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法人決算を自分で行うには?流れや注意点を解説!

法人決算

会社経営をしていると、通常の業務以外にも財務・経理業務として様々な事務作業が必要になってきます。その中の一つとして「法人決算」があります。

なんとなく聞いたことはある、もしくは初めて耳にしたという方もいらっしゃるかとは思いますが、今後、自分でビジネスを行っていきたいと考えている場合には、避けては通れない業務です。しっかりと理解しておかないと決算を行う時期になって「対応できない!」という事態にもなりかねません。

そもそも法人決算って何かわからない

自分でやる方法って?

流れを詳しく知りたい!

今回はこのような疑問や悩みをお持ちの方へ向けて、法人決算についての流れや注意点。自分で法人決算を行うメリットやデメリットも含めて詳しく解説していきます!是非、参考にしてください。

法人決算とは?

まず初めに「法人決算」についてしっかり理解しておきましょう。

法人決算とは、会社の年間の損益をまとめて、書類を作成する手続きのことをいいます。

全ての会社は、事業年度の期末に1年間の締めとして、営業の成果や会社の財政状態を決算書にまとめなければなりません。この手続きのことをそもそも「決算」といい、このまとめた書類を「決算書」と呼びます。

決算を行う事業年度の最後の月を「決算期」と呼び、この期間に決算報告書を作成します。個人事業主の場合にはこの期間が1月1日から12月31日と決められていますが、法人の場合には、会社ごとにいつからいつまでを会計期間にするのかを自分達で決めることが可能となります。例えば、決算期が3月ならば、決算では4月1日から3月31日までの業績を集計することになります。

決算書を元に納める税金を確定させて、税務署に申告書などの書類を提出することを「決算申告」といいます。決算で作成した決算書は、税務申告書などと一緒に税務署に提出しなければなりません。税金の申告や納付には期限があり、原則としては事業年度終了の日の翌日から2ヶ月以内となります。この期間内に行うことができるように前もって計画的に法人決算の準備を進めていくことが大切です。

具体的な流れについては後ほど解説しますが、法人決算で行う代表的な作業は以下の通りとなります。

  • 帳票の整理や確認、転記
  • 決算書や関連書類の作成
  • 税務申告、納税
  • 決算書や関連書類の保存、保管

これらのどれも大変重要な作業になりますので、しっかりと確認しておいてくださいね!

法人決算の目的について

続いて法人決算を行う目的について解説します。この法人決算を行う目的について、単純に法律で定められているからという理由だけではありません。目的を理解することでより重要さが分かり、前もって作業を進めておこうという考えになるでしょう。

では詳しくお伝えしていきます。

業績を正しく把握し、改善する

法人決算によって作成される決算書は経営者自身が会社の業績をしっかりと把握して分析、そして今後の経営方針を定めていく非常に重要な資料になるのです。

会社を運営していくには、経営がうまくいっているなという感覚だけではどうにもなりません。しっかりと数値面から把握することは経営管理上とても重要です。決算を行うことで、今までの変化や現状を客観的に分析を行い、そこから改善点を模索したり、今後の事業をどのように成長させていくのかを検討したりすることができます。そのため、会社を経営していく上で、法人決算は不可欠な業務であると言えるでしょう。

税金を正しく申告する

会社では、決算書を元にして1年で納めなければならない税金の金額を計算して、税務署に申告、そして納付を行わなければなりません。法人として申告すべき税金の種類は後ほど詳しくお伝えしますが「法人税」「消費税」「法人事業税」「法人住民税」などです。そして、それらの多くはこの決算書で分かる所得金額を元に計算されます。正しく税金を申告するのは経営者として当然のことですが、そのためには決算を行うことは必要不可欠であるといえます。

銀行からの融資を受ける

会社として事業を拡大したいとなった時、必要になってくるのが資金調達です。資金調達の手段として代表的なのが金融機関からの融資。融資を受けるには銀行などの金融機関などに申し込みを行いますが、その際に決算書は必ず提出しなければならない資料の一つとなります。金融機関は提出された決算書を元に融資を実行するか否かの判断を下します。

