確定申告を行ったあとや税務署からの税務調査のあとに、提出書類の内容に間違いがあった場合は、修正申告が必要になります。
書類の作成を行うにあたっては、計算ミスや計上もれなどによって申告内容の誤りが見つかる可能性があるでしょう。税務調査の際に税務調査官から誤りを指摘され、修正を勧められる時があると思いますが、どのように対応すればいいかわからない方が多いかもしれません。
修正申告を行う流れやどの様な場合に修正が必要になるのか、注意点も踏まえて分かりやすく解説していきます。修正申告についてあまり知識がない方は、本記事を参考にして、修正申告が必要になった場面で対応できるように理解を深めてみてください。
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修正申告とは?詳しく解説
修正申告とは、確定申告書を提出したあとに計算ミスなどによって、税額を少なく申告していたことに気づいて正しい納税額で書類を再度提出することです。
税務調査が行われたことで発覚するパターンのほかに、納税者自身が誤っていた個所に気づいて、自ら修正申告を行うことも少なくはありません。
自主的に修正申告を行うと、納税額が減額されることや還付を受けることがありますが、税務署の税務調査で修正申告が必要と判断された場合は、追加で納付する税金が発生することがあります。
税務署からの事前連絡を受けた際に、誤りに気付いて修正申告を行うことは可能となるので、確定申告書類を提出したあとも間違いがないか確認することがおすすめです。
関連記事:税務調査への対応はどうするべき?税理士への依頼費用も解説
税務調査の流れと準備すべき書類
税務調査で修正申告が必要になる場合がありますが、税務調査の流れについても把握しておきましょう。
・税務署から事前連絡がある
税務調査が行われる場合は、税務署から調査を行うことと調査実施日の調整のために事前連絡が入るのが一般的です。
実施日の調整のほかに実施期間や調査対象について口頭で説明されるため、メモをとって必要書類の準備を行いましょう。連絡は、納税者本人または顧問税理士を雇っている場合は顧問税理士に連絡がいくことがあります。
しかし、事前連絡は税務署の義務ではありません。そのため、帳簿書類や領収書などの改ざん、不正行為などがあり、適正な調査が行われない可能性がある場合は、事前連絡がない「無予告調査」が実施されることがあります。
税務調査官に無予告調査を行う理由などを聞いて、後日改めて税務調査を依頼できることもあるため、無予告調査で事務所などに来られたとしても冷静に対応しましょう。
・事前に準備するべき書類
事前連絡があった際に、調査する日程や調査項目について説明があるため、準備するべき書類などを前もって準備しましょう。
・請求書や領収書
・会計ソフトのデータ
・預金通帳
・雇用関係書類
・記簿謄本や定款
税務調査では一般的に過去3年間の帳簿書類について調査が行われますが、場合によっては過去にさかのぼって調査が行われるため、書類やデータなど過去の7年間分についても準備しておいた方がいいでしょう。
上記書類のほかに、決算書や仕入・売上などに関する各種台帳、契約書、在庫確認表といった経営に関する書類について提出が求められることがあるため、税務署の指示に従って対応する必要があります。
事前連絡のある任意調査は、パソコンや書類を押収するといったことはなく、確認しながら穏やかに税務調査が行われるため、落ち着いて対応すれば問題ありません。
税務調査について詳しく記載しているこちらの記事があるので、是非参考にしてください。
税務調査後の流れ|3パターン
税務調査が行われた後には、税務署から求められる対応が3パターンあります。どのような対応が必要になるのか確認していきましょう。
修正申告
申告内容に不備やミスがあった場合に、税務署から指摘されて修正を勧められ、正確な情報を提供するために再度申告書を提出する「修正申告」があります。修正申告を勧められた場合でも、内容に納得できなければ修正申告を行う必要はありませんが、そのときに適切な対応が必要になるので、注意が必要です。
