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合同会社で後悔する理由|失敗例や後悔しないための対策とは?

後悔

「合同会社として会社設立しようと考えているが、失敗しないか不安」

「個人事業主から法人化を検討しているが、株式会社と合同会社どちらにしようか悩んでいる」

会社を設立・起業に伴って上記のような不安や悩みを抱えている方は少なくありません。

収益が増加してくるとさまざまな面で、制度の活用や補助を受けることができるので、法人化を検討することがあるでしょう。

会社形態によって、違いがあるので理解をしたうえで手続きが必要になります。

会社形態は「株式会社」や「合同会社」、「合名会社」「合資会社」などがあり、法人化のメリットがある一方で、後悔するケースがあります。

今回の記事では、会社設立を考えられている方に向けて、「株式会社」と「合同会社」の違いや「合同会社」を設立して後悔する理由や失敗したケース、後悔しないための対策を紹介します。

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合同会社とは何?

会社形態は、上記で示したように「株式会社」「合同会社」「合同会社」「合資会社」の4つの種類から選択することができます。

ただ、「合同会社」と「合資会社」はほかの2つと比較して設立件数は少ないため、基本的には「株式会社」か「合同会社」のどちらかを選択して設立するのが一般的です。

株式会社は、出資者と経営者が分けられていますが、合同会社は「出資者と経営者が同一である会社形態」を指します。その他の違いは以下の表のとおりです。

株式会社 合同会社
会社の意思決定 株主総会 社員総会
会社の経営者 取締役 各社員(業務執行社員を選任することも可能)
会社の所有者 株主 各社員
経営者と所有者の関係 経営者と所有者が分離 経営者と所有者が一致
役員の任期 通常は2年、最長10年 任期無し
会社の代表者 代表取締役 各社員(代表社員を定めることも可能)
決算公告 必要 不要
定款の認証 必要 不要
設立登記の登録免許税 15万円 6万円

合同会社は、株式会社よりも会社設立に関する手続きの負担や費用が少ないため、手続きの面からみると個人事業主から法人化を考えている方は検討してもいいかもしれません。

関連記事:設立の流れ|合同会社に向いている業種は?手順やメリットを解説

合同会社を設立して後悔する理由

実際に合同会社を経営していくなかでメリットもあれば、株式会社を選択した方が良かったと後悔する場合もあります。

合同会社を設立して後悔する理由を、個人事業主や株式会社と比較して解説していきます。

思っていたより節税効果がなかった

法人化を検討している方の中には、「税金の負担を軽減したい」「法人化すれば個人事業主の時よりも税率が抑えられる」と思っている方が少なくないでしょう。

しかし、税負担を軽減できるのは一定の収益を継続して見込める場合のみです。

個人事業主に課せられる所得税は、所得金額によって税率も変化する累進課税制度を導入しているため、所得が高ければ高いほど比例して所得税率も高くなります。

一方で、法人は所得税が一律と定められているため、所得金額が大きければ法人化した方が税率が個人事業主よりも低くなり、税負担が軽減される仕組みです。

法人税の税率は、普通法人や人格のない社団等は23.2%、資本金が1億円以下の普通法人や一般社団法人等または人格のない社団等の所得金額のうち年800万円以下の金額については15%と定められています。

個人の税率は、695万円から899万9千円の所得金額の場合は税率が23%と定められているため、900万円を超える所得が得られる場合は、税負担が軽減されると考えてよいでしょう。

法人税税率

国税庁|法人税の税率

個人所得税税率

国税庁|所得税の税率

関連記事:会社設立における節税メリットとは?

法人税以外の税負担がある

法人税以外にも、さまざまな税金が発生するのでしっかりと覚えておきましょう。

<所得を基準にしてかかる税金>

  • 法人税
  • 地方法人税
  • 特別法人事業税
  • 都道府県民税
  • 市町村民税
  • 事業税

<資産等を取得・所有している場合にかかる税金>

  • 登録免許税
  • 印紙税
  • 不動産所得税
  • 固定資産税、都市計画税、償却資産税
  • 事業所税
  • 自動車税

不動産や事務所などを複数所持している場合は、複数個所分の不動産所得税や固定資産税等がかかるので、管理を徹底しましょう。

上記のようにさまざまな税金がかかるため、税理士などの専門家に相談を検討しましょう。

維持費がかかる

会社設立費用などは、株式会社よりも合同会社の方が負担が少ないです。

(株式会社の相場の目安は22万円~24万円、合同会社の相場は10万円程度)

