金融機関からの資金調達の際にも法人化していた方が有利に働く可能性が高いといえます。理由としては法人の方が財務管理の面でその会社がどのくらいの資産を持っているのかを判断しやすいため金融機関としても融資の判断がしやすいためです。
・決算月自由に決めることが可能
個人事業の場合は、事業の年度は1月から12月までと決まっています。しかし、法人の場合は事業年度を自由に設定することができます。そのため、事業の繁忙期と決算のための事務手続きを行わなければならない時期をずらして選ぶことができるのです。
・法人の財産は直接的には相続税の対象にならない
個人事業の場合は、その経営者が死亡すると財産がすべて相続の対象となりますが、法人の場合には相続という概念そのものが存在しないため、相続税もかかりません。
♦会社設立のデメリット
一方でデメリットとしては以下が挙げられます。
・会社設立にコストがかかる
前述したように会社設立する際には様々な手続きが必要となり、その際の定款作成、登記などのための一定費用もかかってきます。個人によっても異なってきますが最低でも20万円は考えておくべきでしょう。
・社会保険の加入が必須
法人化すると、健康保険と厚生年金保険に加入することが義務付けられています。個人の場合の国民健康保険と国民年金と比較しても高くなります。また、従業員を雇う場合には保険料は会社と本人が折半となり、人数が多ければその分支払う額も高くなっていきます。
・赤字でも法人住民税の均等割りは負担
法人の場合には、利益に課せられる税金と利益に無関係に課せられる税金があります。もし赤字となった事業年度であったとしても、法人の場合は法人住民税均等割が課せられるため、その分は支払わなければなりません。
・事務的な負担が増加する
法人化すると、個人事業とりも厳密な財務管理、社会保険の手続きなど会社を運営していくにあたっての事務的な負担は増加します。副業で会社を設立した場合、本業もある中での事務手続きの増加はとてもネックになるのではないでしょうか。全てを自分一人で行うのではなく、この場合は専門家に依頼するのが通常です。その際は当然コストも必要になってきますのでしっかり事前に検討しておくようにしましょう。
注意すべきなのは、サラリーマンが副業を法人化したことで際には税負担で思ったより節税効果が得られなかったり、その他ランニングコストにより赤字になってしまったりという場合ももちろんあるということです。
副業として法人化をする場合は、上記のようなメリットおよびデメリットをしっかり比較して、税金面、事務負担、コストなど様々な観点から検討しましょう。
会社設立のタイミングはご相談ください
今回は副業を行っているサラリーマンに向けて、会社を設立する際のタイミングや流れ、メリット、デメリットをご紹介していきました。
個人事業の内容によっても会社設立した方が得だと思われるタイミングなども様々です。税金面などによっても一概には言えないため、しっかりと知識をつけた上で自分の事業の状況や条件にあわせて検討するようにしましょう。
当事務所は個人の方の会社設立のサポートもさせていただいています。
会社設立を検討されている方、悩まれている方、まずはお気軽にご相談ください!
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