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売上なしでも税金はかかる?合同会社や株式会社が負担する税金を紹介

会計処理

経営者の方で、税金の負担に頭を悩ませている方が多いのではないでしょうか。

費用削減や節税対策のために、会社の形態を合同会社にしてみたり、補助金制度を利用してみたりと、工夫して負担軽減に取り組んでいる方もいるでしょう。

しかし、社会情勢や円安・円高などの動向によって、経営状況が左右されることがあります。業種や情勢によって売り上げが伸び悩んだり、売上がない年度もある可能性があり、その場合の税金の支払いはどうなるのか気になりますよね。

今回は、売上がない場合でも会社が負担しなければならない税金について説明していきます。

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決算・確定申告は必要

売上がないときは、決算や確定申告が必要なのか疑問に思う方もいるでしょう。合同会社は株式会社とは違い、決算公告義務がないため決算公告費用などについて考える必要はありません。しかし、公告義務がないだけなので、決算と確定申告は必ず行う必要があります。

青色申告を行っている場合は、欠損金の繰り越しという税制があります。欠損金の繰越は、事業年度に生じた損失金額を翌年度以降に繰り越して利益を相殺できる制度となっており、節税効果が高いです。

この制度は、無申告のままでは適用できないため、売上がない事業年度の場合でも決算を行い、税務署へ確定申告書を提出して損失の繰り越しを行いましょう。

また、売上がない場合でもかかる税金があるため確定申告が必要です。該当の税金に関しては、次の項目で詳しく紹介します。

関連記事:法人決算を自分で行うには?流れや注意点を解説!

売上なしでもかかる税金

会社を設立した初年度や業種によって社会情勢の影響で、売上がない場合があります。先述したように、売上がない年度でも支払わなければならない税金があるため、確定申告が必要になります。

長期間にわたって経営を考えている方は、売上のない年度が今後出てくる可能性があるため、支払うべき税金の種類は知識として備えておきましょう。

法人住民税の均等割

法人住民税とは、法人が経済活動を行っている地域社会に対する貢献として、また所在している地方自治体から受けられるサービスに対してに支払う税金です。法人住民税は2つの税割で構成されており、「法人税割」「均等割」があります。

それぞれ、納税義務者となる法人と納税額が異なっており、「法人税割」は法人税額を基準として法人が都道府県や市町村に支払う税金です。「法人税割」では、売上が高ければ高いほど税額が高くなる構造になっています。そのため、売上がない場合は「法人税割」の税金が発生することはありません。

一方で、「均等割」は法人であれば等しく支払う義務のある税金です。「均等割」の計算方法は、企業の売上高や資本金、企業の規模ごとで異なるため、下記表を参考にしましょう。

資本金等の額 都道府県民税均等割 市町村民税均等割従業員数50人超 市町村民税均等割従業員数50人以下
1千万円以下 20,000円 120,000円 50,000円
1千万円超1億円以下 50,000円 150,000円 130,000円
1億円超10億円以下 130,000円 400,000円 160,000円
10億円超50億円以下 540,000円 1,750,000円 410,000円
50億円超 800,000円 3,000,000円 410,000円

参照:総務省「法人住民税」

納付方法は、都道府県や市町村から発送される納付書で行う方法や最近増えてきたオンラインでの手続き方法があり、多様な方法が展開されています。

固定資産税

事務所などの不動産を所有している企業は、固定資産税がかかります。固定資産税とは、毎年1月1日現在に土地や不動産を所有している個人や法人に対して、固定資産の価格をもとにして算出される税額を指します。

固定資産税として納付された税金は、所在のある市町村の道路や公共施設の整備や介護・福祉などの行政サービスに使用されており、地域社会に還元されています。

会社が保有する事務所が賃貸の場合は、不動産を所有しているわけではないため、固定資産税はかかりません。そのため、会社を設立する際には、「固定資産税などの税金を毎年支払うことができるのか」という点を踏まえて、事務所を賃貸にするのか、不動産を所有するのかを考えた方がいいかもしれません。