しかし、事務所などを所有したり、従業員を雇用することになった場合は、維持費用が発生するため、これからずっと支払うことができるのかという点を事前に確認しておきましょう。

維持費というのは、従業員の社会保険料や事務所を管理・維持するための光熱費などが挙げられます。社会保険は法人化によって加入が義務付けられており、従業員数が増えていくことでさらに負担が大きくなります。

事務所に関する維持費は、部屋を借りた場合の家賃や光熱費、インターネットなどの回線費用が収益問わず毎月発生するため、借りる場所などは計画的に考える必要があります。

上記のように、会社を今後経営していく課程で定期的にかかる費用または増加する費用があり、売上の金額にかかわらず支払わなければならないため、コストを軽減する制度や補助金の活用を検討しましょう。

自由に使えるお金がない

個人事業主の場合は、事業で得た売上は自分自身の所得になるため、自由に使うことができます。事業で得た収入を生活費や投資費用に充てることが可能です。

一方で、法人化すると「会社の資産」と「個人の資産」が明確に分離されるため、お金を自由に使うことができなくなります。

法人の資産になるため、仮に代表取締役だったとしても会社の資産を勝手に使用することはできません。法人の銀行口座から個人的な引き出しは、税務上の問題を引き起こすリスクがあり、横領とみなされる場合もあるため、財務管理は適切に行いましょう。

管理や手続きの手間が多い

個人事業主とは異なり、会社法や税法などの法律によって最低でも1年に1回は決算を行い、税務申告などを行う義務があります。

経理や決算に関わる業務を行うにあたって、会社法や税法、企業会計基準、会社計算規則などの法令や指針に従い、専門的な知識が必要になるため、人材を育成する労力と時間を要します。

また、会社の事業拡大を検討している場合は、従業員も増加するため、入社する従業員の給与や社会保険、健康保険、年金保険などの手続きも必要となり、業務負担が大きくなります。通常の業務と並行して手続きを行うとなると、専門知識が備わっていないため、書類の不備や誤った金額で保険料が徴収されてしまうリスクがあり、従業員の生産性が落ちてしまう危険性があります。

会社の規模が小さい場合でも、「自分でどうにかなるだろう」といった考えをもっていると、後々大きな失敗につながるので、規模に関わらず注意が必要です。

法人の経理や決算、税務に関する業務は専門知識が必ず必要になるため、税理士などの専門家と顧問契約を結び、サポートを受けることをおすすめします。

対外的信用が株式会社より低い

合同会社は株式会社と比較して、対外的信用が低い傾向があります。

その理由として、株式会社よりも認知度が低く、決算の公告義務がないため透明性が低いことから取引先からマイナスなイメージを与えてしまう可能性があります。

規模をこれから拡大する予定がなく、対外的信用が必要な大手の取引先と契約する予定がなければ、会社形態にこだわらず、合同会社でも問題ないでしょう。また、業種によって対外的信用が必要になる場合があるので、事前にリサーチを行うことで会社形態を決めることを検討しましょう。

関連記事:【徹底比較】合同会社と株式会社の税金/費用の違い

意思決定が困難になる場合がある

合同会社は、「経営者と出資者が同一」という特徴を持っているため、従業員の報酬や定款などを変更する際に意思決定を行いやすいというメリットを持っている一方で、社員間で揉めてしまった場合は意思決定がうまくできないことがあり、困難に陥ってしまう可能性があります。

出資者は、出資している金額を問わず、平等に経営権が与えられているため、出資者間で考えが合わない場合は事業が止まってしまうリスクがあります。出資者と対立してしまったことで事業継続が困難になるケースもあり、合同会社の「経営者と出資者が同一」というメリットがデメリットにもなり得てしまいます。

一方で、株式会社は出資者が保有している株式の数によって意見が優先されるため、揉めることはありません。

出資者間の対立を未然に防ぐためには、経営方針について話し合い、統一させておくことが必要です。

事業内容や事業規模、雇用条件などの今後変更が必要になる可能性があるものは、出資者が対立する原因になる可能性があります。そのため、対立を防ぐために方針は統一しておきましょう。