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株主や取引先などに業績報告を行う

決算を行うことで、会社の株主や取引先などの関係者に現在の経営状況を報告することができます。株主は自分の出資した額が適切に運用されているかどうか知る必要があり、決算書を作成しなければ知る由がありません。その為、多くの場合では、決算を行った後に株主総会で業績報告を行います。

決算を自分で行うのに適した企業

法人決算は税理士に依頼するケースが多い傾向にはありますが、自社で対応する場合もあるかと思います。まずは自社で行うのに比較的適した企業についてご紹介します。

法人決算を自分で行うのに適した企業は、創業して間もないスタートアップ企業や小規模な企業です。実際に対応するには、それほど深い領域の専門知識がなくとも可能なのですが、簿記3級程度の知識があると安心して実施することができるでしょう。よりスムーズに決算を行うのには、会計ソフトなどを利用することをおすすめします。最近ではfreeeマネーフォワードなど便利なクラウドの会計ソフトもありますので、導入を検討されても良いでしょう。

自分で法人決算を行うメリット

自社で法人決算を行うのに適した企業をご紹介しましたが、続いては、自社で行うメリットについてご紹介していきます。

コストを抑えることができる

自社で対応する一番のメリットとしては、費用を抑えられるという点です。一般的には税理士に依頼するケースが多いとお伝えしましたが、自社で行った場合にはこの税理士に支払う報酬が必要ないため、コスト削減に繋がります。費用の相場としては、税理士ごとに異なりますが、一般的には法人決算を委託する場合には15万円〜25万円ほどかかります。

税理士とのやりとりの手間がない

また、税理士とのやりとりに費やす時間や手間を省くこともできます。中には税理士とのコミュニケーションがうまくいかず苦労してしまうケースもあるため、そのような負担を減らしたい場合などは検討してもよいかもしれません。

自分で法人決算を行うデメリット

続いてデメリットもご紹介させていただきます。

膨大な時間がかかってしまう

自分で行う最大のデメリットは膨大な時間を要してしまうという点です。専門的な知識を元々持っている場合には話は別ですが、十分な知識がない場合はその都度調べながら行わなければならない為、予想以上の時間がかかってしまいます。通常の業務と並行して決算を行わなければならず、かなりの負担になります。

節税対策が十分でない場合がある

その道のプロからのアドバイスをもらうことがないので、節税対策という面では不十分となってしまう可能性がどうしてもあります。一方、税理士に依頼した場合には税金に関する最新の情報や適切なアドバイスをもらえることも多いです。それらの専門的な情報がなかなか手に入りづらいという点においてはデメリットと言えるでしょう。

決算書に不備がある可能性がある

慣れない作業となるため、決算書に不備や誤りがある場合もあります。そうすると税務署から差し戻されたり、税務調査が入ってしまったりする可能性もあります。

本来予定していた期間から大幅に時間がかかってしまいます。そのような事態を防ぐためにも十分にチェックを欠かさないようにしましょう。

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自分で法人決算を行う場合の準備

自分で法人決算を行う準備について、ご紹介していきます。スムーズに決算を行うためにもしっかりと漏れのないように行っていきましょう。

帳簿と証ひょう書類を用意する

決算処理を行う前に、大前提として、その期間の取引は必ず記録しなければなりません。取引を行う度に記録していくのがベストです。

また、帳簿の内容の正確性を証明するためには、社内に保管されている領収書や請求書などの証ひょう書類が必要となります。これらも後々探しやすいようにファイルなどで分類別、色分けをするなど工夫して保管しておくことをおすすめします。

証ひょう書類依頼の契約関連書類を用意しておく

証ひょう書類以外にも、外部の関係や従業員との契約内容を確認できる書類も必要となります。代表的な書類をご紹介しておきます。下記、一覧です。

  • 銀行残高の証明書
  • 借入金の返済予定表
  • 事務所の賃貸借契約書
  • 従業員の賃金台帳
  • 期末時点における在庫商品の棚卸一覧表
  • 自転車や備品などの固定資産の内容がわかるもの

これらの他に業種によっても様々な種類の書類が必要となるので、漏れのないようにあらかじめ確認しておきましょう。

9STEP|法人決算の流れ

続いて法人決算の流れについて見ていきましょう。大まかな流れを理解しておくか否かで実際に行う際の作業効率も差が出てくるかと思います。

①帳票整理を行う

まず初めに行うことは、領収書や請求書などの取引や会計に関わる帳票の整理です。面倒だからと言って決算の時期にまとめて対応しようとすると膨大な量となってしまい、時間がかかってしまうため、常日頃から整理をしておくようにしましょう。