修正申告ができるケースは以下の通りです。
・申告内容の欠損金額が多すぎるとき
・申告内容の還付金額が多すぎるとき
・数字のうち間違えなどのヒューマンエラーが起きたとき
・控除の適用漏れがあるとき
・申告内容に納付税額に記載しなかった場合で納付すべき税額があるとき
上記のような場合に修正申告が必要になるため、書類を提出する際には間違いなどがないか確認を行うようにしましょう。また、書類について不安がある場合は税理士などの専門家に相談することも検討してみてみてください。
更正処分
税務調査後に税務署から指摘がある場合、申告内容の不備などについて認めざる負えないケースがほとんどです。しかし、指摘されたとしてもその調査結果に必ず納得できないことがあるかもしれません。
修正申告を勧められたとしても、調査結果に納得できない場合は、指摘された内容について「更正処分」の請求を行うことができます。
更正処分の請求とは、納税者が修正申告に応じなかった際に税務署が納税額を確定する手続きのことです。修正申告と更正処分の違いは、納税額を確定する人が、修正申告の場合は納税者となり、更正処分の場合は税務署長の権限によって決められるという点です。
更正処分の請求によって、確定した納税額に不服があれば、裁判所に対して異議申し立てをしたり、国税不服審判所長に対して審査請求を行うことが可能です。更正処分の請求をする際の手続きの流れは次の通りです。
➀税務署長等に異議申し立てを行う
税務署長等の判断によって納税額が確定された際に、不服があった場合は税務署長等へ異議申し立てを行うことができます。
異議申し立てを行える期限は、更正処分の請求を行い、処分があったことを知った翌日から2か月以内と定められています。そのため、異議申し立てを希望する場合は、期限内に所定の手続きを行わなければならないため、日程については注意が必要です。
②国税不服審判所長に審査請求を行う
もし、異議申し立てを行った結果について納得ができず、なお不服がある場合は国税不服審判所長に対して審査請求を行うことが可能です。
審査請求を行えるのは、異議決定書謄本の送達があった日の翌日から1か月以内と決められています。
異議申し立てや審査請求を行う場合は、税法に沿って結果が左右されるため、税法の専門家である税理士に相談をして所定の手続きを行うとスムーズに行えるかもしれません。
申告是認
税務調査を行った結果、申告内容に不備などがなく問題がなければ「申告是認」となります。税務調査が行われたのちに申告是認通知書が手元に届きますが、特別な手続きなどは不要です。
しかし、税務調査の結果が申告是認となるケースは珍しいため、結果のほとんどが何かしらの指摘があると考えておいた方がよいでしょう。
課される可能性のあるペナルティ
確定申告や修正申告は、税金に関わる申告にあたるため、申告期限や不備について厳しく取り締まっています。どのような場合にペナルティが課せられるのか事前に知り、ペナルティを受けないように心がけましょう。
青色申告の承認取り消し
法人の場合は、2年連続で無申告や期限が経過した後に確定申告を行ってしまうと青色申告の承認が取り消されてしまいます。
青色申告の承認が取り消されることで、最大65万円の特別控除が受けられなくなったり、欠損金が繰り越しできなくなってしまうため、節税対策ができずに税負担が大きくなります。
一方で、個人事業主の場合は、無申告や期限経過後の申告を理由として青色申告の承認が取り消されることはありません。しかし、必要な手続きを行わなかったり、期限を過ぎて提出をすると税務署などからの印象が悪くなってしまうため、余裕をもって適切な対応を行いましょう。
追徴課税が課せられる
期日までに納付していなかったり、納付すべき金額より過少な金額で申告を行っていたりとさまざまなケースに応じて追徴課税が課せられます。ケースによって税率も異なるため、意図的に税額を過少に申告するといったことは行わないようにしましょう。
具体的な追徴課税や税率について解説していきます。
・無申告加算税(15~20%)
