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【フリーランス必見】開業届を提出するメリットとは?書き方を解説!

開業届

昨今、在宅で出来る仕事も増えてきて、それに伴い企業に属さず、個人で仕事を請け負っていく「フリーランス」の人が多くなっています。

フリーランスとしてメインでお仕事をされている人もいれば、本業とは別に副業を行っているといった人もいます。

言い換えれば、誰でもなることができるということなのですが、会社に属していれば、会社が行ってくれていた手続きなど税務関係を自分で行わなればならないのです。

フリーランスがしなければならないことはあるの?

開業届は出すべきなのか、書き方も知りたい!

こんな悩みをお持ちの方もいるのではないでしょうか。

結論、開業届を出さなくても問題はないですが、提出することのメリットは大きいです。

本記事では、これからフリーランスになろうと考えている方に向けて、はじめに行っておくべき「開業届」について詳しく解説していきます。是非、参考にしてみて下さい。

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関連記事:【副業サラリーマン必見!】会社設立のメリットとデメリット

フリーランスと個人事業主

以前に比べると、「フリーランス」という言葉を耳にする機会も増えてきました。ただ、何となくふわっとしたイメージを持っている人も多いのではないでしょうか。

フリーランスとは、「企業や組織などに所属せず、自分のスキルや経験を生かしてクライアントと契約を結んで仕事をする働き方のこと」です。あくまで法律上の名称ではなく働き方のことを指します。

同じような意味で「個人事業主」という言葉も使われますが、税務署に「開業届」を提出することで「税務上の区分」として個人で事業を営む者のことを「個人事業主」と呼びます。働き方と表すフリーランスとは違い、個人事業主は税務上の区分を意味しているのです。

つまり、フリーランスという働き方をしている人の中で、「開業届」を提出した人が「個人事業主」となるというイメージです。

開業届について知っておこう!

先程も少し出てきましたが、開業届とは、個人での事業を開業したことを税務署に申告するための書類のことです。正式な名称は「個人事業の開業・廃業等届出書」といいます。

個人で事業を行う場合には1年間の所得を計算して所得税を納税しなければなりません。事業規模が大きい場合には個人事業税や消費税の納税も必要となってきます。

開業届を出すことで開業と税の開始を報告するといったことになるのです。

この知識を持っているだけでも得ですね!

開業届の種類

開業届には実は2つの種類があります。

個人事業の開業・廃業等届出書(開業届)

これが一般的に言われている開業届のことです。開業した日から1ヶ月以内に税務署に提出することが推奨されています。

・個人事業税の事業開始等申告書

こちらは個人の事業を開始したことを申告するために都道府県税事務所に提出する書類です。届出をしなくても罰則などはないため、先程の開業届を税務署に提出してこちらの「事業開始等申告書」は提出しないといったケースもあります。

開業届を提出するメリット

開業届の提出自体は義務ではありませんが、提出することでのメリットは多くあります。

二重丸青色申告が可能になり節税効果が期待できる

開業届を出す最大のメリットと言っても過言ではないのがこの「青色申告」ができるようになるということです。青色申告とは確定申告の種類の一つで、所得税を正しく納税するために行う申告納税制度のことです。例として、青色申告では事業等から生ずる所得から最大65万円が控除されたり、家族の給与を経費扱いに出来たりといったメリットがあります。開業届を提出していない方が確定申告する場合は「白色申告」となり、こちらは節税効果という面でいうとあまりメリットはありません。

関連記事:青色申告と白色申告の違いを分かりやすく解説‼︎

※所得税は課税される所得金額(収入)に対して、下記のような税率をかけて算出されます。

所得税の税率

【引用】国税庁「所得税の税率

二重丸屋号が使えるようになり、社会的信用が増す

開業届を提出することで、個人名ではなく「屋号」を使用できるようになります。屋号とは個人で使用する事業用の名前のことです。屋号の届出が済めば、屋号で銀行口座も開設することが可能です。これにより、クライアントや取引先などからの社会的な信用度も増すといったことが考えられます。

二重丸小規模企業共済に加入できる

開業届を出すと「小規模企業共済」に加入することができます。これは個人事業主(フリーランス)や会社の役員などが積立金に応じた共済金を受け取ることができる制度のことでいわば、個人の退職金制度といっても良いでしょう。

これのほかにも法人用のクレジットカードを利用できるようになったり、就労証明書にもなるので働くママさんも子供の保育所への申し込みの際などに役立ったりといったメリットもあります。一方で配偶者の扶養に入っている場合は扶養から外れてしまったり、失業保険を受けている場合には手当を受給できなくなってしまうこともありますので、タイミングには注意が必要です!