資金調達の方法が限られる

株式会社は株式を発行することで、多くの方に出資を募ることが可能ですが、合同会社はそのような仕組みは持ち合わせておらず、資金調達の手段が限られています。

合同会社は、出資者が社員に該当するため、外部に対して出資を募ることができません。そのため、早急に資金が必要になった場合は合同会社の会社形態では対応できないので、後悔してしまうケースがあります。

合同会社の場合は、金融機関などからの融資や経済産業省や厚生労働省などの国が主催している補助金制度を活用して資金調達する必要があります。しかし、どちらも審査や手続きに時間を要するため、即日振込が行われるわけではないので注意が必要です。

失敗しないための3つの対策

合同会社を設立したことで後悔した理由について解説しましたが、後悔しないためには事前の対策が必要です。対策をしておくことで後悔せずに会社経営に取り組むことができるので、会社形態を合同会社にしようか検討している方は、参考にしてください。

出資者同士で経営方針について話し合う

後悔する理由の「意思決定が困難」という項目でも触れましたが、合同会社は出資者の出資金額を問わず、平等に経営権が与えられるため、意見が対立してしまう可能性があります。

意見が対立して意思決定が拮抗してしまわないように、経営方針について話し合いを行って対策を講じましょう。

事業内容や規模、利益分配の割合などのさまざまな内容で出資者同士で話し合う機会があります。その際にトラブルなどを防ぎ、人間関係を良好にするために事前に重要事項について話し合い、定款に定めるべき内容は決めて記載しましょう。

関連記事:トラブルに注意!共同経営のメリットとデメリットについて解説

役員報酬について確認して合意できる金額を設定する

合同会社の役員報酬は、社員総会によって決めることができます。役員報酬は毎月決まった日付に決まった金額を支払うことが原則です。これを「定期同額給与」といい、基本的に役員報酬は定款に記載されます。

設立または事業年度の開始から3ヶ月以内に役員報酬を決定する必要があり、3ヶ月を経過してしまうと原則変更することはできないので注意が必要です。

「定期同額給与」の場合は、税務上、損金として扱うことが認められているため、税金の負担を軽減が可能となり、節税効果が期待できます。

役員報酬の金額を設定する場合は、同業種・同規模の会社を参考にしたり、社会保険料や税金等のバランスを考えて金額設定を行うことで、出資者の同意を得やすくなります。全員が納得できるような金額設定が望ましいため、金額の根拠を明確に伝えることが重要です。

税理士に相談する

事業拡大を検討していない場合は、外部へ相談する必要はないと判断する方もいますが、法人成りをした場合、税務に関する専門知識は必要になるため、税理士などの専門家に相談しましょう。

経理や決算については自分で行うこともできますが、税務調査や確定申告に関しては手続きや対応が複雑になるため、専門家を頼った方が心強いでしょう。

また、税理士がいることで、節税やインボイスなどの制度に対するアドバイスをしてくれるため、経営についてもメリットが大きいので、顧問税理士として契約、依頼することも検討してみてください。

関連記事:会社設立に税理士は必要か?流れや費用についても解説‼︎

自身に合った会社形態を選ぼう

合同会社を設立して後悔した理由や失敗したケース、失敗しないための対策、準備について詳細をまとめました。

合同会社の設立で後悔したくない方は、事業規模や経営方針などを考えたうえで法人なりをすべきか、どの会社形態にするべきかについて検討しましょう。会社形態によってメリット・デメリットや自身の考えている経営方針に合っているのかなどが異なるため、慎重に判断しましょう。

いろいろ考えたうえで判断が難しい場合は、専門家に相談してアドバイスをもらいましょう。税務面や補助制度など専門知識が備わっているため、自身の希望に沿った手続きを案内することが可能です。当事務所では、税務、会計に関するサポートを行っており、今なら毎月3社に限り手数料を無料で会社設立のご支援をしております。多くの経験と実績がございますので、会社設立に悩んでいる方や顧問税理士を探している方は下記フォームよりお気軽にご連絡ください。

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投稿日: 2024年7月16日   3:39 pm

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