②データを入力する

続いて整理した帳票をもとに、会計ソフトなどにデータを入力していきます。

決算書類自体が帳簿のデータを元に作成することになるため、この記帳が正確に行われているかが非常に重要になってきます。入力漏れやミスがないように、帳票と照らし合わせながら慎重に確認していきましょう。

毎日発生する取引について日付や金額、勘定項目などを一つひとつ手書きやExcelなどで記載するのは想像以上に大変な作業です。会計ソフトを利用することで日々の仕訳にかかる手間や時間を大幅に削減することが可能となります。スマートフォンで入力できる会計ソフトもあり、移動中など隙間時間で入力することも可能となったり、領収書の内容を読み取れるものもあったりしますので自分にあったソフトを検討しましょう。

③試算表を作成する

試算表とは、貸方と借方の合計が一致しているかどうかを照合するための集計表のことをいいます。

記帳が完了したら、正しく記帳が行われているかを確認するために試算表を作成します。このことによって仕訳やデータの入力に間違いがないか確認することができます。

④決算整理仕訳を行う

もし、事業年度をまたぐ取引があった場合には、今期分と来期分に分けなければなりません。このことを「決算整理仕訳」といいます。支払いや入金が来期に持ち越されるような取引があれば帳簿自体を修正していきます。

また、在庫の品質や数量の確認を行って、帳簿上のデータと相違がないかを確認する「実地棚卸」も行います。これによって正しい売上原価の計算や固定資産の減価償却、棚卸資産の残高を確認することができます。

⑤決算書類を作成する

続いて帳簿を元に決算に必要となる書類を作成していきます。決算に必要な書類は以下の通りです。漏れのないように準備を行っていく必要があります。

総勘定元帳

全ての経理処理が科目ごとに記録されたもの

領収書綴

経費や領収書などが日付順に綴られたもの

決算報告書

貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書、株主資本変動計算書などのこと

法人税申告書

定められた複数の書類に決算報告書を添付したもの

法人事情概況説明書

事業内容、従業員数、取引状況、経理状況などが記載された書類のこと

消費税申告書

消費税や地方消費税の申告に必要な書類のこと

税務代理権限証書

申告書提出や税務調査の立ち会い、問い合わせ対応など税理士に委託した場合に必要な書類

地方税申告書

法人住民税、法人事業税などの申告に必要な書類

勘定科目明細書

主要な勘定科目ごとの収支の詳細が記載された書類

⑥取締役会、株主総会での承認を得る

作成した決算書は、会社法によって定められている機関から承認を得る必要があります。株式会社の場合には、原則としては取締役会、株主総会で承認を受けます。

⑦法人税申告書を作成する

決算書を元にして納めるべき税額を計算し、法人税申告書を作成します。

法人税申告書の作成を行うにあたって知っておくべき会計上のルールなどもありますので、しっかりと確認をしておくようにしましょう。

⑧各種税金を申告、納税する

法人に課せられる税金は主に「法人税」「消費税」「法人事業税」「法人住民税」となります。それぞれの提出先に作成した法人税申告書を決算書と共に期限内に提出して、納税する必要があります。

税務署やと都道府県税事務所など、税金の種類によって申告先が異なりますので、事前に間違いのないようにしっかりと確認しておきましょう。

原則としては、事業年度の終了日の翌日から2ヶ月以内に申告する必要がありますが、法人税や法人事業税などに関しては申告期限の延長の申請を行えば、延長することが可能となります。期限内に間に合わなかったということがないように早めに行うように心がけましょう。

⑨決算書を保存する

作成した決算書は決められた期間の保存を行わなければなりません。書類によって保存の期間は異なりますが、基本的には決算書類は10年間は保存しておくようにしましょう。

また、電子帳簿保存法によって、領収書や請求書などの取引情報をメールなどでやりとりした場合には、それらの書類はデータで保存しなければならないと定められています。

これは事業規模には関わらず、必ず行わなければならないため、うっかり保存していなかったということがないよう十分に注意してください。

法人決算を自分で行う場合の注意点

前項で法人決算の流れについてご紹介して参りましたが、このような作業自体に慣れていない中、ましてや初めて行うような場合にはとても時間のかかる大変な作業となってしまう可能性が大いにあります。