関連記事:減価償却はなぜ必要?メリットを分かりやすく解説‼︎

自動車税・自動車重量税

自動車税は、自動車税(軽自動車税)や自動車重量税などがあり、車両を所有している個人・法人に課せられます。

自動車税(軽自動車税)は、所有している車両の種類や排気量、購入時期によって税額が決められており、種類によっては10年以上所有していると税金が高くなる場合があります。

自動車重量税は、車の種類や重量によって税額が異なり、車の新規登録を行う際や車検の際に支払う税金です。車検の有効期限に合わせて数年分をまとめて支払う必要があります。

社用の車を所有している場合は、毎年「自動車税」が発生し、数年に1度「自動車重量税」がかかります。公共交通機関が少ない地方の場合、車両は必要不可欠ですが、都市部では電車やバスなどの公共交通機関が多いため、車両を所有する必要がない場合もあります。

自動車税・自動車重量税は固定資産税と同様に、会社の経営に車両が必要かどうかを考えて購入しましょう。

関連記事:法人の経費で車を購入する方法!計上方法やポイントを解説

印紙税

個人事業主や法人など会社を経営している方は、契約書や領収書などを扱う場面が多いかと思います。取引に伴って契約書や領収書などの文書を作成した場合に、印紙税法に基づいて課税される税金が印紙税です。

印紙税がかかる文書の一覧は以下の通りです。

文書の種類 具体例
1 不動産、鉱業権、無体財産権、船舶もしくは航空機または営業の譲渡に関する契約書 不動産売買契約書、不動産交換契約書、不動産売渡証書など
地上権または土地の貸借権の設定または譲渡に関する契約書 土地賃貸契約書、土地賃料変更契約書など
消費貸借に関する契約書 金銭借用証書、金銭消費貸借契約書など
運送に関する契約書 運送契約書、貨物運送引受書など
2 請負に関する契約書 工事請負契約書、工事注文請書、物品加工注文請書、広告契約書、映画俳優専属契約書など
3 約束手形または為替手形
4 株券、出資証券もしくは社債券または投資信託、貸付信託、特定目的信託もしくは受益証券発行信託の受益証券

参照:国税庁「No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで」

印紙税がかかる文書はこれらのようにさまざまあり、印紙税額も契約金が気によって異なります。契約書などのほかに、5万円を超える領収書にも収入印紙が必要になり、売上がゼロの場合でも関係なく税金が発生します。

どの契約書に収入印紙が必要になるのかを全て覚えるのは困難なので、税理士などの専門家に確認するようにしましょう。

法人事業税と消費税の注意点

売上がない場合にかかる税金の種類を解説しましたが、法人事業税と消費税について注意点があるため、併せて解説していきます。

「法人事業税」と「消費税」は一定の条件によって税金がかかる場合とかからない場合があります。その条件について解説するので間違った認識をしないように注意してください。

法人事業税

法人の所得に対して都道府県の地方自治体から課税されるのが、法人事業税です。法人事業税は、法人の所得に対して課税されるため、売上がない場合や売上が赤字になった場合は、支払う必要はありません。

ただし、資本金が1億円超の外形標準課税が適用される法人は、売上が赤字の場合でも納付する必要があります。自身が経営する会社の資本金を確認して、該当するか否か確認しましょう。

次の法人は外形標準課税の対象とはなりません。

・公益法人等
・特別法人
・人格のない社団
・投資法人
・特定目的会社

消費税

消費税は、商品やサービスを提供して消費者から受け取る「仮受消費税」と、会社が仕入れなどの際に支払った「仮払消費税」があります。法人が支払うべき消費税は、「仮受消費税」から「仮払消費税」を差し引いた金額を納税するため、売上がなければ、消費税は発生しません。

しかし、売上ではなく所得がゼロの場合は、「仮受消費税」が「仮払消費税」を上回った際には、差し引いた分の消費税を支払う必要があります。反対に「仮払消費税」が「仮受消費税」を上回っていた場合は、消費税の還付を受けることができます。

ここでポイントになるのは、売上ではなく「所得がゼロの場合(売上は生じている)」という点になります。その点の認識を間違わないように税理士に確認して決算や確定申告を行いましょう。

関連記事:【徹底解説】会社設立して消費税が免除となる条件とは?