とはいえ、個人で働く上で開業届を提出するメリットは大きいと言えるでしょう。

関連記事:小規模企業共済とはどのような制度?メリットとデメリットを解説

二重丸補助金・助成金制度の申請ができる

補助金・助成金制度は個人事業主や法人を問わず、申請することができます。ただし、制度の中には、開業届の写しが必要なケースがあるので、開業届を提出していたほうが幅広く制度を利用できます。

主に、経済産業省や地方自治体、厚生労働省が管轄している補助金・助成金制度では、事業の実態の証明や事業開始日を明確にするために提出が求められる場合が多いです。法人の場合は、登記事項証明書を提出すれば、事業実態や設立年月日などが確認できるため、申請書類に登記事項証明書が記載されているケースがほとんどです。

制度の活用を視野に入れている方は、開業届を提出していないと申請そのものができない場合もあるので、できるだけ早めに手続きを行いましょう。

開業届を提出するデメリット

開業届を出すメリットがある一方で、デメリットもあります。メリットとデメリットの双方を理解したうえで、開業届を提出するか否かを判断しましょう。

ng失業保険が受けられなくなる

開業届を提出すると、失業保険が受けられなくなります。失業保険とは、会社を退職した人が再就職をするまでの間、国(ハローワーク)から生活費の一部が支給される制度のことです。

一定の条件を満たしていれば受給できますが、再就職する意思のある人に対して給付される制度なので、開業届を提出する人は該当しません。開業届を出すということは、「失業している状態」に当てはまらないため、受給資格を失います。

失業保険を受けたいと考えている方は、開業届を出すタイミングを検討して実行しましょう。

ng家族の扶養から外れる可能性がある

開業届を出すことで、扶養から外れる場合もあるので注意が必要です。開業届を出すだけで扶養から外れるわけではなく、開業して収入が増加することで扶養から外れてしまう可能性があります。

扶養には、所得税や住民税に関する税法上の扶養と健康保険や国民年金に関する社会保険上の扶養があります。税法上の扶養というのは、扶養している側(配偶者など)が所得税や住民税を算出する際に「扶養控除」や「配偶者控除」などの税制優遇が受けられる制度です。扶養される側の年間合計所得金額が48万円を超えると扶養から外れてしまう可能性があります。給与所得だと103万円以下となりますが、個人事業主の場合は「収入ー必要経費=所得」になるので、48万円がボーダーラインとなります。(2025年3月4日に行われた衆議院の本会議にて、年収の壁であった103万円から最大160万円に引き上げる予算案が通過しました。令和7年度の年末調整から適用され、金額が103万円から160万円に引き上げられます。詳しくはこちらの記事をご覧ください。)

また、社会保険上の扶養は、家族の被扶養者になることで自分で健康保険料や社会保険料を支払わずに済む制度です。社会保険上では、年間130万円未満でないと扶養から外れてしまうので、注意が必要です。

扶養から外れることは税負担が大きくなる場合が多いので、扶養が外れる金額について把握しておきましょう。

ng複式簿記によって帳簿付けが複雑になる

メリットでも解説したように、開業届を出すことで青色申告が可能になりますが、青色申告をするには複式簿記での帳簿付けが必須となります。

単式簿記よりも複式簿記のほうが複雑になり、ある程度の簿記の知識が必要になるので、自分自身で行う方には少し難しいかもしれません。しかし、知識がないからといって青色申告による節税をあきらめる必要はありません。現在は会計ソフトなどもあるので、ツールを使って行うか、それでも難しい場合は、専門家に委託するなどの選択肢も検討しましょう。

開業届の書き方_3ステップ

続いて、開業届の書き方について解説していきます。

チェックアイコン開業届を入手する

まずは開業届を入手するところから始まります。

開業届、つまり個人事業の開業・廃業等届出書は税務署の窓口、もしくは国税庁のホームページからダウンロードすることができます。

チェックアイコン必要事項を記入する

以下の項目の一覧を記入していきます。※内容を確認しながら記載しましょう。

・「個人事業の開業・廃業等届出書」の「開業」を丸で囲む

・管轄している税務署名を記入する

・開業届の提出日の記入

・事業所の住所(所在地)、電話番号を記入する

(自宅の場合には自宅の住所を記入して「住所地」にチェックを入れます)

・氏名・生年月日、職業を記入する

・マイナンバーを記入する

・屋号を記入する(必要ない場合は空欄で良い)