そこで、法人決算を自分で行う場合に、あらかじめ注意しておくべきことをまとめます。

経理業務を日頃から行っておく

流れの部分でもご紹介した通り、法人決算において、まず行わなければならないことに「帳票の整理」があります。領収書の整理を日頃から行っておくことは後の作業のことを考えると非常に重要です。

日頃の管理がしっかりとされていれば、決算時期に慌てて行う必要もなく、漏れや間違いの防止にも繋がります。常日頃からの作業によって、経理業務自体の効率化につながると言っても過言ではないでしょう。

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計画的に予定を組んで作業を行う

こちらも当たり前のようですが、意外と決算期のギリギリに行い、かなりバタバタしてしまったというケースも少なくありません。また、ミスによってやり直しとなり、本来終わっておくべき時期に間に合わなかったとなると一大事です。

取り掛かり自体を早めに設定して、計画的に進めていくようにしましょう。

法人決算を税理士に依頼する場合

今まで自分で法人決算を行う場合の話で進めて参りました。ここまで読み進めていただいて、自分で実施した場合のメリットやデメリットなど総合的に考えて、「税理士に依頼した方が良い」となった方もいらっしゃるでしょう。

そんな方々のために、税理士に依頼する場合の主なパターンを最後にご紹介したいと思います。

決算申告のみを依頼する

まず1つ目のパターンとしては、決算申告だけを依頼する場合です。帳簿や会計データなどは自分で作成して、それらを渡せば決算書の作成にかかる書類の整理や記帳などの処理を依頼することができます。最大のメリットとしては決算にかかる手間や時間を大幅に削減できることにあります。通常自分で行うはずだった決算処理の手間が省けるわけですからその分の時間を業務に当てることが可能となります。

また、プロに依頼して行ってもらうわけですので自分で行う場合に比べるとミスのない税務申告が行えたり、税理士の署名が入った申告書によって高い信頼性を示せたりといったメリットも挙げられます。

顧問契約を結んで決算申告を依頼する

続いて、2つ目のパターンとしては単発で決算申告を依頼するのではなく、顧問契約まで結ぶパターンです。税理士と顧問契約を結べば、決算申告に加えて、節税対策や会社の経営に関するアドバイスをもらうことも可能です。

ただし、月々の顧問料は発生することになるため、契約を結ぶ前に自社の解決したい事柄は何か、効率化したい部分はどんなことかなど、検討してから依頼することが大切です。

法人決算は複雑で分かりにくく、正しい知識をもっていなければミスや漏れが起こりやすいのも現状です。無理をして自分で行うのではなく、早めに税理士に依頼をしておくことが自社にとって正しい選択の場合もあります。また、法人の税金の仕組みは複雑な上に税制改正も頻繁に行われます。特に中小企業の場合には、利用することのできる税制上の優遇処置や補助金、助成金なども多くあります。税理士に依頼することでこれらについても最新をチェックし、有益な情報を元にアドバイスをもらうこともできるのです。

とは言っても、税理士との相性もありますので、相談のしやすさ、自社の課題解決に適任かなどを考えて選んでいくことをおすすめします。実際に会い、自分にとって話しやすいか、考え方などに大きな相違がないかなどを確認しておいても良いでしょう。

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今回は法人決算についての流れや自分で行う場合のメリット、デメリット、注意点などを幅広くご紹介して参りました。

今まで知らなかった、または、なんとなくの理解だった方も少しはイメージしていただいたのではないでしょうか。

何度もお伝えしてきましたが、自分で行う場合には、計画的に作業を行うよう心がけましょう。もし、全てを自社では難しいと思う場合には、早めに専門家に依頼してください。

当事務所でも、法人決算についてのサポートを幅広く行っております。まだこれからでよく分からないといった方でも安心してご依頼いただけるよう3か月間のお試し顧問契約キャンペーンを実施しております!まずはお気軽にご連絡くださいね!お待ちしております。

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投稿日: 2023年8月14日   7:31 pm

更新日: 2024年6月24日   9:34 pm

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