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給与計算のやり方を徹底解説‼ 初心者でもわかる基礎知識や手順、注意点

給与計算

給与計算とは、総支給額から控除額を差し引いて、最終的な手取り額を確定する一連の業務のことです。従業員を雇用している個人事業主、法人にとって、毎月の給与計算はとても重要な業務です。

給与計算には法的なルールが定められており、計算ミスなどが起きると従業員に影響があるだけでなく、事業者にもペナルティが課せられる可能性もあります。

そのため、給与計算にかかわる方は給与の基礎知識や具体的な計算方法などの知識を身につける必要があります。今回の記事では、給与計算の目的や重要性などの基礎知識から、具体的な計算方法、抑えておくべき給与に関するルールについて徹底解説します。

給与計算についての理解を深められる内容なので、これから給与計算業務を担う方や会社の経営を検討している方は、ぜひご覧ください!

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給与計算とは?押さえておきたい基礎知識

まず、給与計算とは従業員に支払うべき給与を正しく計算する業務を指します。

基本給や残業代などの支給額から、社会保険料などの控除額を差し引いた金額が、手取り額として従業員に振り込まれます。この業務は毎月発生する業務であり、従業員の勤怠状況などによって変動するほか、法改正や年次調整に対応するため、正確性や専門的な知識が求められます。

給与計算の目的と重要性

給与計算の目的は、従業員の給与が適切に支払われ、労働基準法や所得税法、社会保険法などの法令を遵守することです。毎月給与が支払われることで、従業員の生活が保たれており、給与を正確にかつ期日通りに支払うことは、雇用主の最低限の義務です。

計算ミスや手続きの不備、遅延や未払いによって、従業員と事業所の信頼関係が破綻するだけでなく、法令違反などのトラブルに発展するため、正確性と高い透明性の確保が重要です。給与計算は数字と向き合うだけでなく、従業員との関係構築や企業のコンプライアンス体制を支えるための1つのポイントといえます。

給与計算に必要な情報とは?

給与計算は、「総支給額の計算」「控除額の計算」「手取り額の計算」の3ステップで構成されています。計算に必要な情報が複数あるので、事前に準備する必要があります。

[収集する情報]
・労働日数
・労働時間
・残業時間、深夜労働時間、休日労働時間
・遅刻、早退、欠勤の日数や時間
・有給休暇の日数

[準備する書類]
・タイムカードなど勤怠記録
・住民税課税決定通知書
・健康保険・厚生年金保険被保険者標準報酬決定通知書

準備する書類は、個人情報が含まれていることが多いので、適切な管理が必要です。

給与計算のやり方と手順

給与計算に必要な情報と書類が準備できたら、従業員に支払う給与を以下の計算式に従って算出します。

ポイント
手取り額=総支給額-控除額

この計算式に至るまでには、「総支給額」「控除額」「手取り額」の計算が必要になるので、その計算方法を解説します。

総支給額の計算

総支給額の計算式には、「基本給」「割増賃金」「各種手当」の3つの要素が含まれており、総支給額=基本給+割増賃金+各種手当という計算式になります。それぞれの要素で変動しない要素もあれば、月によって変動する要素もあります。どのような変動があるかは各事業所によって異なりますが、内容について理解しておくと総支給額の計算がスムーズになります。

就業規則や雇用契約で定められている一定期間働くことで得られる固定の給料です。基本給は基本的に変動することはありませんが、給与改定などによって変わるケースもあるので、柔軟に対応する必要があります。

法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超過して労働した場合、月60時間までは25%、月60時間超は50%割増で給与に反映されます。

22時から午前5時の間に労働した場合に発生する割増賃金。原則25%の割増率。

法定休日(週1日または4週4日)に労働した場合に発生する割増賃金。原則35%の割増率。

各種手当は、会社によって内容が異なります。例えば、通勤手当や出張手当、住宅手当、役職手当、家族手当、資格手当などがありますが、項目によって課税と非課税に分別されるため、注意が必要です。非課税の項目にあたる具体例として、一定金額までの通勤手当や出張手当、転勤に関する手当てがあります。各種手当は、この非課税項目と課税項目が混ざってしまわないように正確な処理を行うことが重要です。