・「届出の区分」の「開業」を丸で囲む

「所得の種類」の「事業所得」にチェックをつける

「開業・廃業等日」に開業日を記入する

・開業・廃業に伴う届出書の提出の有無の「青色申告承認申請書」または「青色申告の取り止め届出書」にチェックをつける

・開業・廃業に伴う届出書の提出の有無の消費税に関する「課税事業者選択届出書」または「事業廃止届出書」は無にチェックをつける

・事業の概要を記入する

・氏名の横に押印する

チェックアイコン開業届を提出する

提出する方法は税務署の窓口に持参する以外に、オンラインで行う(eーTax)方法や郵送することも可能です。どの提出方法でも、開業届を提出する期限は開業してから1か月以内なので、忘れずに行いましょう。

窓口に持参する場合や郵送で提出する場合は、開業届とともに身元確認書類と個人番号確認書類を提示または添付する必要があります。マイナンバーカードがあれば、それだけで済みますが、持っていなければ以下のような書類が必要です。

身元確認書類 ・運転免許証
・パスポート
・公的医療保険の被保険者証
個人番号確認書類 ・通知カード
・住民票の写し

通知カードは2020年5月に廃止されていますが、通知カードに記載されている氏名や住所が住民票と一致していれば個人番号確認書類として有効と判断されます。

また、郵送で提出する場合は、控えを返送してもらうために、開業届と身元確認書類等に加えて、返送用封筒と切手を同封します。とても重要な書類なので、控えをとっておくことを忘れないようにしましょう。

eーTaxで提出する際は、身元確認書類などの添付は必要ありません。しかし、eーTaxで提出するには、マイナンバーカードのほかに、ICカードリーダーやマイナンバーカードの読み取りに対応したスマートフォンが必要です。さらに利用者識別番号を取得したり、マイナンバーカードが読み取れるようにソフトをインストールしたりと事前の準備が大切です。

これらが大まかな流れとなります。もし、確定申告の時期と開業のタイミングが被りそうな場合は、早め早めの準備を行っておくようにしましょう。

開業時に提出が必要な書類

開業届以外にも状況に応じて提出が必要な書類があるので、自分はどの書類を提出すべきか確認しておきましょう。

書類 提出先
青色申告承認申請書 税務署
青色事業専従者給与に関する届出書 税務署
適格請求書発行事業者の登録申請書 インボイス登録センター
給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書 税務署
消費税課税事業者選択届出書 税務署
消費税課税期間特例選択届出書 税務署
消費税簡易課税制度選択届出書 税務署

場合によってはこのほかにも、税金に関する手続きや従業員を雇用する場合の手続きが必要なケースもあるので、専門家に相談しながら手続きを進めたほうがスムーズです。

開業届を出したほうが良いケース

開業届を出すべきか迷っている方は、以下の項目を満たしているかどうか確認してみましょう。

「事業所得・不動産所得・山林所得を得ている」という点については、開業届の提出が所得税法で義務とされているので、当てはまる方は忘れずに提出してください。

生活の安定も確保しなければならないので、「毎月安定した報酬を受け取っている」方や「今後も継続してフリーランスとして活動する予定である」方は開業届を出したほうが良いです。また、開業届を出すことによって、屋号があることで社会的信用度が高まり、契約を締結することができたというケースもあります。このように良い影響がある方は、早めの提出をおすすめします。

開業届の提出における注意点

前述したように、開業届を出すのは事業開始から1ヶ月以内とされています。ただ、もし期限を過ぎてしまっていたとしても問題はありませんので、思い立ったらすぐに提出するようにしましょう。

開業した年度に青色申告をしたい場合には、

に「青色申告承認申告書」を提出する必要があります。

青色申告を考えている場合には、この青色申告承認申請書も開業届と同じタイミングで一緒に提出することをおすすめします。

フリーランスの方もご相談ください

今回はフリーランスについて、開業届を出すメリット・デメリット、書き方などポイントをご説明しました。

節税の観点から(個人の状況によって一概には言えませんが)、面倒だからと言って開業届を提出するのを後回しにせず、なるべく早いタイミングで提出するようにしましょう!

当事務所では、個人の方向けにも税務上のサポートを行っております。これからフリーランスとして働きたいと思っている方、税務上の手続きについてよく分からないといった方など、まずはお気軽にご相談ください!

ご連絡お待ちしています。

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投稿日: 2023年3月6日   9:00 am

更新日: 2025年9月12日   9:56 am

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