会社経営者の皆様、「社会保険」について理解していますか?
会社設立時には様々な手続きが必要となりますが、その一つとして社会保険の加入が必須になっています。未加入のまま経営を続けていれば法に基づく罰則を受けることになります…….。
これから自分でビジネスを始めるならば、避けては通れない社会保険!
今回は、社会保険の加入条件や手続きの流れについて詳しく解説していきます!事前に知っておき、いざという時にはスムーズに手続きを行うようにしましょう。
Contents
社会保険について知ろう
社会保険とは、公的な費用負担によって、被保険者や被扶養者が病気や高齢、介護、失業、労働災害などのリスクに備えるための制度で下記の5つの保険の総称です。
- 健康保険:病気やケガなどをした時に必要な給付を受けることができる医療保険
- 厚生年金保険:企業に勤める労働者を対象にした公的年金制度
- 介護保険:要介護認定または要支援認定を受けたときに介護サービスを受けることが出来る
- 雇用保険:従業員が失業した場合などに金銭面をサポートする制度
- 労災保険:労働者災害補償保険法に基づき、民間企業の従業員とその遺族に適用される公的保険制度
狭義の意味での社会保険
中でも健康保険と厚生年金保険の2つを狭義の意味での社会保険とも呼ばれ、今回はこの2つに絞ってそれぞれ解説していきます。
会社設立時|社会保険の加入は必須
まず、会社を設立したら、法律によって社会保険に加入することが義務付けられています。これは従業員の有無に関わらず、たとえ一人の場合でも一定以上の報酬がある場合は該当します。もっと詳しく見ていきましょう。
♦社会保険加入の条件
☆国、地方公共団体または法人の事務所
☆一定の業種(製造業、土木建設業、鉱業、電気ガス事業、運送業、清掃業、物品販売業、金融保険業、保管賃貸業、媒介周旋行、集金案内広告業、教育研究調査業、医療保険業、通信報道業など)であり、常に5人以上を雇用する個人事務所
なお、上記に該当しない事務所であっても、従業員の半数以上が厚生年金保険等が適用されることに同意して、事業主が申請して認可をうけた場合は任意適用事務所として働いている人全員が社会保険に加入することになります。
万が一、社会保険に入っておらず、それが発覚した場合、最悪のケースでは過去2年にさかのぼって保険料を徴収されたり、罰則を受けたりする可能性があります。具体的には、以下のような罰則が定められています。
6ヶ月以下の懲役、もしくは50万円以下の罰金
♦社会保険の対象となる従業員
2020年5月より社会保険の適用拡大が示された法律が成立しました。これによりパートやアルバイトなど短時間労働者も、社会保険の被保険者ということになりました。
社会保険適用対象者の一覧
2016年10月~ |
2022年10月〜 |
2024年10月〜 |
週20時間以上 |
週20時間以上 |
週20時間以上 |
月額賃金8.8万円以上 |
月額賃金8.8万円以上 |
月額賃金8.8万円以上 |
雇用期間1年以上が見込まれる |
雇用期間2カ月超が見込まれる |
雇用期間2カ月超が見込まれる |
学生は適用除外 |
学生は適用除外 |
学生は適用除外 |
従業員数501人以上の企業 |
従業員数101人以上の企業 |
従業員数51人以上の企業 |
自社が加入していない場合と同様に、加入対象者の従業員がもし未加入のまま放置されていても最悪の場合、懲役または罰金などの罰則が科せられます。自社に加入対象となる従業員がいないかどうか、いる場合はしっかり加入しているか経営者としてこまめに確認しておきましょう。
実際に社会保険加入する場合
♦社会保険加入の流れ
では、続いて社会保険加入の流れについてご説明していきます。
- 社会保険への加入義務の事実が発生してから(法人であれば会社設立から)5日以内に、事務所の所在地を管轄する年金事務所にいく
- 健康保険・厚生年金保険新規適用届、被保険者資格取得届、被扶養者届、保険料口座振替納付申出書(被保険者に扶養家族がいる場合)を日本年金機構へ提出(送付)する
これらの書類は年金事務所で受け取るか、日本年金機構のサイトからダウンロードすることも可能です。
♦必要書類について
次に、加入手続きの際の必要書類についてさらに詳しくお伝えします。
社会保険に初めて加入する際に提出する書類でこのほかにも提出日の90日以内に発行された会社の登記簿謄本の原本(法務局で取得可能)の添付が必要となります。また、もし会社の場所が登記した場所と異なる場合には会社の賃貸借契約書のコピーや公共料金の領収書など会社の所在地を確認できる書類も必要になります)
健康保険、厚生年金保険被保険者資格取得届は、役員だけでなく従業員も全員分提出する必要があります。基本的には添付書類は不要ですが、60歳以上の方が退職後1日の間もなく再雇用された場合や国民健康保険組合に引き続き加入し、一定の要件に該当する場合などは別途該当する添付書類が必要となりますので注意してください。
役員や従業員に扶養家族(配偶者や子供、父母など)がいる場合に提出してください。
続柄を証明するために戸籍謄本または住民票(提出日から90日以内に発行されたもの)の添付が必要になります。また、場合によっては届出書に被保険者と扶養される方のマイナンバーが記載されている場合は住民票などの添付は不要であったり、その他でも所得要件を確認する書類の添付が必要な場合があったりします。詳しくは日本年金機構のホームページでも確認することができますので、こちらも事前にしっかりと確認しておきましょう!
上記で紹介してきたように会社の役員や従業員の要件によって添付しなければならない書類の有無や種類が異なってきますので、不安な場合は一度専門家に相談されるのをおススメします。
関連記事:税理士と社会保険労務士(社労士)の業務の違い|どちらに依頼すべき?
♦従業員を採用した際や被保険者の扶養家族に増減があった場合
自社で新しく従業員を採用した際には採用日から5日以内に「健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届」を日本年金機構へ提出する義務があります。提出方法は郵送、持参または電子申請などの方法があります。
♦従業員が退職する場合
従業員が退職した場合には、健康保険・厚生年金保険の「被保険者資格喪失届」を年金事務所に提出します。こちらも5日以内に年金事務所の窓口、郵送、インターネットのいずれかの方法で提出となります。従業員が退職した際には、社会保険の手続き以外にも雇用保険脱退の手続き、所得税・住民税関連の手続きも必要になってきます)
上記で説明した通り、社会保険の手続きには期限があるため、前もって計画的に準備を進めていくことが非常に重要となります。決められた期間に漏れの無いように書類を作成し、提出しましょう。
社会保険手続きはプロにお任せ!
今回は知っているようで詳しくは知らない社会保険についてご紹介しました。
個人の働き方が多様化している今、それに伴い社会保険の適用条件も拡大されています。これから会社の設立を考えている方、個人事業主の方、しっかりと社会保険について理解し、漏れのないように手続きを進めていきましょう。
ただ、会社設立時にはその他にも様々な手続きややるべきことがあります。
ネットで調べても良く分からない….。
なかなか社会保険の手続きまで手が回らない……。
といった声も多く寄せられています。当事務所では社会保険の手続きの代行も行っております。プロに依頼して効率よく創業時の手続きを進めていきませんか?
気になる方は、まずはお気軽にご相談ください!お待ちしています(^^)/
関連記事:【知っておきたい】会社設立時、設立後にかかる税金とは?
関連記事:【2023年10月開始】インボイス制度とは?すべき対応を分かりやすく解説