これらの手当てについては、就業規則などに記載しておき、従業員に周知する対応も必要です。

従業員一人一人の総支給額について、基本給はあまり変わらなくても、割増賃金や各種手当が異なるので、それぞれの勤怠データや通勤手段の管理がとても大切です。

控除額の計算

総支給額が算出できたら、次は控除額を計算していきます。

控除額は、住民税+社会保険料+源泉所得税+そのほかの控除=控除額の計算式で求められます。それぞれの項目でも計算が異なるため、計算式を間違わないように注意が必要です。

住民税は前年の所得をもとに、各自治体で税額を計算をしてくれるので企業側で行うことはありません。税額が確定すると、毎年5月中旬から下旬にかけて「住民税課税決定通知書」が送付されるので、各事業所は従業員の税額を確認して、6月から翌年5月の12か月に分割し、給与から天引きするように手続きを行います。住民税の具体的な計算方法は以下の通りです。

通知された住民税額÷12=1か月の住民税額

社会保険料は、厚生年金保険料、健康保険料、介護保険料(45歳以上65歳未満)、雇用保険料があり、それぞれの計算式を紹介します。

[計算式]

厚生年金保険料

会社負担=標準報酬月額×18.3%

従業員負担=標準報酬月額×18.3%÷2

健康保険料

会社負担=標準報酬月額×健康保険料率

従業員負担=標準報酬月額×健康保険料率÷2

介護保険料

会社負担=標準報酬月額×介護保険料率

従業員負担=標準報酬月額×介護保険料率÷2

雇用保険料 給与額×雇用保険料率

厚生年金保険料、健康保険料、介護保険料は企業と従業員で折半となります。標準報酬月額は、給与を一定の幅で区切った等級によって決まるので、従業員ごとに異なります。保険料率は、主に健康保険だと都道府県や加入している健康保険組合によって異なり、毎年改定される可能性があります。雇用保険料率も、業種によって料率が変動したり、改定されることがあるので、改定されるタイミングで自身が所属する業種の改定がないかチェックしましょう。

所得税は1月1日から12月31日の所得にかかる税金を指しており、会社員の場合は、給与から所得税を天引きして納めています。ただ、会社が納めているのはおおよその金額なので、12月の年末調整で正確な所得税を算出して、精算を行います。

源泉所得税は、従業員の給与額と扶養している人数によって金額が決まります。そのため、まずは給与額から社会保険料などを差し引いて、課税所得を算出します。

課税所得=給与額(基本給+残業代)-社会保険料

参照:給与所得の源泉徴収税額表

上記の計算式で求めた課税所得を源泉徴収税額表に照らし合わせて、源泉徴収額を確定させます。

控除額の算出に必要な書類は以下の通りなので、従業員全員分があるか事前に確認が必要です。

[準備するもの]

・健康保険、厚生年金保険被保険者標準報酬決定通知書(年金事務所が作成)
・住民税課税決定通知書(自治体が作成)
・健康保険、厚生年金保険の保険料額表
・雇用保険の保険料率表
・源泉徴収税額表

手取り額の計算

総支給額と控除額の算出が完了したら、最後のステップである手取り額(差引支給額)を計算します。総支給額から控除額を差し引いた金額が手取り額となります。計算式にすると以下の通りです。

手取り額(差引支給額)=総支給額-控除額

この計算式によって算出された手取り額が、従業員の給与口座に振り込まれます。さらに、総支給額や控除額を記載した給与明細書も発行する手続きを行い、支払い記録を残すまでが業務となります。

始める前に抑えるべき基本ルール

給与計算は法的ルールが設けられているため、実際に業務に携わる前に基本ルールを覚えておきましょう。

チェックアイコン賃金支払の五原則

給与の支払いに関して労働基準法第24条で定められており、「賃金支払の五原則」と呼ばれています。

・通貨で支払う
・労働者に直接支払う
・全額支払う
・毎月1回以上支払う
・一定の期日を定めて支払う

原則給与は、「通貨」で「労働者に直接」、「全額」を「毎月1回以上」、「一定の期間を定めて」支払わなければなりません。

チェックアイコン最低賃金制度

最低賃金制度とは、労働者に対して支払わなければいけない賃金の最低額を定めて、労働者の生活を保護するために実施されています。基本的には、都道府県ごとに最低賃金を設定して、事業所の所在地によって適用される金額が異なります。