売上ゼロのメリット・デメリット

安定した売上を継続して出すことはなかなか難しいのが現状です。近年のコロナ渦では、経営がうまくいかずに閉店する店舗や企業があったのは記憶に新しいです。

しかし、売上がゼロの場合は必ずしもデメリットだけではなく、メリットがあることを覚えておきましょう。特に開業したばかりの年度は思ったように売り上げを出すことができない可能性が高いです。売り上げが伸び悩んでいる方へ短期的な売上ゼロの場合のメリットやデメリットについて解説していきます。

売上ゼロのメリット

売上がゼロの場合のメリットは、「法人税の節税」「欠損金の繰越」の2つです。

・法人税の節税

法人税は企業の所得に応じて税金額が決められるため、売上がない・赤字になった年度は法人税の支払いが発生することはありません。

しかし、課税所得がプラスであれば、法人税の支払いは発生するため、年度内の事業内容で得た利益に対して損失が出ている場合でも、支払いの有無に関しては確認を行いましょう。

・欠損金の繰越

青色申告を行っている法人は、翌年度に赤字を繰り越すことができ、翌年度以降の黒字と相殺することが可能です。課税所得を減税することができ、法人税の負担を削減することができます。

法人の欠損金の繰越は最大で10年間と定められているため、最大3年間の個人事業主よりも大きなメリットとなっています。

売上ゼロのデメメリット

デメリットは、「融資での資金調達が難しい」という点です。事業を行うにあたって、資金調達は必要不可欠ですが、売上がないと返済できるという保証がないため、金融機関の審査が通りづらくなります。

売上がない企業だと税制上のメリットはあるものの、世間からのイメージはあまりよくありません。事業のために資金が必要になった際は金融機関から融資を受けるハードルが上がることを心得ておく必要があります。

しかし、金融機関からの融資以外にも資金調達の方法はあります。資金調達の方法は覚えておくとスムーズに手続きを行うことができるので、覚えておきましょう。

・資本金から工面する

資本金は、会社を設立する際に入金する資金であり、経営の維持費や事業に関する支出などの経費として使用しても問題ありません。

株式会社の場合は登記にも記載されているため、使用してはいけないのではと思われがちですが、事業資金として使用して良いものとされているため、早急に資金が必要な場合は、資本金から工面しましょう。

・日本政策金融公庫からの融資

日本政策金融公庫は、国が運営している機関で、個人事業主や中小企業を対象に融資を行っています。創業して間もない会社を対象とした融資などを行っているため、売上のない会社でも融資を受けることができるのが特徴です。

ただし、審査が厳しくなっているため、しっかりとした内容の事業計画書や収支予算書、決算書の提出が必須です。筋の通った書類作成が必要になるため、税理士などに相談して作成を依頼することも検討しましょう。

松原税理士・社会保険労務士事務所でも、無料にて創業融資の相談をお受けしております。完全成果報酬で対応しており、多数の実績がございますので気になる方はお気軽にご連絡ください。

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・補助金や助成金制度の活用

国や公的機関が補助金・助成金制度などを行い、多くの事業者支援を行っています。補助金は新規事業の支援や地域振興、事業の促進を目的としており、助成金は雇用や労働環境の改善が目的となっています。

制度を活用するには、申請を行って手続きを行わなければなりません。さまざまな補助金や助成金があり、受けられる企業数が限られている場合があるため、獲得するためには事業計画の明確さや独自性などが必要になります。

関連記事:日本政策金融公庫の創業融資とは?利用時の必要書類を紹介

関連記事:【日本政策金融公庫】創業融資を受ける手順を解説

会社規模によって税率は変わる

今回の記事では、売上がない場合にかかる税金やメリット・デメリット、資金調達の方法について解説しました。会社の規模等の条件によってかかる税金もあるため、自分の会社は該当するか否か税理士に確認しながら、決算や確定申告を行うことが大切です。税金に関しては法律があり、専門的な税務の知識が必要になるため、複雑な手続きが必要になる場合があるので注意が必要です。

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投稿日: 2024年8月12日   1:46 pm

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