無申告加算税とは、正当な理由なく確定申告を行っていない場合に納税者に対して課される税金です。納付期限内に税金を納付していたとしても、確定申告を行っていなければ無申告加算税が課されてしまうので、注意が必要です。
税額は、修正申告を行う税額が50万円までであれば15%となり、50万円を超える部分は20%の税率となります。ただし、税務調査で指摘される前に自主的に申告を行った場合は、税率が5%に軽減されます。
・過少申告加算税(10~15%)
過少申告加算税とは、期限内に提出した申告書の納税額が実際の金額より少なかった場合に課される税金を指します。
新たに納める税金に対して10%分が加算されますが、新たに納める税金が最初に申告した金額または50万円のどちらか多い金額を超える場合には、超えた分の金額に15%の税率が適用されます。過少申告加算税は、申告書の内容に不備があったり、計算ミスによって税額が間違っていた場合に課せられる加算税になるため、故意的に金額を過少に申告した場合は、さらに厳しいペナルティを受けることがあります。
自主的に修正申告を行うと、過少申告税がかからない可能性があるため、計算ミスなどがないか確認し、ミスを発見した際は速やかに修正申告を行いましょう。
・延滞税(7.3~14.6%)
確定申告の期限は3月15日と定められていますが、期日までに納税が完了しておらず、3月15日から完納するまでにかかった日数に応じて課される税金のことです。
一般的な税率は7.3%ですが、2か月を経過した場合は14.6%となり、日数を重ねていくことで税率が高くなります。確定申告を期日までに行っていたとしても、納付すべき税額が不足している場合は修正申告や更正処分の請求といった手続きが必要になります。
また、完納する前に確定申告書を作成することで、納めるべき金額に不足が生じます。完納ができておらず、記入した金額が実際の金額より少ない場合は、延滞税だけでなく過少申告加算税が課される可能性があり、負担が増加するため注意しましょう。
・不納付加算税(10%)
不納付加算税とは、源泉徴収した所得税を期日までに支払わなかった場合に課される税金です。通常の税率は10%ですが、指摘を受ける前に自主的に納付をした場合は5%の税率となります。
しかし、不納付加算税の対象外になる以下のようなケースがあります。
・不納付加算税の額が少ない場合
・やむを得ない事情がある場合
「納付の意思がある」と判断される基準は、過去1年間に税務署から税金の滞納や納税告知を受けていない場合であり、税務署から何かしらの指摘を受けていると不納付加算税の対象となります。不納付加算税の金額が5,000円未満の場合は、切り捨てになるため支払う必要がありません。
また、やむを得ない事情とは、災害などにより納税ができる状態ではなかったといった正当な理由がある場合は、不納付加算税の対象外となります。
・重加算税(35~40%)
納税者が意図的に税額を偽ったり、重大な過失によって適切な申告を怠った場合に課されるのが重加算税です。
過少申告加算税や不納付加算税の代わりになる場合は税率が35%となり、無申告加算税に代わる場合は40%の税率になります。
重加算税は、納税者のミスではなく、意図的な事実の隠ぺいや虚偽の申告によって課される税金になるため、ほかの追徴課税と比べて税率が高くなります。申告を行う場合は、計算ミスなどは仕方ないかもしれませんが、虚偽の申告は税率が高くなるだけでなく、社会的信用を失う可能性があるため、注意しましょう。
修正申告のご相談は当事務所へ
以上、今回は、税務調査後にどのような流れで修正申告が必要になるのかについてまとめました。また、誤った申告をした際に受けるペナルティについての条件や税率などについても解説しましたが、いかがでしたでしょうか。
税務調査や修正申告の対応をすべて自分で行うのは中々難しいでしょう。
初めて修正申告を行う方や税金について詳しくない方だと手続きに手間取ってしまい、さらに税金を加算されてしまう可能性があります。そのため、横浜市の法人経営者の方で税金について悩んでいる方は一度、当事務所へご連絡ください。
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