また、地域別最低賃金とは別で産業別最低賃金(特定最低賃金)が設定されており、特定の業種に該当する場合は、どちらか「高い方」を設定します。一般的に産業別最低賃金(特定最低賃金)は、地域別最低賃金よりも高く設定されることが多いので、該当する業種は最低賃金の金額設定に注意しましょう。

チェックアイコン社会保険の加入要件

社会保険の加入要件は、少しずつ拡大されており、現在の加入要件は以下の通りです。(2024年10月以降)

・対象:従業員51人以上の企業
・勤務時間:週の所定労働時間が20時間以上
・賃金:月額8.8万円以上(基本給+手当)
・雇用状況:2か月超の雇用見込みがある
・身分:学生ではない

今後も範囲の拡大や改定される可能性があるので、厚生労働省のホームページなどを定期的にチェックしましょう。

参考:厚生労働省公式HP

チェックアイコン勤怠情報や従業員情報の管理

正しく適切な給与を支払うには、従業員情報や勤怠情報の管理がとても重要です。従業員の昇格や役職、転勤、扶養家族の有無、人事評価などによって給与に影響を及ぼすので、定期的なアップデートが必要です。

また、勤怠情報は残業した時間や深夜勤務時間、各種手当の算出には、実労働時間のデータをきっちりと記録できる仕組みづくりが必要不可欠です。

チェックアイコン賃金の小数点以下の端数

賃金の算出は、労働者の不利益となるような処理を行ってはいけません。そのため、賃金の小数点以下の端数を切り捨てて、支払われるべき金額が不足する方法は違反に該当します。

賃金の計算において端数が生じた場合、50銭未満は切り捨て、50銭以上は1円に切り上げることが可能です。これらの処理によって、労働者に不利益が生じることはなく、事務処理を簡易的にするための方法として法的にも認められています。

給与計算をする際の注意点

給与計算には、従業員の個人情報や勤怠、総支給額などさまざまな情報が必要になるため、多くのリスクが潜んでいます。

給与計算を行う上での注意点について紹介します。

情報漏洩

給与計算で扱う情報には、従業員の個人情報が多く含まれています。その情報を何らかの形で漏洩してしまったとなると、個人情報保護法違反とされ、情報を漏洩した従業員は「1年以下の懲役または50万円以下の罰金、またはその両方」が科せられ、法人は「1億円以下の罰金」が科せられます。

情報漏洩は、会社と従業員の関係悪化や社会的信用の失墜にもつながります。情報漏洩を防ぐためには、システム導入だけでは不十分であり、従業員教育やアクセス権限の管理、明確な運用ルールを組み合わせた多層的な対策が重要です。

転記・計算ミスによる労務・税務の問題

給与計算では、転記ミスや計算ミスが起こりやすいため、細心の注意を払う必要があります。

給与計算には社会保険料や住民税、所得税の計算も含まれているので、計算ミスが起こるとあとから数年分をまとめて納める手続きが必要だったり、追加徴税などのペナルティが課せられたりする可能性があります。

このようなミスを防ぐためには、複数人でのチェックであったり、計算ソフトの導入を検討をして人為的なミスを削減することが重要です。

給与計算に困ったらまずはご相談ください!

給与計算は各種法令や規則に従って行うべきことが多く、まずは重要なポイントを理解することが大切です。

従業員の勤怠情報などを管理しつつ、正確な給与計算を行い、記録を残すことで従業員に給与が支払われた後も誤りがないかといった確認を行うことが可能です。

ただ、法改正によって細かい修正が必要なケースがあり、通常の業務と並行して行うことが困難な事業者も多いです。そのような悩みを抱えている場合は、外部への依頼の検討をおすすめします。

当事務所では、税理士と社労士が在籍しており、給与計算の悩みや年末調整に係る税金の悩みについても解決が可能です!どうすればいいか悩んでいる方は、まずお気軽にご相談ください!

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投稿日: 2026年2月2日   10:42 am

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